一話読み切り突っ走れエロス・女性向けR18愛する男とイク夢世界

初恋はさめたはずの幼馴染

エロスの正体

　恋愛は恋が消えて愛が残るのだろう。それでも、恋するトキメキは、ときに経験したい。
　智也がお見合いは断ることにした。オトナの事情というのは、食事会でお茶を濁してなんとかなったらしい。大人の対応ってものだろう。
「正式に振られるよりは、と高井さんも考えたらしいよ」
　智也が若菜と話したという。
「ともやくんオシだけなら。ま、我慢できるから」
　同級生のリーダーとしては頼もしい面もある。恋愛が絡まなければ、友情は成り立つ。
「それで。いよいよ俺の世界へこないか」
　いや、ここは素直な言葉で聞きたい。
「ほほう。そういう口説き方で承諾しますか女が」
「まりちゃんなら。いいじゃん」
　ほんとにムードはないというか女心を分かってないらしい。
「ちがうの」
「そうか。うん。結婚しよう」
　それは願ってもないが、順序もあると思う。
「それは早い。ま、良いか。結婚を前提でお付き合いしてください」
　理解しあった仲でも、言葉にしないと分からないことが男と女の間にはあるようだ。

　今は見晴らしの良いレストランで座っている。そこへ来た伊藤健斗。ここで待ち合わせもしていた。
「どうだね。エロスのアプリは役にたちそうか」
「おかげさまで。立体映像とニューヘリウムを使ったスケートボードは夢みたいですね」
　どこでも絨毯はワンボックスカーと立体映像の組み合わせだ。
「春菜さんも来れるかな」
　智也も同級生だから気になるらしい。
「場所を間違えたとか」
「有りえる」春菜とはたまに会って情報を交換していた。

　そこへ丈二がきた。
「父さん。美咲は春菜さんを迎えに行くらしい。ガソリンを入れ忘れたとか」
　美咲と春菜はアパートが近くで、同郷だから顔見知りでもある。
「春菜らしいよ。本当に空飛ぶ絨毯があればねー」
　麻理は、これから話し合うことを思いだす。エロスが恋愛の危機を救ったアプリなのは確かだ。応用すれば高齢者へ夢も見せられるし、恋愛の悩みも解決してくれるだろう。

　そして、性愛と純愛をひとつにするため。恋に悩む女性の元へエロスは激走した。


　
　　　　３話・終わり