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編入試験1
しおりを挟む模擬戦場内はいたってシンプルだった。
中央に、円形のステージがありその周りに観客席があるというなんの変哲もない模擬戦場。
俺はその模擬戦場のステージの中央に立っていた。
現在ら予定の時刻を五分過ぎている。
俺にはは遅れるなって言ってたのに自分は遅れるのかよ。
しかしまあ、何かしらの用事で遅れた可能性もあるわけだからおとなしく待つことにする。
「はぁはぁ、間に合ってる?」
息を切らしながら走ってきたレオナルド校長は俺を見るなり時間の確認をする。
「五分遅刻です」
と、俺はきっぱりと言った。
「やっぱりか、ごめん、ちょと用事で遅れてしまった」
五分程度の遅刻なので、あまり気にはならない。
「いいですよ。それより早く始めましょう。編入試験」
「ありがとう。レオ君ってとても優しいだね。
」
これしきの事で他人を優しいと決めるのはどうかと思う。
確かに、人に好意的な感情を抱くことは悪いことではないがしかし、レオナルド校長はあまりにも楽観的な感じがする。
それに、俺は優しい人間、なんてものじゃない。
「俺は別に優しくなんて無いですよ」
「そうかな。まあ、自分がそう思っているならそれでいいけど、ああ、そうそう、編入試験の前に、少し話を、しておきたいんだけどいいかな?」
話?
「話なら、さっきいろいろ、したじゃないですか」
俺の反応に対しやれやれと言った感じでレオナルド校長は話だす。
「僕がしたい話は、内面的な話だよ。例えば、僕が君の能力制限の事を知り得た能力についてとかね」
なるほど。
「そういう話なら」
俺が承諾の意を表すやいなやレオナルド校長は話し始める。
「君は絶対者の存在を知っているかい?」
絶対者。
「神との契約に至りし魔術師の事ということくらいなら」
「やはり、君は知っていたかなら話は早い僕はその絶対者なんだ。そして、長い間、絶対者である者には、[神の碧眼]の使用権限が与えられる。その能力は、その目で見た者の全てを知ることが出来るというものさ」
まさか、[神の碧眼]を使用できる人がいるとは驚きだ。
たが、魔法大国セルビアならいくらか絶対者がいてもおかしくはないか。
「なるほど、そうゆう事だったんですね。よくわかりました」
俺は正直に話してもいいのだがどうしようかと悩んでいた。
俺も能力制限で[神の力]はここぞという時にしか使用できないが一応絶対者なんだけど。
「良かった。それで、失礼ながら君の過去を見せてもらったのだが、まさか君が、5年前の事件の悲劇の被害者だったとは」
やはり、見られてたか。
仕方ない、レオナルド校長になら話しても大丈夫そうだし、その前にやるべき事を片付けるか。
「レオナルド校長、その話は編入試験終わってからにしませんか?」
「そうだね。うん、分かった。じゃあ早速始めよっか」
「はい」
「ルールは特にないから、自由に攻撃してきていいよ。ちなみに、僕参ったって言わせたら合格だから頑張ってね」
なるほど。単純なルールだな。
しかし、千五百六十五名の編入試験受験者が一人も「待った」と言わせられていないという事実には、正直驚きだな。
まあ、やれるだけやってみるか。
(はぁ、できるだけ早く終わらせなきゃななんないのはやっぱりきついな)
俺はできるだけ能力を見せずに、「待った」と言わせなければいけない理由があるのだった。
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