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能力者
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目が覚めると、司はベットの上にいた。
ヒノキの香りがほのかに漂う暖かい部屋で、窓からは木漏れ日が差し込んでいた。
部屋は広く、奥にはロッキングチェアに腰かけた白髪のおじいさんが気持ち良さそうに居眠りをしている。
木の掛け時計が、トットットッと小気味のいい音を立てて時を刻んでいた。
扉を開ける蝶番の軋む音が聞こえる。
入って来たのはスラッとした驚くほどに綺麗な女性だった。
真っ白なシャツを上品に着こなし、黒いタイトスカートを履いている。
「お目覚めですね…。ハーブティーです。どうぞ。」
女は少し笑うと、お盆から湯気の立ち昇るカップをベット横の棚へと、コトンと置いた。
スッと目が覚めるようなミントの香りが、司の脳を活性化させる。
「北条恵(ホウジョウ メグミ)と申します。先程は申し訳ありません。強引に…。」
「あなたですかっ!?あんなことしてっ!」
この女性が拉致した張本人とは思ってもいなかった司は、驚きと非難の感情が混じった大声で叫んだ。
普段あまり怒り慣れていない司は、叫んだあとに大きく咳き込んだ。
「なんでこんなことっ!」
司はありったけの非難を込めて言った。
しかし、弱気な司が怒りを表せたのは、敵意のないこの雰囲気に少し安心している証拠でもあった。
「私はあなたを保護するためにやって参りました。」
「保護っ!?拉致じゃないですか!」
「説明致します。あなたは、神の力を手に入れてしまいました。」
「えっ??」
「最近神の宝箱と言われる、この地球に存在することが分かりました。その宝箱にはカードが入っており、手にした者に力が宿る仕組みです。心当りがあるのでは…?」
「……。」
司は一旦沈黙を選んだ。
「ご説明を差し上げても、ご理解をいただくことは難しいですよね。実際に私がやってみせますね。」
ヒノキの香りがほのかに漂う暖かい部屋で、窓からは木漏れ日が差し込んでいた。
部屋は広く、奥にはロッキングチェアに腰かけた白髪のおじいさんが気持ち良さそうに居眠りをしている。
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扉を開ける蝶番の軋む音が聞こえる。
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「お目覚めですね…。ハーブティーです。どうぞ。」
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「北条恵(ホウジョウ メグミ)と申します。先程は申し訳ありません。強引に…。」
「あなたですかっ!?あんなことしてっ!」
この女性が拉致した張本人とは思ってもいなかった司は、驚きと非難の感情が混じった大声で叫んだ。
普段あまり怒り慣れていない司は、叫んだあとに大きく咳き込んだ。
「なんでこんなことっ!」
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しかし、弱気な司が怒りを表せたのは、敵意のないこの雰囲気に少し安心している証拠でもあった。
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「えっ??」
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