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一章
13.助けて
しおりを挟む(……うそだろ、この中に生き埋めにでもなっているのかよ、)
助けを求める女性の声は聞き間違えでなければ『山』の中からきこえてくる。そんなことを考えている間にも次第に小さくなっていく声。ここは腹を決めるしかない。
「うぅ、、」
思い切ってその『山』に手を入れた。中は生温くヌメヌメとしていて思わず手を抜きたい衝動に駆られる。嫌悪感を押し殺し、堪えながら死体をかき分ける。
「返事、返事をしてください!!」
焦る気持ちからか気づくと叫んでいた。蚊の音ほどまで小さくなった声は聞き取るのが難しく場所の特定なんてほぼできない。一心不乱にかき分ける。
「、、、、たすけて!」
俺の声に呼応する様に最後の力を振り絞る様に精一杯のかすれた声で助けを呼ぶ声が聞こえる。かなり近くだ声を頼りに死体をかき分ける。するとひとつだけ周りよりも少しだけ血色のいい手が現れる。
(……見つけた、これだ!!)
俺はその手をつかみ思いっきり引き抜ぬく。少し手荒いが緊急時だ仕方ない。すると中からまだ息をしている金髪の女性が姿を現した。その全身は傷だらけで息も絶え絶え。怯えた様子で目の焦点があっておらずどうやらパニックになっているようだ。
「もう大丈夫、大丈夫ですから、」
少しでも安心させようと肩に手を当て優しく言葉を投げかける。女性の体は小刻みに震えておりその恐怖を物語っている。
(……こんなになるなんていったい何があったんだ、)
「どうですか?落ち着きました?」
しばらく背中をさすっていると落ち着いてきたのか目の焦点も合い、体の震えもおさまってきた。簡単だがやはり人の温かみって大切だなと改めて思う。
「、、あ、り、とう」
「いえいえ、そんな、」
途切れ途切れではあるものの漏れる吐息ととも返事をする女性。少し苦しそうではあるがひとまず返事もできるようだし大丈夫だろう。それにしても状況から見るに俺のことを襲った『化け物』がこんな酷いことをしたんだろうか惨たらしい。
「いえいえ、えっと、それより何があっ、た、、、」
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