私と彼女の逃避行

といろ

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幕間 彼女に纏う身勝手なあれこれ

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 彼女の話を聞いて、難儀だなあと思う件について。「家庭の事情」というやつはさておいて、学校の話。

 わたしからクラスメイトに彼女の話題を振ることはないけれど、逆はそれなりにある。あんまり喋ったことない男子とかに。しかも、どうでもいい話を、小さな悪意を持って。

 彼女が他校の男子生徒とセックスをしたとか、実はその人と付き合っているらしいとか、そんな話。実はってなんだ。もしそれが真実だったとして、何の悪いことがあるんだろう。そして「お前は気を付けろよ」って言うその言葉はどこ目線のどういう意図を持ったものなんだろう。
 というか、わたしは彼女からそんな話聞いたことがないけれど。聞き覚えがあるのは、中学のときに告白してきた男子とちょっとめんどくさい関係が続いていて疲れたとか、そんな話だけだ。それはでもまあ、彼女がわたしにそういう性的な部分を話していないだけかもしれないけれど、それならわたしは知らないままでいい。だって彼女から聞いたわけではないのだし。もし彼女が私に話すのだとしたらそれは聞く。

 彼女とわたしは高校一年生のクラスが一緒だっただけで、二年、三年はクラスだけじゃなくコースも離れてしまったし、だから、クラスでの彼女の様子には詳しくない。それでもクラスの子が面白半分に話す彼女とその周りで起こった事件の内容と、彼女の口から聞く内容が違っていたら、やっぱり彼女を信じてしまう。

 学校での話を続けると、彼女のクラスの先生は正直彼女にとって地雷じゃないかなあと思う。だって、あの人はなんというか、精神論で喋るから。

 日常にあふれる根拠のない助言や具体策を伴わない指示に、彼女はいつもうんざりしていると言っていた。せめて学校の先生くらいは、彼女の日常を脅かさないものであってくれればよかったのに。


 随分前に、彼女がこう言っていたことがある。

「たまに、私は世界に嫌われてるんじゃないかって思う」


 へらりと笑って言った彼女の、悲しいことといったらない。
 その感覚はわたしにもあって、彼女と共有して初めて、この不公平感は「中二病」じゃないのだと知った。「わかる」とか簡単な言葉で片付けてしまいたくなくて、とっさに返事ができなかったあのときのこと、今でも後悔している。
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