タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

文字の大きさ
上 下
47 / 97
本編

46,一体何があるの?

しおりを挟む

  次の日、私はまたギルドに来た。またと言っても中央街のだけど。宿で占いをしていいか聞こうと思ったけど、昨日の食堂での混み具合からしても占いの場所は借りられなさそうだったから、ギルドに申請しに来たのだ。
  と言っても、詳しい決まり事とか知らないから、とりあえず説明を聞きに来たんだけどね。
  中央街のギルドも人街と特に変わらず、色んな手続きをカウンターでする形だった。

「十六番の方」
「あ、はーい」

  おお、担当の人は獣人だ。兎かな?  長い耳が頭の上に二つ伸びてる。

「今回担当しますフレミーです。よろしくお願いします。今日はどうしましたか?」
「あ、はい。私はアンジュといいます。今日は占いの話を聞きたくて。場所を貸してもらえるって聞いたんですけど、そこでの決まりとか色々質問したくて」

  そう言うと、ざわっ、とギルドの中が揺れた。ギルドの中にいる人たちがみんな私を見てひそひそ話してる。え、なに、占いするのって変なことじゃないよね。ミリアさんとも話したし。

「アンジュさん、占いはどなたがなさるんですか」

  すっごい引きつった笑顔でフレミーさんが聞いてくる。

「私です」

  そう言うと一瞬静かになって、またひそひそ話が始まる。というか、もうひそひそじゃない。何を考えてるんだ、とか、大丈夫なのかあの子、とか、色々聞こえてくる。そんなふうに言われるようなことなの……?

「すいません、占いするのに何か問題があるんですか?」
「いえ、占い自体に問題はないと言いますか……」

  聞いてみると歯切れの悪い返事が返ってくる。占い自体に問題がないってことは、別の問題があるってことなんだろうけどなんだろう?  あそこに人が寄り付かないのとなにか関係あるのかな?

「えっと……。アンジュさんは占い場所の代金のお話は聞いていますか?」
「あ、はい。一月銀貨五枚って聞いてます」
「ではその他の決まり事を説明させていただきます。料金は先払いです。使えるスペースは一つのテーブルです。使用した後はテーブルの上と周りを掃除すること。テーブルの上での飲食は可能ですが、テーブルに染みなどがつかないよう、極力気をつけること。以上が占い場所の貸出についての決まり事です」

  え、それだけ?  なんか市民センターとかにある共有スペースのルールみたいな感じだなあ。すごい普通の注意だ。

「他に禁止事項とかは特に?」
「そうですね、あまり匂いのきつい香を炊いていたりすると、注意が入る時もあります。基本的にはトラブルが起きない範囲ないであれば大丈夫ですよ」

  トラブルが起きない範囲って言う時だけ目を逸らしたのはなんでなんですか。
  これほんとに大丈夫かな?  少し不安ではあるけど、とりあえず一ヶ月だけ借りてみようかな。ダメだったらやめればいいし、あくまで趣味だからね。

「じゃあとりあえず一月分お願いします」
「本当によろしいんですね……?」
「え、はい」
「……かしこまりました」

  すごい悲痛な顔でフレミーさんが書類とかを用意してくれる。正直ここまで来ると、一体何が問題なのか見てみたくなってくるよね怖いもの見たさみたいな。……でも少し早まったかなあ?
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

理不尽な異世界への最弱勇者のチートな抵抗

神尾優
ファンタジー
友人や先輩達と共に異世界に召喚、と言う名の誘拐をされた桂木 博貴(かつらぎ ひろき)は、キャラクターメイキングで失敗し、ステータスオール1の最弱勇者になってしまう。すべてがステータスとスキルに支配された理不尽な異世界で、博貴はキャラクターメイキングで唯一手に入れた用途不明のスキルでチート無双する。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

聖女のおまけです。

三月べに
恋愛
【令嬢はまったりをご所望。とクロスオーバーします。】  異世界に行きたい願いが叶った。それは夢にも思わない形で。  花奈(はな)は聖女として召喚された美少女の巻き添えになった。念願の願いが叶った花奈は、おまけでも気にしなかった。巻き添えの代償で真っ白な容姿になってしまったせいで周囲には気の毒で儚げな女性と認識されたが、花奈は元気溌剌だった!

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

処理中です...