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第41話、今まで守ってきた大切なもの
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「真珠……お前……女、だったのか……」
数年越しの真実発覚の瞬間である。数年の付き合いのある友人。完全に男、同性だと思っていた友人が、まさかの異性であった……こんな漫画のような展開があっていいのか?
「そうだよ。やっと気付いてくれたんだね。」
「いや、え……? だってお前、その……お、OPPAI小さいしさ……それに今までもそんな素振り、見せなかっただろ……?」
俺は中学の時に真珠と出会って以来、結構な時間を真珠と過ごしてきた。春~冬の長期休暇・夏祭り・海・クリスマス・初詣・バレンタイン等など。それはもう毎年のようにイベント事を一緒に過ごしてきた。だが気が付かなかった。
……いや、本当は気が付いていたのかもしれないな。だが俺の脳内が、俺の心が、真珠の事は女だと思ってはいけない、真珠は男なんだと無理やり信じ込ませてきたのかもしれない。
……正直な話、OPPAIが小さすぎて女だとは思わなかった。
「正義はホント~~~……に酷いよね。僕は今までもずっと女の子だってアピールしてたんだよ? でも全然信じてくれなかったよね。やっぱりこの小さい胸が駄目だった?」
「……あの、何か、その……本当、すんまんした……」
この尋常じゃない程の罪悪感……心が、心が痛い……まさかこの俺が同性と異性を間違えるとは……それも数年単位で。
「……あ~あ、やっぱり胸かー。そうだよね。正義は大きい胸の女の人が好きなんだもんね。だからあの人達と一緒に行動してるんでしょ? じゃなきゃあんな人達と一緒に行動するわけないもんね? ね?」
真珠がルビサファ姉妹と一緒に行動している理由について、OPPAIが理由なんだろうと言ってきた。確かにルビーのOPPAIは魅力的だ。次は是非とも吸って舐めてをしてみたいと思っている。だが二人と一緒に行動しているのは、それだけが理由ではない。というよりも、俺が望んで一緒に行動しているわけではない。
「いやまぁ、それもないとは言えないが、別にそれだけが理由じゃあないぞ。というよりも、別に俺から頼んだわけではない。なし崩し的に何となく一緒に行動してるってだけだ。」
「……っていう事はさ。別に彼女達と別れても問題ないって事だよね?」
「んー、いやまぁ、そうなる……のか? ただ今すぐに別れるのは無理だ。少なくとも、冒険者の区分をもう一個上のブロンズに上げるまでは一緒に行動しないといけない。」
「じゃあそれが終わったら彼女達と別れてさ、それから僕と二人っきりで行動しようよ。いいよね? 別に彼女達と何か身体の関係があるとかってわけでもないでしょ? 仮にそうだとしても別れても問題ないよね? だって正義には僕がいるもんね? 他の女なんて必要ないよね?」
何か真珠の様子がおかしい。あの治療所ではいつもの、俺が知っている真珠だった。だが二人っきりになって、真珠が服を脱いで女だと判明してからは、いつもの冷静さがなくなってきつつある。
これはまるで……そう、ヤンデレ。まるでヤンデレな彼女かのような変貌っぷりだ。
「……真珠……? お前、何か変だぞ? いいから、ちょっと落ち着け……」
「正義……もう、いいよね? 僕、ずっと我慢してきたもんね? だから、いいよね? どうせこのままこの世界にいたら、いつか敵に襲われて死ぬかもしれないもんね? だからもう、我慢する必要なんかないよね?」
「ちょ、まっ……!」
真珠がものすごい力で俺をベッドに押し倒し、そのまま俺の唇に自分の唇を重ねてきた! これは……口づけ! つまりキス! そう、俺は今真珠とキスをしているんだ!! 頭が混乱してテンションがおかしな事になってしまっている!
「……んっ……♡」
「んーーーーーーー!」
なんて力だ……俺程度の力では、とてもじゃないが振りほどくなんてできそうにない! 自分よりも細い異性に、左腕一本で両腕を抑えられ、あまつさえ唇も奪われる……こんなに情けない事があっていいのか!?
さらに、こんな情けない状況にも関わらず、俺の息子はしっかりと反応している……! いや、こんな状況だからこそ、か……
本能的に悟ったんだろう……ずっと守ってきた大切なもの、それを捨てるのは今しかないと……! 受け入れようじゃないか。例え男のくせに情けないと他者に蔑まれようとも、俺は今! ここで! 童貞を……捨てる!!
◆◇◆
「……チュンチュン」
「……ん? ……なんだ、もう朝か……」
窓から差し込む朝日の眩しさで、俺は目を覚ました。外では小鳥の囀る声が聞こえる。
「……スー……スー……」
ふと隣を見ると、真珠が可愛らしい寝息を立て、幸せそうな寝顔を浮かべながら眠っていた。
真珠の頭をそっと撫でる。俺は昨日、今まで大切に守ってきた物を捨て、男として遥か高みとも言えるステージへと至った。この真珠と一緒に。
そう……俺は昨日、童貞を捨てた。
数年越しの真実発覚の瞬間である。数年の付き合いのある友人。完全に男、同性だと思っていた友人が、まさかの異性であった……こんな漫画のような展開があっていいのか?
「そうだよ。やっと気付いてくれたんだね。」
「いや、え……? だってお前、その……お、OPPAI小さいしさ……それに今までもそんな素振り、見せなかっただろ……?」
俺は中学の時に真珠と出会って以来、結構な時間を真珠と過ごしてきた。春~冬の長期休暇・夏祭り・海・クリスマス・初詣・バレンタイン等など。それはもう毎年のようにイベント事を一緒に過ごしてきた。だが気が付かなかった。
……いや、本当は気が付いていたのかもしれないな。だが俺の脳内が、俺の心が、真珠の事は女だと思ってはいけない、真珠は男なんだと無理やり信じ込ませてきたのかもしれない。
……正直な話、OPPAIが小さすぎて女だとは思わなかった。
「正義はホント~~~……に酷いよね。僕は今までもずっと女の子だってアピールしてたんだよ? でも全然信じてくれなかったよね。やっぱりこの小さい胸が駄目だった?」
「……あの、何か、その……本当、すんまんした……」
この尋常じゃない程の罪悪感……心が、心が痛い……まさかこの俺が同性と異性を間違えるとは……それも数年単位で。
「……あ~あ、やっぱり胸かー。そうだよね。正義は大きい胸の女の人が好きなんだもんね。だからあの人達と一緒に行動してるんでしょ? じゃなきゃあんな人達と一緒に行動するわけないもんね? ね?」
真珠がルビサファ姉妹と一緒に行動している理由について、OPPAIが理由なんだろうと言ってきた。確かにルビーのOPPAIは魅力的だ。次は是非とも吸って舐めてをしてみたいと思っている。だが二人と一緒に行動しているのは、それだけが理由ではない。というよりも、俺が望んで一緒に行動しているわけではない。
「いやまぁ、それもないとは言えないが、別にそれだけが理由じゃあないぞ。というよりも、別に俺から頼んだわけではない。なし崩し的に何となく一緒に行動してるってだけだ。」
「……っていう事はさ。別に彼女達と別れても問題ないって事だよね?」
「んー、いやまぁ、そうなる……のか? ただ今すぐに別れるのは無理だ。少なくとも、冒険者の区分をもう一個上のブロンズに上げるまでは一緒に行動しないといけない。」
「じゃあそれが終わったら彼女達と別れてさ、それから僕と二人っきりで行動しようよ。いいよね? 別に彼女達と何か身体の関係があるとかってわけでもないでしょ? 仮にそうだとしても別れても問題ないよね? だって正義には僕がいるもんね? 他の女なんて必要ないよね?」
何か真珠の様子がおかしい。あの治療所ではいつもの、俺が知っている真珠だった。だが二人っきりになって、真珠が服を脱いで女だと判明してからは、いつもの冷静さがなくなってきつつある。
これはまるで……そう、ヤンデレ。まるでヤンデレな彼女かのような変貌っぷりだ。
「……真珠……? お前、何か変だぞ? いいから、ちょっと落ち着け……」
「正義……もう、いいよね? 僕、ずっと我慢してきたもんね? だから、いいよね? どうせこのままこの世界にいたら、いつか敵に襲われて死ぬかもしれないもんね? だからもう、我慢する必要なんかないよね?」
「ちょ、まっ……!」
真珠がものすごい力で俺をベッドに押し倒し、そのまま俺の唇に自分の唇を重ねてきた! これは……口づけ! つまりキス! そう、俺は今真珠とキスをしているんだ!! 頭が混乱してテンションがおかしな事になってしまっている!
「……んっ……♡」
「んーーーーーーー!」
なんて力だ……俺程度の力では、とてもじゃないが振りほどくなんてできそうにない! 自分よりも細い異性に、左腕一本で両腕を抑えられ、あまつさえ唇も奪われる……こんなに情けない事があっていいのか!?
さらに、こんな情けない状況にも関わらず、俺の息子はしっかりと反応している……! いや、こんな状況だからこそ、か……
本能的に悟ったんだろう……ずっと守ってきた大切なもの、それを捨てるのは今しかないと……! 受け入れようじゃないか。例え男のくせに情けないと他者に蔑まれようとも、俺は今! ここで! 童貞を……捨てる!!
◆◇◆
「……チュンチュン」
「……ん? ……なんだ、もう朝か……」
窓から差し込む朝日の眩しさで、俺は目を覚ました。外では小鳥の囀る声が聞こえる。
「……スー……スー……」
ふと隣を見ると、真珠が可愛らしい寝息を立て、幸せそうな寝顔を浮かべながら眠っていた。
真珠の頭をそっと撫でる。俺は昨日、今まで大切に守ってきた物を捨て、男として遥か高みとも言えるステージへと至った。この真珠と一緒に。
そう……俺は昨日、童貞を捨てた。
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