タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

40,帝国到着

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「皆さん、見えてきたっスよ」
「おお……」

 馬車の中から前を覗くと、立派な城壁がそびえ立ってるのが見えた。大きすぎて王国のと比べてとかはよくわからないけど、こっちのが綺麗に見える。王国のはブロックを積み重ねたのが分かる感じだったけど、こっちは表面が滑らかで、白っぽく輝いてる。
  入国にはほとんど手続きはかからなかった。せいぜいギルドカードを見せるくらい。どうやらギルドカードには犯罪歴とかも書かれるみたいで、見せるだけでもセキュリティ的には大丈夫らしいけどね。

「では自分たちはこれで失礼します。本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」

  クロードさんたちが深々とお辞儀をする。つられて私も頭を下げちゃって、レベッカたちに不思議そうな顔をされた。

「気にしないでください。また縁があればどこかで」
「はい。またどこかで、アンジュさん」

  うん、エメラちゃんはもう大丈夫みたい。やっぱり可愛い子は笑っててほしいよね。
  やっぱり占いはいいなあ。あんまり良くない結果だと正直落ち込むけど、エメラちゃんみたいに人を元気づけることも出来るし。
  そうだ、こっちで占い師みたいなことできないかな。お悩み相談みたいな感じよりは、娯楽に近い感じで。

「とりあえずギルドに行こう。ベアボアの件伝えなきゃ」

  レベッカに同意して、みんなでギルドに向かう。流石に馬車は目立つし、マジマさんも長い間頑張ってもらったから休んでもらうことにした。
  ギルドまではそれなりに歩くみたいだから、その間に占い師とかの話してみようかな。

「レベッカ、占い師とかっていたりするの?」
「いるって話を聞いたくらいだなあ。多分、ミリアの方が詳しいよ」
「そうね、占いとかは魔法使いの分野だから。私の知り合いにも何人か占いが出来る人はいるわよ」

  おお、なら私が占い師みたいなの始めても大丈夫かな。

「でもそうね、占い師はいない、が正しいかしら。占いじゃ食べていけないから、あくまで趣味や副業って感じね」

  そうなのか。それだと私が占い師をするのは変かな。魔法使えないし。

「占いならギルドに申請すれば報酬もらいながら出来るわよ。当然場所代は払うことになるけれど。趣味ならお金はなしになるわ」
「うーん、お金が欲しいわけじゃないんですよね」
「でも、ギルドに申請しないと場所は限られるわよ?  無料で占う商売敵なんてトラブルの元だもの。宿屋で許可がもらえたらそこで占い師はできるけど、大抵断られるわね」
「え、じゃあ普通はどうするんですか?」
「自分のお店で頼まれたらって感じね。占いをする魔法使いはみんなお店を持ってるわ。回復薬とか魔道具とか売りながら占いも請け負うようなところ」

  それは私には無理だなあ。多分帝国にいるのもそんなに時間かからずにバレちゃうだろうし。お店作って落ち着く、なんてことは難しいだろうなあ。まず回復薬とか魔道具とか作れないし。
  というか、回復薬とか魔道具って何?  そんなものあるの?
  まあ、それはともかく。

「お金ってどれくらい取らなきゃいけないってあります?」
「いや、決まりはないわ。ただ場所代は一ヶ月銀貨五枚だから、ギルドでやる人は大抵一回銀貨一枚ね。お店ならもう少し安いし、買い物したら割引もされるわよ」
「とりあえず、その話はあとにしよう。もうすぐギルドだし、宿もとらないとね」

  レベッカの言う通り、王国と同じような見た目のギルドが見えてきた。石でできた、普通の建物。
  占いするのにもお金かかるんだなあ。安く気軽にやりたいけど、銅貨一枚で占うと赤字が続いちゃいそう。宿屋で出来ればいいんだけど、駄目だったら最悪銅貨三枚で試してみようかな。
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