GOD トレジャー(108の宝箱の争奪戦)

なぎ

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エレベーター

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司とルナは廊下を駆けてピエロの落下位置から離れ、3階から駐輪場の屋根の上を経由して飛び降りた。

ふと司がピエロに視線をやる。
ピエロは1度立ち上がろうとするも、力を失いまたコンクリートの地面へと倒れ込んだ。

その隙に階下へと着地した司とルナは並走し、ピエロを突き放していく。

司の走る速度は先程よりも格段に速くなっていた。
それでもルナはスピードを緩め、司の速度に合わせて体力の消耗を抑えた。

暫く走って、2人は背の高いビルへと逃げ込む。

ビルにはエレベータが4つ。上階へのボタンを押すとすぐに扉が開いた。
司とルナはすばやく乗りこむと、閉じるのボタンを連打し、最上階の15階のボタンを押した。
エレベーターの扉が閉まると、司とルナはへたり込んだ。

「ここなら大丈夫だ…。」
司は安堵する。

司は闇雲にこのビルに逃げこんだ訳ではない。
この高さなら飛び上がり一気に距離を詰められる心配もなければ、エレベータや階段を使って最上階へ来ようとすれば、その逆をとり、エレベーターで1階に戻ることができると考えたからだ。

15階の電気が消えたシンと静まり返るフロアで、司とルナは座り込んだ。

「さっきはありがとう…。」
先に息が整ったルナが司に話かける。

今度は司がハァハァと息を切らし、コクンとうなづいた。

「何分ぐらい過ぎたかしら…?」

「30分ぐらい…かな…。」

「このまま、ここで終わりにならないかしら?」

「多分無理だと思う…。」

その会話を最後に、司とルナの間に沈黙が続く。
ふたりは暫くエレベーターのボタンを凝視し、階段からの気配に耳を澄ませていた。

先に沈黙を破ったのは司だった。

「ルナ。ルナに聞きたいことがたくさんあるんだけど…。」

「なに?」

「…僕の能力は、ルナの能力で本当に見えなかったの?」

「本当よ。司が起きたあとも実は試したんだけど、やっぱり分からなかったわ…。そういう隠すことができる能力かと思ったんだけど、あの時の動きとは能力に全く共通点がないのよね…。」
ルナはそう言って考えながら、視線を宙へと向けた。

「そうなんだ…。それと、」

「ねぇ?つかさ。」
急に甘くなったルナの声が、司の質問を遮った。
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