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第52話、トワイマライト死す
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ここはエメラルドが勝つ事を祈りつつ、とばっちりだけには気を付けて観戦を決め込むとしよう。
◆◇◆
トワイマライトとエメラルドの戦いが始まって数分、俺は何が起こっているのか分からない攻防を見ながら、さっさと倒してくれないかななんて考えたりしていた。
トワイマライトの話では、エメラルドは魔王の元右腕という話だった。右腕と言えばやはり一番強い奴がなるイメージがある。そして今の所、エメラルドの方が優勢な気もする。
おそらくトワイマライトは元々魔王の左腕だったが、エメラルドが抜けた事で右腕も兼任するようになった、とかそんな感じなのだろう。
トワイマライトは俺達がまるで相手にならない程に強い。俺達とは言っても俺はまだ戦ってすらいないのだが。そんなトワイマライトを相手に全く引けを取らない所か、心なしか優勢な状態で戦い続けているエメラルドはどれくらい強いのだろうか。
もしもあの時エメラルドがその気になっていたら、俺とルビサファ姉妹は一瞬で屠られていただろう。そう考えるとエメラルドの性格に助けられたという事になるのか。彼女が多分だが温厚な性格で助かったな。
「くっ……!」
「あらぁ? もう終わりかしらぁ?」
「ふざけるなッ! 貴様なぞに負ける私ではないッ!!」
「そお? でもあなた、このままだと多分死ぬわよぉ?」
「フンッ! そんな戯言、誰が信じるかッ! 私の油断を誘おうとしたのだろうが、そう簡単に行くと思うなッ!!」
「まぁ別に信じてくれなくてもいいわよぉ? でも……ほらぁ。」
(ベチャッ!)
「!? ここは……まさか!?」
エメラルドが優勢のまま戦闘が進み、いつの間にか俺の撒き散らした精液の上へとトワイマライトが追いやられていた。果たしてあの状態でもアンデットに効果があるのだろうか。
(ジュジュッ!!)
「グワアアアアアアァァァァッ!!」
「……だから言ったのにぃ。」
俺の精液の上に追いやられたトワイマライトが、急に苦しみだした。どうやら奴の足が、まるで火にかけられたかのように燃えているようだ。おそるべし、俺の精液。
「最後の方だけだけどぉ、さっきの戦いは見ていたからねぇ。彼の出した精液の上に誘導させてもらったわぁ。まさかこんなに簡単に引っかかるとは思ってなかったけどぉ。」
「アガアアアアアァァァァッ!! 熱い……熱いぃぃぃぃ!!」
「普段の冷静なあなたならぁ、こんなのに引っかかりはしなかったでしょうねぇ。私もこんな結果に終わるのは少し残念に思うけどぉ、まぁ運がなかったと思って諦めて頂戴ねぇ?」
エメラルドがトワイマライトに対して何か話しているようだが、結構な距離を取っているので上手く聞き取れない。
俺が、いや俺達がエメラルドとトワイマライトの戦いを見守っていると、決着は唐突に訪れた。
足元の精液に苦しむトワイマライトの隙を付き、エメラルドがトワイマライトをそのまま押し倒した。背面の全てが俺の精液に浸かったトワイマライトは、先程までの比じゃあない程に苦しみだした。
「アアアアアァァァァ……アアアアアアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!」
何とか抜け出そうとするトワイマライトだが、エメラルドが上から押さえつけているので抜け出せそうにない。
「ァァァァ……ァァ……」
そしてトワイマライトの悲鳴が徐々に小さくなっていき、十数秒後にはトワイマライトの声が全く聞こえなくなった。
「…………」
「……じゃあねぇ、トワイマライト。あなたは私の事嫌いだったみたいだけどぉ、私はあなたの事嫌いじゃなかったわよぉ。」
エメラルドが何かを呟き、立ち上がった。そして俺達の方へ視線を移し、そのままこちらへと歩み寄って来た。どうやら決着が付いたようだ。俺達が一切何もする事なく、魔王の右腕兼左腕の存在であるヴァンパイアのトワイマライトは死亡した。
◆◇◆
トワイマライトとエメラルドの戦いが始まって数分、俺は何が起こっているのか分からない攻防を見ながら、さっさと倒してくれないかななんて考えたりしていた。
トワイマライトの話では、エメラルドは魔王の元右腕という話だった。右腕と言えばやはり一番強い奴がなるイメージがある。そして今の所、エメラルドの方が優勢な気もする。
おそらくトワイマライトは元々魔王の左腕だったが、エメラルドが抜けた事で右腕も兼任するようになった、とかそんな感じなのだろう。
トワイマライトは俺達がまるで相手にならない程に強い。俺達とは言っても俺はまだ戦ってすらいないのだが。そんなトワイマライトを相手に全く引けを取らない所か、心なしか優勢な状態で戦い続けているエメラルドはどれくらい強いのだろうか。
もしもあの時エメラルドがその気になっていたら、俺とルビサファ姉妹は一瞬で屠られていただろう。そう考えるとエメラルドの性格に助けられたという事になるのか。彼女が多分だが温厚な性格で助かったな。
「くっ……!」
「あらぁ? もう終わりかしらぁ?」
「ふざけるなッ! 貴様なぞに負ける私ではないッ!!」
「そお? でもあなた、このままだと多分死ぬわよぉ?」
「フンッ! そんな戯言、誰が信じるかッ! 私の油断を誘おうとしたのだろうが、そう簡単に行くと思うなッ!!」
「まぁ別に信じてくれなくてもいいわよぉ? でも……ほらぁ。」
(ベチャッ!)
「!? ここは……まさか!?」
エメラルドが優勢のまま戦闘が進み、いつの間にか俺の撒き散らした精液の上へとトワイマライトが追いやられていた。果たしてあの状態でもアンデットに効果があるのだろうか。
(ジュジュッ!!)
「グワアアアアアアァァァァッ!!」
「……だから言ったのにぃ。」
俺の精液の上に追いやられたトワイマライトが、急に苦しみだした。どうやら奴の足が、まるで火にかけられたかのように燃えているようだ。おそるべし、俺の精液。
「最後の方だけだけどぉ、さっきの戦いは見ていたからねぇ。彼の出した精液の上に誘導させてもらったわぁ。まさかこんなに簡単に引っかかるとは思ってなかったけどぉ。」
「アガアアアアアァァァァッ!! 熱い……熱いぃぃぃぃ!!」
「普段の冷静なあなたならぁ、こんなのに引っかかりはしなかったでしょうねぇ。私もこんな結果に終わるのは少し残念に思うけどぉ、まぁ運がなかったと思って諦めて頂戴ねぇ?」
エメラルドがトワイマライトに対して何か話しているようだが、結構な距離を取っているので上手く聞き取れない。
俺が、いや俺達がエメラルドとトワイマライトの戦いを見守っていると、決着は唐突に訪れた。
足元の精液に苦しむトワイマライトの隙を付き、エメラルドがトワイマライトをそのまま押し倒した。背面の全てが俺の精液に浸かったトワイマライトは、先程までの比じゃあない程に苦しみだした。
「アアアアアァァァァ……アアアアアアアアアアアアアァァァァァァァッ!!!!」
何とか抜け出そうとするトワイマライトだが、エメラルドが上から押さえつけているので抜け出せそうにない。
「ァァァァ……ァァ……」
そしてトワイマライトの悲鳴が徐々に小さくなっていき、十数秒後にはトワイマライトの声が全く聞こえなくなった。
「…………」
「……じゃあねぇ、トワイマライト。あなたは私の事嫌いだったみたいだけどぉ、私はあなたの事嫌いじゃなかったわよぉ。」
エメラルドが何かを呟き、立ち上がった。そして俺達の方へ視線を移し、そのままこちらへと歩み寄って来た。どうやら決着が付いたようだ。俺達が一切何もする事なく、魔王の右腕兼左腕の存在であるヴァンパイアのトワイマライトは死亡した。
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