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二章
27.鋭い眼光
しおりを挟む「はぁ、はぁ、はぁ、、」
全力疾走で息を切らしながら校門までたどり着くと予鈴のチャイムが鳴るのが聞こえてくる。つまり遅刻が確定したということだ。慌てて下駄箱で上履きに履き替え教室へと向かう。
「今日はこの古文を実際に読んで、、、」
ちょうど担任の先生が古文の授業を始めようとしているところだった。このまま堂々と入室すると確実に昨日と同じ光景が繰り返される。それは何とか阻止しなくては。気づかれないように息を潜めながら四つん這いになりこっそりと自分の窓際の席へと向かう。
「葉くん、見えてるわよーー」
「は、はい!」
(で、ですよねー、、)
先生の目は誤魔化せないらしい。なんて鋭い眼光だ。蛇に睨まれたカエルのように体が固まってしまう。これが先生と言う生き物か、生徒の管理には抜かりがない。
「まったく、こんなに遅刻続きじゃ親御さんに相談しなきゃいけなくなるわよ?」
「す、すいません」
クラスメイトの笑い声が聞こえる。人の遅刻の何がおかしいんだか。そんな減らず口が叩けるだけの肝っ玉があるならこんなに苦労していない。あまりの恥ずかしさに赤面してしまう。これが穴があったら入りたい気分ってやつか。
「おい、葉、流石に俺もいたたまれなくなってきたぞ、」
席に着くと隣の席の光が呆れた様な顔をしながら小声で話しかけてきた。
「仕方ないだろ、気がつくといつも遅刻してるんだよ」
俺も先生に気づかれない様に小声で話す。今怒られたばかりなのにまた何か言われるのは嫌だ。
「そんなわけないだろ、もっと早く寝るとかしたらどうなんだよ?」
「したよ!昨日なんか帰ってからすぐ寝たわ」
「葉、なぁ聞け、お前このままじゃ留年するかもしれないぞ俺と別のクラスになってもいいのか?」
「わかってるよ、そんなこと!お前は俺の親かっての」
心配してくれてるのはわかるが俺のことは俺が一番よくわかってる。たまに光は口うるさい。昔からこんな感じだからよく喧嘩してばかりだ。
「こら!そこ私語は厳禁よ」
どうやら聞こえてたみたいだ。話しかけてきたのは光なのに俺まで注意されたじゃないか。何で俺まで怒られないといけないんだ。先生の注意に2人ともバツが悪そうに俯く。
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