9 / 28
無言で見つめる壁
しおりを挟む
「着替えるから絶対こっち向かないでね!」
レビの号令のあと、恵はそう言いながら奥のタンスの方へ向かって走った。
イブは部屋中のぬいぐるみを集めてきて、何やら話かけているようだった。
(あの子大丈夫かな…。)
司はイブの不思議な行動を心配しつつ、レビと一緒に恵の言い付けどおり、木の壁を見つめた。
バキバキ!!
壁を見つめる司とレビの背後から、物凄い音がして司とレビは反射的に振り返る。
すると、いつの間にか昼寝を終えたデン爺が、素手でパソコンを粉砕していた。
そのデン爺の奥では、恵が何故か巫女装束に着替え中だった。
ちょうど黒いタイトスカートを降ろしおり、白いショーツが目に飛び込んできた。
「見ないで!!」
恵は一旦スカートを上げ直し、焦って声をあげた。
司とレビはまたすぐに壁の方を向いた。
一瞬の沈黙の内、気を取り直しレビが言った。
「えーと、、デン爺。パソコン壊して大丈夫だっけ…。」
レビは壁を見つめたまま言った。
「ハードにはデータは残しとらんけど、念のための。」
「あー…。はーどにはね…。」
「レビさん。なんで恵はわざわざ動きにくそうな服に着替えてるの?」
司はこそっとレビに聞いた。
「おっ、おう。慣れた服装や道具だと、能力をより引き出すことができるからね。」
「なるほど…。」
数秒して、レビの顔がきりっと真剣な表情に変わる。
「仕度しながら聞きな。最優先は恵と司の次拠点までの保護。」
「先頭は俺、真ん中にイブと司を背負った恵。後ろにデン爺。お互いの距離は10M程度。俺は高速移動しながらの探知はせいぜい5、60メートル程度だから、そこんとこよろしく!」
後ろを振り返ると、恵は巫女装束に着替え終わっていた。イブは部屋中のぬいぐるみを手に抱えている。
恵は司を背負うために腰を曲げた。司は遠慮しながら恵の背へと乗った。
細身の華奢な体についた僅かな脂肪が、女性特有の柔らかさを感じさせた。
「はい40秒!!行くよ!」
レビは腕時計に目をやったあとに扉を開け、勢いよく飛び出した。
女性に背負われるなんてみっともな…。
と、思う間もなかった。
疾ッ。
まるでチーターのようなスピードで、恵は森の中を司を抱えて疾走していく。
景色がビュンビュンと後方へと流れていく。
司は振り落とされないように夢中で恵を掴んだ。
レビの号令のあと、恵はそう言いながら奥のタンスの方へ向かって走った。
イブは部屋中のぬいぐるみを集めてきて、何やら話かけているようだった。
(あの子大丈夫かな…。)
司はイブの不思議な行動を心配しつつ、レビと一緒に恵の言い付けどおり、木の壁を見つめた。
バキバキ!!
壁を見つめる司とレビの背後から、物凄い音がして司とレビは反射的に振り返る。
すると、いつの間にか昼寝を終えたデン爺が、素手でパソコンを粉砕していた。
そのデン爺の奥では、恵が何故か巫女装束に着替え中だった。
ちょうど黒いタイトスカートを降ろしおり、白いショーツが目に飛び込んできた。
「見ないで!!」
恵は一旦スカートを上げ直し、焦って声をあげた。
司とレビはまたすぐに壁の方を向いた。
一瞬の沈黙の内、気を取り直しレビが言った。
「えーと、、デン爺。パソコン壊して大丈夫だっけ…。」
レビは壁を見つめたまま言った。
「ハードにはデータは残しとらんけど、念のための。」
「あー…。はーどにはね…。」
「レビさん。なんで恵はわざわざ動きにくそうな服に着替えてるの?」
司はこそっとレビに聞いた。
「おっ、おう。慣れた服装や道具だと、能力をより引き出すことができるからね。」
「なるほど…。」
数秒して、レビの顔がきりっと真剣な表情に変わる。
「仕度しながら聞きな。最優先は恵と司の次拠点までの保護。」
「先頭は俺、真ん中にイブと司を背負った恵。後ろにデン爺。お互いの距離は10M程度。俺は高速移動しながらの探知はせいぜい5、60メートル程度だから、そこんとこよろしく!」
後ろを振り返ると、恵は巫女装束に着替え終わっていた。イブは部屋中のぬいぐるみを手に抱えている。
恵は司を背負うために腰を曲げた。司は遠慮しながら恵の背へと乗った。
細身の華奢な体についた僅かな脂肪が、女性特有の柔らかさを感じさせた。
「はい40秒!!行くよ!」
レビは腕時計に目をやったあとに扉を開け、勢いよく飛び出した。
女性に背負われるなんてみっともな…。
と、思う間もなかった。
疾ッ。
まるでチーターのようなスピードで、恵は森の中を司を抱えて疾走していく。
景色がビュンビュンと後方へと流れていく。
司は振り落とされないように夢中で恵を掴んだ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる