タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

50,出発前に

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  二日間、入念に準備をした。まあ、することといえばタロットカードを浄化したり、ククリナイフを研いだりする程度だったけど。諸々はレベッカたちがやってくれるって言ってたから、私は三日間ろくに眠れなかった分体を休めてた。……だらだらしてたとも言うけど。
  そんな感じだったけどすぐに出発の日はきた。ここからまっすぐセリゼの森に向かうんじゃなくて、まずは人街のギルドに向かう。私たち以外にも協力を依頼された冒険者がいるみたい。最初に他の冒険者たちと合流、そのあとセリゼの森に行くみたい。
  人街のギルドに着くと、既に何人もの冒険者が待機していた。冒険者は自分たちの武器を確認したり、ポーションなんかの道具を確認したりしてる。他には冒険者じゃなさそうな子供たちが馬車に荷物を積み込んだりして働いてた。指揮を取ってる男の冒険者にみんなで近づいてく。

「すまない、遅れてしまっただろうか。『金の竪琴』到着した」
「いや、時間通りだ。今回指揮を取る人街ギルド所属のビルドノーツだ。ビルドと呼んでくれ」
「私はレベッカ。よろしく、ビルド」

  レベッカに続いて私達も自己紹介する。ビルドさんは丸い小盾を右手に付けて、腰には剣と棘のついた棍棒みたいなのを下げてる戦士だ。ドランさんより少し若いかな。四十歳前後に見える。

「馬車に荷物を積み終えたら出発になる。君らの馬車は最後尾だ」
「わかった。ありがとう」

  ビルドさんにお礼を言って最後尾の馬車に向かう。私たちの馬車にも子供が荷物を運び入れてた。もしかしてFランクの子達かな?  これもお使いクエストの一部なんだろうな。
  一旦バッグなんかの荷物を馬車に置いて、荷物が積み終わるまでの行動を確認する。

「とりあえず、私は他のパーティに挨拶に行ってくるよ。荷物はこの子達に任せて大丈夫だし」
「了解。俺はビルドに作戦の内容の確認してくる」

  そう言ってレベッカとギルさんは馬車から離れていった。私はどうしようかと思ってると、ミリアさんが話しかけてくる。

「アンジュさん、多分作戦については聞いてないわよね?」
「あ、はい。特には」
「じゃあ説明しとくわね。今回の作戦なんだけど、悪くいうと行き当たりばったりね。森の中での異変は奥で起こってるみたいだから、複数パーティで虱潰しに探す。そのあと何か見つけたら一気に潰す。そんな感じなのよ」
「それは……雑ですね」
「そうね。でもそれしかないのも事実なのよ。セリゼの森は広い。だからこそ異常の根源を探るには一気にやるしかないのよね」

  まあ言いたいことはわかるけど、本当に大丈夫なのかなあ。人数が多いなら確かに一斉に調べることはできるけど、その分気づかれやすくなるんじゃないのかな?
  勘づかれて、あの女の人に逃げられたくないんだけどなあ。気づかれても逃がさない。それが出来ればいいんだけど。いや、やるんだ。私なら、私のタロットカードなら出来るはず。絶対、逃がさない。

___________________________________________________

  おはようございます、こんにちは、こんばんは。新和浜です。
  かなり不安定な更新時間と頻度ですが、いつも読んでいただきありがとうございます。おかげさまでこのお話も50回まで続けることが出来ました。
  これからも続けていこうと思うので、よろしくお願いします。
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