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108の宝箱
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「あぁーーー!さすがに無理やわ!!!」
神はそこら中で諍いを起こす人間達に、ついに匙を投げた。
シムなんとかみたいな街創り感覚で地球を育てた、35億……じゃない、45億と4千万年。
「思ってたんと……ちゃう!!」
神の中で地球は完全に詰んだ。というか、それ以上に地球を育てることに飽きた。
右手を伸ばしてファミコンのような機械のリセットボタンを押しかけた神。
ボタンに手をかけ、寸前でふと思い留まる。
まてまて…。どうせ消すなら試してみよかぁ…。
「……任せよか。人間に……。」
神は自分の力を適当に108に分けて様々な色、形の箱へと詰め込むと、地球へとばら撒いた。
ほな、寝るか…。
神は口を開けて大きくひとつ欠伸をすると、ぼんやりと青く光る地球の仄かな光源を避けるように、その場で億年単位の眠りへと入った。
はぁ……。暑い…。
照り返しの強いアスファルトの上を、司はトボトボと学校指定のリュックを背負って歩いていた。蝉の鳴き声がけたたましく耳を衝く。期末テストが1週間後に迫り、学校を終えた開放感はない。
毎日、毎日繰り替えす日常。司は苦行者のようにアスファルトを見つめ、俯きながら家へ向け足を進めていた。
途中公園の傍を通りかかる。
アスファルトを見つめていた司の視界の端に、青いゴムボールが転がってきた。ふと司は顔を上げる。
公園から飛び出し、夢中でボールを追いかける少年。奥にはスピードをあげて走っているトラック…。
少年がトラックの前に飛び出す。
危ない!!!
司の体は勝手に動き、少年を突き飛ばした。
ガッシャン!!!!
ベタな展開…。
あー。僕はこれで異世界に転生されて、悪役令嬢で、婚約破棄で…。この小説もカテゴリーエラーになって。
………んっ?あれっ??
司はおそるおそる目を開く。
……生きてるな。
司に突き飛ばされトラックを避けた少年は、目を丸くして司を見つめていた。
ふとトラックの方を見ると、何か硬いものにでもぶつかったみたいに、前方の運転席部分がペシャンコにつぶれ、フロントガラスが大破していた。
「ひぃー!!!ごめんなさい!」
辛うじて確保されていた運転席には、顔面蒼白の運転手のオヤジが確認できる。オヤジは1度バックをして司と距離をとると、エンジンを噴かせて慌てて走り去っていった。
「ありがとうございます!」
司が走り去るトラックを呆然と見守っていると、少年は礼儀正しくぺコンとお辞儀をし、ボールを抱えて公園へと走って戻っていった。
司の周りには、粉々に砕け散ったトラックのフロントガラスと、鉄の破片だけが残った。
司は家までの帰路。先程の不可思議な出来事を思い返した。
どうなってるんだろう…。
なぜ生きているのか信じられない。夢の中にいるようだった。僕は死んでいるはずだ。
しかし、司の手に握られた鉄の破片は、先程の出来事と、司が生きているという現実を証明していた。
傷一つない僕の体。どうなってしまったんだろう…。
何か変わったことがあっただろうか?
そういえば、今朝、庭に落ちてた黒い小箱を開けたら、「悪魔の契約」と書かれたカードがあって、手にした途端に箱と共に消滅したことぐらいしか…。
……。うん。それだな。
あれも夢じゃないってことか。寝ぼけて幻想を見たのかと…。
司が再びアスファルトに目を落とし、今朝の出来事を思い返していると、突然後からサッと手が伸びてきて、司の鼻と口を湿った布で塞いだ。
うっ…。
司の意識はすぐさま遠のき、体は崩れ落ちた。
神はそこら中で諍いを起こす人間達に、ついに匙を投げた。
シムなんとかみたいな街創り感覚で地球を育てた、35億……じゃない、45億と4千万年。
「思ってたんと……ちゃう!!」
神の中で地球は完全に詰んだ。というか、それ以上に地球を育てることに飽きた。
右手を伸ばしてファミコンのような機械のリセットボタンを押しかけた神。
ボタンに手をかけ、寸前でふと思い留まる。
まてまて…。どうせ消すなら試してみよかぁ…。
「……任せよか。人間に……。」
神は自分の力を適当に108に分けて様々な色、形の箱へと詰め込むと、地球へとばら撒いた。
ほな、寝るか…。
神は口を開けて大きくひとつ欠伸をすると、ぼんやりと青く光る地球の仄かな光源を避けるように、その場で億年単位の眠りへと入った。
はぁ……。暑い…。
照り返しの強いアスファルトの上を、司はトボトボと学校指定のリュックを背負って歩いていた。蝉の鳴き声がけたたましく耳を衝く。期末テストが1週間後に迫り、学校を終えた開放感はない。
毎日、毎日繰り替えす日常。司は苦行者のようにアスファルトを見つめ、俯きながら家へ向け足を進めていた。
途中公園の傍を通りかかる。
アスファルトを見つめていた司の視界の端に、青いゴムボールが転がってきた。ふと司は顔を上げる。
公園から飛び出し、夢中でボールを追いかける少年。奥にはスピードをあげて走っているトラック…。
少年がトラックの前に飛び出す。
危ない!!!
司の体は勝手に動き、少年を突き飛ばした。
ガッシャン!!!!
ベタな展開…。
あー。僕はこれで異世界に転生されて、悪役令嬢で、婚約破棄で…。この小説もカテゴリーエラーになって。
………んっ?あれっ??
司はおそるおそる目を開く。
……生きてるな。
司に突き飛ばされトラックを避けた少年は、目を丸くして司を見つめていた。
ふとトラックの方を見ると、何か硬いものにでもぶつかったみたいに、前方の運転席部分がペシャンコにつぶれ、フロントガラスが大破していた。
「ひぃー!!!ごめんなさい!」
辛うじて確保されていた運転席には、顔面蒼白の運転手のオヤジが確認できる。オヤジは1度バックをして司と距離をとると、エンジンを噴かせて慌てて走り去っていった。
「ありがとうございます!」
司が走り去るトラックを呆然と見守っていると、少年は礼儀正しくぺコンとお辞儀をし、ボールを抱えて公園へと走って戻っていった。
司の周りには、粉々に砕け散ったトラックのフロントガラスと、鉄の破片だけが残った。
司は家までの帰路。先程の不可思議な出来事を思い返した。
どうなってるんだろう…。
なぜ生きているのか信じられない。夢の中にいるようだった。僕は死んでいるはずだ。
しかし、司の手に握られた鉄の破片は、先程の出来事と、司が生きているという現実を証明していた。
傷一つない僕の体。どうなってしまったんだろう…。
何か変わったことがあっただろうか?
そういえば、今朝、庭に落ちてた黒い小箱を開けたら、「悪魔の契約」と書かれたカードがあって、手にした途端に箱と共に消滅したことぐらいしか…。
……。うん。それだな。
あれも夢じゃないってことか。寝ぼけて幻想を見たのかと…。
司が再びアスファルトに目を落とし、今朝の出来事を思い返していると、突然後からサッと手が伸びてきて、司の鼻と口を湿った布で塞いだ。
うっ…。
司の意識はすぐさま遠のき、体は崩れ落ちた。
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