夢想の勇者(むそうのゆうしゃ)〜目覚めた先は異世界だった〜

攻め攻め

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一章

5.あの草原

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 風を感じた。普通の風ではないどこか温かい春の昼間に吹くようなそんな温かい風を。何故か懐かしささえ感じさせる不思議な風だ。

 (……俺、窓閉め忘れたっけ、まだ少し寒い時期だし閉めたはずなんだけどな、)

 ちょうど頭の上に窓があるため開いているなら風が入ってくるのはわかる。しかし春先の季節でしかも夜中というのに暖かい風というとはいささか不思議だ。少し疑問に思うものの眠さの方が勝り目を閉じる。


「ん?」

 今度はなぜか目を閉じているのにはずなのに強い光を感じる。俺にしては珍しい。俺は明るいとどうしても寝れないたちで豆電球の常夜灯でも眩しいと感じて寝れないほどだ。そのため必ずと言っていいほど電気は消して寝る。

「あれ、電気消し忘れたっけか?」

 眠い目を擦りながら電気を消すために体を起こし目を開ける。

ーー⁉︎
 突如として目を開けると痛いと感じるほどの光が一斉に目に飛びこんできた。

 咄嗟に目を閉じるもまだ眩しいほどだ。夜中にいきなり電気をつけたりすると眩しく感じることはあるがそれとはまた異質な明るさだ。電球にしては明るいしあまりに眩しすぎる。

「ん?あっ、えっ?」

 急な閃光に思わず間抜けな声を出して狼狽してしまう。予想外なことに混乱していたのだろう。もう一度確認のために瞼を開ける。

 急な明るさのせいだろうが視界が一面真っ白でなにも見えない。そこから一歩も動け無くなりただ吹き抜ける風を感じるだけだった。


「あれ、、俺って家で寝てたよな?」

 おそらく1、2分だろうか、少しすると目が明るさに慣れてきたのか周りが少しづつ見えるようになってきた。視界が戻り、恐る恐る目を開けた先にはあたり一面の草原が広がっていた。青々とした草原で心地の良い風が吹き抜けている。それにさっきまで夜だったはずなのに今や太陽が照りつける真っ昼間だ。

(……はは、こんな場所で日向ぼっこしたら気持ちいいだろうなぁ、)

 暖かい春のような心地よさと混乱が入り混じり脳が考えるのをやめそうになる。




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