8 / 56
第7話、強制連行
しおりを挟む
「私の左腕を治したのはあんたね!?」
俺が気持ちよく眠っていると、いきなり勢いよく扉が開け放たれ、女性と思われる怒鳴り声が聞こえた。誰だ、俺の安眠を妨げる不届き者は。俺は若干の怒りを込めて声のした方へ目をやった。
するとそこには、俺が左腕を治した赤髪の美人が立っていた。そういえば左腕を治したとか何とか叫んでいた気もする。どうやったのかは分からないが、何らかの方法で俺の居場所を突き止めたのだろう。これは非常に不味い状況だ。
俺はどう答えようか悩んでいると、赤髪の美人がズカズカと俺の方へ歩み寄り、目の前で怒鳴った。
「ねぇ! 聞いてるの!? 私の左腕を治したのはあんたかって聞いてんの!」
「……だったらどうする?」
俺は舐められたらいけないと思い、精一杯強がって言葉を発した。正直内心では滅茶苦茶ビクビクしてる。赤髪の美人は結構きつめな感じの美人なので、目の前で凄まれると普通に怖い。
「! やっぱりあんたがやったのね!? ねぇ、どうやって私の左腕を治したの!?」
赤髪の美人が目の前で凄む。さて、どうしたものか。本当の事を言うのは簡単だが、おそらく信じてはもらえないだろう。目の前でやってみせれば別だろうが。
それにもし信じてもらえたとしても、自分の身体に精液を浴びせられたと知ったら相手がどう出るか分からない。この赤髪の美人は結構気性が荒いように思える。多分ぶん殴られるか、最悪死を覚悟しないといけないかもしれない。
だがここで下手に出るのはよくない。俺の第六感がそう告げている。俺はまたもや、精一杯強がったセリフを言った。
「……知りたいか?」
「……言い方を変えるわ。私の左腕を治した方法はまだ使える!?」
左腕を治した方法はまだ使えるかと来た。ははーん、読めてきたぞ。こいつは俺がどうやって治したのか知りたいわけじゃなく、同じようなことを別の人間だかに使ってほしい、多分そんな感じのことを考えているんだな?
「……何故そんな事を聞く?」
(……ダン!)
ひっ……怖いこの人! 俺が強気な感じで返答したら思い切り床ドンしやがった。もう、下の階の人に迷惑がかかるでしょ! 俺はそんな下らないことを考えてしまう程、余裕がなくなってきた。俺は余裕がない時程、下らない事等を考えて目の前の状況から逃避する癖がある。
「もう一度聞くわ……私の左腕を治した方法はまだ使える!? 答えて! 私には時間がないの!」
「あっ、そ、その……使えます……」
俺はついに日和ってしまった。だってこの赤髪の美人怖いんだもん。俺をここまでビビらせた女性は、小5の頃の担任くらいなもんだ。あの時の先生には鬼が見えた。この赤髪の美人にも先生と同じ威圧感的な物を感じる。
「使えるのね!? じゃあ私と一緒に来て!」
赤髪の美人はそう言うと、無理やり俺の腕を引っ張って走り出した。美人の女性に手を引っ張られながら走る。状況が状況だったらすごくドキドキするシチュエーションだ。だが今は何をさせられるのかという恐怖があるため、別の意味でドキドキしている。
◆◇◆
赤髪の美人に腕を引かれ走り続けること数十分。俺達は町外れの洞窟へと到着した。結構な速度で走らされ続けたので、俺はこれでもかというくらい息が上がっている。恐怖感も相まってもうバテバテだ。
「お願い! この子を治してあげて!」
洞窟に到着するやいなや、赤髪の美人がそんな事を叫び始めた。赤髪の美人がいる方向へと目を向けると、そこには滅茶苦茶グロテスクな状態の人間が倒れていた。
俺が気持ちよく眠っていると、いきなり勢いよく扉が開け放たれ、女性と思われる怒鳴り声が聞こえた。誰だ、俺の安眠を妨げる不届き者は。俺は若干の怒りを込めて声のした方へ目をやった。
するとそこには、俺が左腕を治した赤髪の美人が立っていた。そういえば左腕を治したとか何とか叫んでいた気もする。どうやったのかは分からないが、何らかの方法で俺の居場所を突き止めたのだろう。これは非常に不味い状況だ。
俺はどう答えようか悩んでいると、赤髪の美人がズカズカと俺の方へ歩み寄り、目の前で怒鳴った。
「ねぇ! 聞いてるの!? 私の左腕を治したのはあんたかって聞いてんの!」
「……だったらどうする?」
俺は舐められたらいけないと思い、精一杯強がって言葉を発した。正直内心では滅茶苦茶ビクビクしてる。赤髪の美人は結構きつめな感じの美人なので、目の前で凄まれると普通に怖い。
「! やっぱりあんたがやったのね!? ねぇ、どうやって私の左腕を治したの!?」
赤髪の美人が目の前で凄む。さて、どうしたものか。本当の事を言うのは簡単だが、おそらく信じてはもらえないだろう。目の前でやってみせれば別だろうが。
それにもし信じてもらえたとしても、自分の身体に精液を浴びせられたと知ったら相手がどう出るか分からない。この赤髪の美人は結構気性が荒いように思える。多分ぶん殴られるか、最悪死を覚悟しないといけないかもしれない。
だがここで下手に出るのはよくない。俺の第六感がそう告げている。俺はまたもや、精一杯強がったセリフを言った。
「……知りたいか?」
「……言い方を変えるわ。私の左腕を治した方法はまだ使える!?」
左腕を治した方法はまだ使えるかと来た。ははーん、読めてきたぞ。こいつは俺がどうやって治したのか知りたいわけじゃなく、同じようなことを別の人間だかに使ってほしい、多分そんな感じのことを考えているんだな?
「……何故そんな事を聞く?」
(……ダン!)
ひっ……怖いこの人! 俺が強気な感じで返答したら思い切り床ドンしやがった。もう、下の階の人に迷惑がかかるでしょ! 俺はそんな下らないことを考えてしまう程、余裕がなくなってきた。俺は余裕がない時程、下らない事等を考えて目の前の状況から逃避する癖がある。
「もう一度聞くわ……私の左腕を治した方法はまだ使える!? 答えて! 私には時間がないの!」
「あっ、そ、その……使えます……」
俺はついに日和ってしまった。だってこの赤髪の美人怖いんだもん。俺をここまでビビらせた女性は、小5の頃の担任くらいなもんだ。あの時の先生には鬼が見えた。この赤髪の美人にも先生と同じ威圧感的な物を感じる。
「使えるのね!? じゃあ私と一緒に来て!」
赤髪の美人はそう言うと、無理やり俺の腕を引っ張って走り出した。美人の女性に手を引っ張られながら走る。状況が状況だったらすごくドキドキするシチュエーションだ。だが今は何をさせられるのかという恐怖があるため、別の意味でドキドキしている。
◆◇◆
赤髪の美人に腕を引かれ走り続けること数十分。俺達は町外れの洞窟へと到着した。結構な速度で走らされ続けたので、俺はこれでもかというくらい息が上がっている。恐怖感も相まってもうバテバテだ。
「お願い! この子を治してあげて!」
洞窟に到着するやいなや、赤髪の美人がそんな事を叫び始めた。赤髪の美人がいる方向へと目を向けると、そこには滅茶苦茶グロテスクな状態の人間が倒れていた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる