タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

12,占術神様

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  少しの浮遊感の後、私はお花畑に立ってた。足首までの高さの色とりどりの花が、見渡す限りずっと広がってる。これって転移だよね。魔法にしても、それ以外の手段だとしても、こんなことができるっておじいさんは何者なんだろう。

「来たな。こっちじゃ」

  おじいさんについて歩いて行くと、遠くにテーブルと椅子が置いてあるのが見えた。椅子に誰かが座ってる。あの人が私に会いたがってるって人かな。

「待たせたな。連れてきたぞ」
「ありがとう」

  座ってたのは男の人だった。ゆったりとした水色のローブを着た、女の人みたいに細くて綺麗な人で、落ち着いた包み込むみたいな雰囲気がある。

「はじめまして、入江杏子さん。私は占術神、君に加護を授けた者です」
「あなたが!?」

  この人が占術神様!?  ってことはこのおじいさんも何かの神様とか!?

「ん?  ああ、言っておらんかったか。儂は植物神じゃ」

  植物神……。だからウェアウィードに大人気だったのか。あの子達からしたら王様みたいなもんだろうしね。

「まあ、座れ。今茶を入れるからの」
「あ、はい。失礼します」

  植物神様に促されるまま椅子に座る。って神様にお茶を入れさせるなんていいのかな。それに神様とお茶するってどういう状況なの……。

「さて、杏子さん。挨拶したばかりですが、本題に入りましょう」
「本題、ですか」
「ええ。あなたに力を授けに来ました」
「力を……?」

  力って、加護ならもうもらってるけど……。それとは違うのかな?

「タロットカード、でしたか。それを出してください」
「あ、はい」

  素直にタロットカードを占術神様に差し出す。なんだろう、占いを百発百中レベルにしてくれるとかかな。できればそれはやめて欲しい。占いは当たるも八卦当たらぬも八卦だから面白いところがあるからなあ。

「私の加護ではこの世界で生きていくには厳しいですからね。あなたは特別私と相性がいいようなので、私の力の一部を分けてあげます」
「占術神様の力?」
「ええ。これでも私、結構強いんですよ?」

  腕をまくって力こぶを作る占術神様。まったくこぶ出来てないけどね。本当に強いのかなあ。

「……あまり信じてもらえていないようですね。とりあえず、あなたのタロットカードに私の力を封じます」

  そう言って占術神様はタロットカードに手をかざした。そして何かを呟いたけど、早口というか違う言葉を同時に話しているというか、よく分からない響きでうまく聞き取れなかった。

「これでよし。使い方はアルカナの名前を呼ぶことです。効果は……、直感で何を使えばいいかわかるはずですから割愛しましょう」

  ざっくりしてるな神様。効果って一番大事なところなのでは……。

「茶が入ったぞ。とりあえず、一杯分はどんなものか説明してやれ。それを飲んだら帰るんじゃ。友人が心配しておるだろうからの」

  ハーブティーみたいな香りのするお茶が目の前に置かれる。そうだ、レベッカを待たせてるんだから早く帰らないと。

「そうですね。じゃあ、手短に。お茶を楽しむくらいの時間だけ能力を説明しましょう」

  そのあと、植物神様のお茶とお茶菓子を楽しみながら、占術神様から力の説明を受けた。……なんだかとんでもない力をもらっちゃったなあ。
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