38 / 56
第37話、何が起きたのか2
しおりを挟む
「まずあの二人だけど……死んだよ。二人共ね。」
まぁ何となくそうだろうなと思っていたが……そうか、死んだのか。
「ただ……あの男の人は、蘇生されて今敵側についてる、と思う。」
「……どういう事だ?」
「結構ややこしい事になっててさ。まず、あの女の子は死んだよ。最初に殺された。そしてその次に、あの男の人が殺されたんだけど、その後敵に蘇生されて蘇ったんだよね。」
「……」
「正直僕もどういう状況なのか、イマイチ理解できてなくてさ。ん~……まず順を追って話すね。」
◆◇◆
「って感じかな。」
「……」
なるほどな……全くもって意味が分からない。
真珠の話はこうだ。まず、真珠達一行は魔王的存在を倒すため、旅をしてこの町に辿り着き、物資補給等をしてすぐに町を出た。そしてこの町から少し進んだ場所で、魔王的存在の側近を名乗る奴が現れたらしい。真珠の話ではアンデット種との事だ。
そして真珠達はその魔王的存在の側近、面倒だから魔王の側近としよう。そいつと戦う事になってしまった。真珠達は一応勇者とかそんな感じの立ち位置なので、今の段階でも十分強い。だが魔王の側近には全く歯が立たなかったとの事だ。
その魔王の側近との戦いで、まず大人しめの女が殺られた。何でも回復魔法を使える人間は今の魔王一向にとってはかなり厄介な存在らしく、そんな理由でまず大人しめの女が殺られたらしい。それも瞬殺で。
そして次にビッチが喉を潰された。魔法使いは喉さえ潰せば後は役立たず同然なので、それくらいで済んだようだ。そして次は真珠の腕、そして最後にごつめの男が殺されたらしい。
だがごつめの男は死ぬ直前に何か敵に向かって叫んでいたらしく、それが理由かは分からないが死亡後に即蘇生され、そのまま敵側についたとか何とか。何を叫んでいたかは分からないが、敵に寝返った事からもあまりいい内容の話ではないのだろう。
魔王の側近は元々人間だったらしく、情けからか真珠とビッチはそのまま解放され、何とかこの町まで逃げ帰ってきたようだ。そして今に至ると。
「……ふぅ。とまぁそんな訳さ。」
「……」
「僕達はあいつに手も足も出なかった。そして身体はこんな有様……」
「……そうか……」
俺は真珠になんて声をかければいいんだろうか。真珠達程強くても、その魔王の側近とやらには対抗できなかった。しかもその結果、一人は死に、一人は的に寝返った。
正直怪我自体は治せる可能性があるのだが、真珠達に怪我は治してやるから修行し直してもう一回戦ってこい、とは流石に言えない。
というよりもそもそも何で魔王を倒す必要があるんだ? 何か見た所この町も平和そうだし、魔王のせいで世界がヤバいなんて感じは正直しない。前の町は、まぁ気の毒ではあったが、あれは魔王の命令でというわけでもないだろう。エメラルドを見るに、あれは完全に自分の欲望を満たすための行動だと思われる。
それにルビサファ姉妹やその他の冒険者も特に、打倒魔王! みたいな事を掲げているような感じもしない。まぁ前の町も今の町もそこまで大きくはないようなので、もしかしたらもっと大きな町ではそんな感じなのかもしれないが。
だから別に魔王を倒さなくたっていいんじゃないだろうか。魔王を倒さなかったら俺達はずっとこの世界にいないといけないわけだが、俺に関してはむしろその方がいいんじゃないかとすら思っている。
このまま冒険者の区分をブロンズまで上げ、その後当初の予定通り回復薬を売る商売でも始めれば、金に困ることはなくなるはずだ。まぁ上手く行けばの話だが。
それに商売が上手く行かなかったとしても、最悪このまま冒険者としてやっていけば、一番上等は無理でもブロンズの上くらいまでは行けるかもしれない。そうしたらそれなりの生活を送る事も可能だろう。
仮に魔王が本格的に世界を滅ぼそうと動き出したとしても、真珠達がどうにもできなかった連中に俺が立ち向かえるわけもなし。その時は大人しく死を受け入れるしかない。だがもかしたら冒険者の上の連中や、その他の何か強い人達が何とかしてくれるかもしれない。
つまり、このままここで暮らしていけば、それで十分な人生が遅れるような気がする。少なくとも今の所は。
それにここでなら、楽に童貞卒業だってできるかもしれないしな。常に命の危険に晒されている方が、何か子孫を残す的な意味で楽に合体できそうなイメージがある。俺は基本的に、旨い飯とそれなりの睡眠、そして最高の性欲発散ができればそれでいいのだ。
まぁ何となくそうだろうなと思っていたが……そうか、死んだのか。
「ただ……あの男の人は、蘇生されて今敵側についてる、と思う。」
「……どういう事だ?」
「結構ややこしい事になっててさ。まず、あの女の子は死んだよ。最初に殺された。そしてその次に、あの男の人が殺されたんだけど、その後敵に蘇生されて蘇ったんだよね。」
「……」
「正直僕もどういう状況なのか、イマイチ理解できてなくてさ。ん~……まず順を追って話すね。」
◆◇◆
「って感じかな。」
「……」
なるほどな……全くもって意味が分からない。
真珠の話はこうだ。まず、真珠達一行は魔王的存在を倒すため、旅をしてこの町に辿り着き、物資補給等をしてすぐに町を出た。そしてこの町から少し進んだ場所で、魔王的存在の側近を名乗る奴が現れたらしい。真珠の話ではアンデット種との事だ。
そして真珠達はその魔王的存在の側近、面倒だから魔王の側近としよう。そいつと戦う事になってしまった。真珠達は一応勇者とかそんな感じの立ち位置なので、今の段階でも十分強い。だが魔王の側近には全く歯が立たなかったとの事だ。
その魔王の側近との戦いで、まず大人しめの女が殺られた。何でも回復魔法を使える人間は今の魔王一向にとってはかなり厄介な存在らしく、そんな理由でまず大人しめの女が殺られたらしい。それも瞬殺で。
そして次にビッチが喉を潰された。魔法使いは喉さえ潰せば後は役立たず同然なので、それくらいで済んだようだ。そして次は真珠の腕、そして最後にごつめの男が殺されたらしい。
だがごつめの男は死ぬ直前に何か敵に向かって叫んでいたらしく、それが理由かは分からないが死亡後に即蘇生され、そのまま敵側についたとか何とか。何を叫んでいたかは分からないが、敵に寝返った事からもあまりいい内容の話ではないのだろう。
魔王の側近は元々人間だったらしく、情けからか真珠とビッチはそのまま解放され、何とかこの町まで逃げ帰ってきたようだ。そして今に至ると。
「……ふぅ。とまぁそんな訳さ。」
「……」
「僕達はあいつに手も足も出なかった。そして身体はこんな有様……」
「……そうか……」
俺は真珠になんて声をかければいいんだろうか。真珠達程強くても、その魔王の側近とやらには対抗できなかった。しかもその結果、一人は死に、一人は的に寝返った。
正直怪我自体は治せる可能性があるのだが、真珠達に怪我は治してやるから修行し直してもう一回戦ってこい、とは流石に言えない。
というよりもそもそも何で魔王を倒す必要があるんだ? 何か見た所この町も平和そうだし、魔王のせいで世界がヤバいなんて感じは正直しない。前の町は、まぁ気の毒ではあったが、あれは魔王の命令でというわけでもないだろう。エメラルドを見るに、あれは完全に自分の欲望を満たすための行動だと思われる。
それにルビサファ姉妹やその他の冒険者も特に、打倒魔王! みたいな事を掲げているような感じもしない。まぁ前の町も今の町もそこまで大きくはないようなので、もしかしたらもっと大きな町ではそんな感じなのかもしれないが。
だから別に魔王を倒さなくたっていいんじゃないだろうか。魔王を倒さなかったら俺達はずっとこの世界にいないといけないわけだが、俺に関してはむしろその方がいいんじゃないかとすら思っている。
このまま冒険者の区分をブロンズまで上げ、その後当初の予定通り回復薬を売る商売でも始めれば、金に困ることはなくなるはずだ。まぁ上手く行けばの話だが。
それに商売が上手く行かなかったとしても、最悪このまま冒険者としてやっていけば、一番上等は無理でもブロンズの上くらいまでは行けるかもしれない。そうしたらそれなりの生活を送る事も可能だろう。
仮に魔王が本格的に世界を滅ぼそうと動き出したとしても、真珠達がどうにもできなかった連中に俺が立ち向かえるわけもなし。その時は大人しく死を受け入れるしかない。だがもかしたら冒険者の上の連中や、その他の何か強い人達が何とかしてくれるかもしれない。
つまり、このままここで暮らしていけば、それで十分な人生が遅れるような気がする。少なくとも今の所は。
それにここでなら、楽に童貞卒業だってできるかもしれないしな。常に命の危険に晒されている方が、何か子孫を残す的な意味で楽に合体できそうなイメージがある。俺は基本的に、旨い飯とそれなりの睡眠、そして最高の性欲発散ができればそれでいいのだ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
ミステリアスな王太子は 花嫁候補の剣士令嬢を甘く攻め落とす【コルティア国物語Vol.1】
桜井 恵里菜
ファンタジー
伯爵令嬢 × 近衛隊隊員
花嫁候補 × 王太子
複雑に絡み合う人間関係と恋模様
甘い恋に落ちるのは、果たして誰?
*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈໒꒱⋆*
伯爵令嬢のクリスティーナは 近衛隊の連隊長を父に持つ とんだじゃじゃ馬娘
ある時は男装の凄腕剣士
そしてまたある時は 王太子の花嫁候補
そんなクリスティーナに 甘い恋はやってくるのか?

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

魔法召いのリキ・ユナテッド
リオ
ファンタジー
魔法学園に入ることになったリキ・ユナテッド。魔法など使えないと思っていたが実は使え、適当に召喚魔法を口にすると小さな兎が現れた。知能があり、よく喋るその兎は炎属性。
どうやらリキが喚び出す召喚獣は誰かに反応して生まれてくるようで、他に水属性,風属性などの召喚獣ーー全てで四体の召喚獣が召喚可能となる。
『誰かにつくことで属性を付加させる能力を発揮する召喚獣』は、決まった者にしかつかない。その決まった者、召喚獣に選ばれた者とリキと召喚獣その他の物語。学園で出会い、その後どうするのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる