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二章

46.君じゃない

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「名前!『君』じゃない」

 そういえばまだこの子の名前知らなかったな。フレというのか。君と呼んだことで少し怒らせてしまったのだろうか睨む様にこちらを見ている。

「ご、ごめん、えっとフレ?」

「うん!」

 満面の笑顔を浮かべる少女。気持ちの切り替えが早いなぁ。この子が将来とんでもない男垂らしにになる未来が見える。なんとしてもそれだけは阻止しなくては。


「いい、名前だね」

 なんだか懐かしい名前だ。何故だかわからないがとても温かく心が満たされる様な名前だ。明るく前向きでフレという名前の通り炎の様に暗闇を照らしてくれるそんな子だ。誰が名づけたのだろう素晴らしいネーミングセンスだ。

「お母さんにつけてもらったの?」

「うんうん、元からつけていたこれに書かれてたの」

『!!』

 そう言ってフレは首にかけていた長丸型のプレートらしきものを外して見せてくれた。服の下に隠れていたのか全く気付かなかった。金属でできているのか日に当たり光沢を放っている。色は薄い桃色でどこか優しさを纏ったその美しさに目を奪われる。

 そしてふとそのプレートの中心部に何か凹みがあり気になって身を凝らす。それは一見するとただの傷の様だが違う、これがさっき言っていた『フレ』という文字なんだろう。あまりにギザギザで例の石小屋の本で見た文字とは似ても似つかない。


『わー、綺麗こんな色初めて見た!やっぱり合わせもってるのかしら』

『そう、ゆっくりと、あっちょあはは、もう一回ね』

『ダメよ、これは大切なしきたりなの1人でやらないとね』


「誰だ!?!?」
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