GOD トレジャー(108の宝箱の争奪戦)

なぎ

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分析

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司は全速力で駆け出した。
能力の影響か、体が軽い。自分でも信じられないぐらいのスピードで走っているのを感じる。
恐らく、ボルトよりも早いだろう。

しかし、それでも忽ちルナとの距離を空けられる。
ピエロとも距離もグングンと詰められてきた。足音が近くなる。司の体が恐怖で徐々に硬くなり、益々距離を詰められる。

ルナはフッと司を振り向くと立ち止まり、走ってきた司をバッとお姫様抱っこでかかえた。
そうして再び走り出すと、薄ら笑いするピエロを引き離していく。

同年代の女の子にこれは恥ずかしい…。司はルナに抱きかかえられながら、自分の無力を痛感する。
それでも司は気持ちを切り替えて、この状況へと思考を巡らした。

街へと入ると、適当なマンションを選んで3階まで登り、その廊下でルナは司を降ろした。

ルナはハアハアと息を切らしている。

「ありがとう。」
司は申し訳なさそうにお礼を言う。

ルナはコクンと頷くと、頭をうな垂れて体力の回復を図った。

「かなりの荒療治するのね…。」
少し息が整ってきたルナが、独り言のように感想を言う。

「僕も最初は体幹を鍛えるとか、筋力トレーニングとか、能力の使い方からゆっくり始めるものかと…。」

「あのピエロ…。本当に私たちを殺す気よ…。」

ルナには色々と聞きたいことがあったが、まず1時間。あのピエロから逃げ切ることだけを考えた。

「ルナ。あのピエロの能力分かる?」

ルナは首を振る。

「私は3秒間相手の眼を見つめることで、能力を知ることができるの。そんな余裕なかったわ。私は走るのは早いけど、攻撃とか、防御とか戦闘能力は高くないから逃げたのよ。」

「ルナ…。たぶん。あのピエロ、僕たちの居場所が分かる類の能力を持っているはずだ。」

「……どうしてそんなことが分かるの?」

「1時間逃げ切るのに、ここは隠れ場所が多すぎる。最初に逃げきって隠れんぼしてるだけなんてイージー過ぎる。」

「確かにそうね…。」

鎌を持ったピエロは、マンション下で司とルナの隠れる3階の廊下の方を見てニタリと笑った。




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