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二章
43.見覚えのある少女
しおりを挟む「んん?」
電気を消すために体を起こし目を開けるとそこには薄塗れた幼い少女がいた。不思議そうな顔をしながらこちらを見つめている。誰だこの子は。
「あれ?」
何故だろうどこか見覚えがある。それとこの子を見ているとなんだか胸が苦しくなる。胸を締め付けられるような溺れて息のできないような。原因不明の苦しさに耐えきれずしゃがみ込んでしまう。一体なんなんだ。
「えっ!お兄ちゃんどうしたの!?」
心配する少女の声を耳にした瞬間、同時に脳裏に昨夜の出来事が凄まじい勢いでフラッシュバックする。目の前で亡くなった女性の苦悶の表情、少女の笑顔、毒々しい魚。そうだ思い出した。なんで忘れていたんだろう俺は少女と旅をしているんだった。それにしても2日連続で同じ夢を見ることなんてあるんだな。
「だ、だいじょう?」
「ああ、ちょっと立ちくらみがしただけだそれよりなんかいい匂いがするけど」
何か焼いているのか香ばしい匂いが漂ってくる。そしてそれに混ざって独特な匂いがする。何かで例えるならば雨の後に土を掘り返した時にするジメジメとした匂いが一番近いだろうか。
「え、ああ気づいた?昨日はお兄ちゃんが魚取ってきてくれたから代わりに今日は私が用意したの、気に入ってくれるといいけど」
そう言われ周りを見渡すと焚き火が焚かれていてその周りには傘状の部分と棒状の部分でできたスポンジの様なものが枝に串刺しで焼かれている。普通に見るならばキノコだろうか。
「わざわざ用意してくれたのか、ありがとな、」
俺は少女の頭に手を当てぎこちない手つきで撫でる。わしゃわしゃと撫でると元々ボサボサだった少女の髪がさらに酷い状態になったのは言わないでおこう。
「えへへ、、」
嬉しそうに笑顔を向けてくる少女。なんていい子なんだ。明るく、強くそして相手を思いやれる。こんな娘がいたらきっと毎日が楽しいだろうな。
「どころでそれはどんな食べ物なんだ?」
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