タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

11,謎のおじいさん

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  ウェアウィードに許された場所だけでも剣葉草は八束も集まった。金貨一枚と銀貨二枚。充分な稼ぎだ。
  剣葉草を採り終えた私たちは、せっかくだからウェアウィードと一緒にお昼を食べることにした。けど、お昼を食べているとどこからかウェアウィードが一人、また一人と増えていって、最終的に宴会みたいになった。
  最初のウェアウィードはみんなにドライフルーツを分けてあげてる。列になって順番に受け取っていくのはなんだか配給みたい。

「さっきのは君へのお礼なんだから、君のにしていいんだよ。こっちをみんなで分けなね」

  レベッカと一緒にドライフルーツをウェアウィードにあげる。ギルドカードでウェアウィードの情報を見ると、魔物だけど人間に友好な種で、とても仲間想いだって書いてあった。ちょっと打算的な考えだけど、これで少しでもお近づきになれればと思う。この森にはこれからも通うことになるだろうしね。

「随分とよくしてくれてるみたいじゃな。こやつらも懐いておるみたいじゃ。感謝する」

  声のした方を見ると、ウェアウィードみたいに緑のレインコートみたいな服を着たおじいさんがいた。誰だろうこの人。

「そう構えるな。何も危害は加えんよ」

  いつの間に抜いたのか、レベッカが剣を構えてた。いや、このおじいさんは怪しいけどいきなり剣を向けるのは失礼だよ!

「レベッカ、剣しまって!」
「しかし……」
「大丈夫だよ、ほら」

  おじいさんに気づいたウェアウィードたちが、群がるようにおじいさんに集まっていく。ウェアウィードに大人気ってことは悪い人じゃないと思う。その様子に毒気を抜かれたみたいで、レベッカも剣をしまった。
  おじいさんは少しだけウェアウィードを構うと、私の方に向き直る。なんだろう。

「入江杏子よ。お主に会いたがっている者がおる。ついて来て欲しい」

  なんでこのおじいさん私の名前を!?  しかも杏子ってちゃんとした方を。それに会いたがっている人って……?

「アンジュ、やめた方がいい」
「大丈夫だよレベッカ。おじいさん、私をその人のところに連れてって」

  私が言うと、おじいさんはにっこりと笑う。

「案外度胸があるようじゃな」

  おじいさんが、とん、と足を鳴らすと、妖精の舞台の一つが緑色に輝き始めた。緑色の光はそのまま上に伸びていって柱みたいになった。ゲームのワープゲートみたいだ。

「ここに入ればお前を待つ者の場所へ飛べる。先に行っとるぞ」

  おじいさんの姿が光の柱に飲み込まれて消える。

「じゃあ行ってくるね」

  レベッカに手を振って、私は光の柱の中に入っていった。
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