タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

8,悩んだ時の占い頼み

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  さて、冒険者登録も出来たし何かクエストを受けよう。お仕事だ。と言っても何からやろうかな。採取クエストか討伐クエストか。お使いは身入りが少なそうだから却下で。しかもFランクのクエストだし、お使いは十五歳未満の子たち専用クエストみたいなものなんだろう。
  しばらくは同じクエスト回って冒険者に慣れたいから、どっちにしようかな。困った時は……占いだ!  いそいそと近くのテーブルに座る。多少場所をとっちゃうけど座ろうとしてる人いないしいいよね!
  お香とか持ってないし、浄化のしようがないからそれは許してもらおう。ごめん。ちゃんと布は引くからさ。

「アンジュ、それはなんだ?」

  不思議そうな顔で私が出したタロットカードを見ているレベッカさん。やっぱりこっちにはタロットカードなんてないよね。

「これはタロットカードって言って、私の故郷で使われる占いの道具です」
「ああ、まじなふだの一種か。それを持ち歩いてるとは、さすが占術神の加護持ちだね」

  ちょっと得意げになりながらタロットカードを混ぜる。どうでしょう、私は採取クエストから始めるべきでしょうか……。そうやって考えながらカードを時計回りに混ぜて、まとめる。三つに分けて、もっかいまとめる。それから扇形に広げて。

「うーむ……、これ!」

  ぱっ、と一枚手に取って向きが逆にならないように裏返す。おお!  月の逆位置!  順調、不安の解消、そんな意味だ。つまり採取クエストを受けるので決定!  さっそく受けよう。

「何を受けるの?」

  カードを片付け、立ち上がった私にレベッカさんが訊いてくる。

「採取クエストにします。それでいいですか?」
「うん、いいよ。戦闘職じゃないんだし、いきなり討伐クエストは厳しいもの」

  レベッカさんの同意も得たし、採取クエストのDランク以下で良さげなもの……。お、この剣葉草ってやつ良さそうだな。五枚一束、一束銀貨一枚と銅貨五枚!  二束でちょうどあの宿一泊分だ。五束も集めれば二人分の宿代ご飯代引いてもちょっと利益が出る。欲を言えば六束集めたいな。まあ葉っぱなんて三十枚軽いでしょ。

「アンジュ、それ受けるの?」
「はい、報酬も良さそうですし」

   レベッカさんがなんとも言えない表情をしてる。なんか、こう、初心者がよくやる失敗してるなー、私もやったなー、みたいな。

「本当にそれ受ける?」
「やめた方がいいですか?」
「いや、採取クエストの中では身入りもいいしねえ……」

  煮え切らないなあ。いいや、受けてしまえ。
  ちょうど人の波が途切れたようだし、ちゃちゃっと手続きしてこよう。アドニスさんが手が空いてるみたいだからお願いしよう。

「アドニスさん、クエストの手続きお願いします」
「うん、分かった。剣葉草の採取か……。見た目とかどの部位を取ればいいかはギルドカードで確認できるから。大変だとは思うけど、頑張ってね」

  へー、ギルドカードって便利だなあ。冒険者用ガイドブックの役割も兼ねてるのかな。
  よし、それじゃあ準備を整えて出発しよう。準備と言っても日帰りのつもりだから食べ物と飲み物、あとは剣葉草をまとめる紐くらいでいいかな。

「レベッカさん、準備をして出発しましょう」
「そうだね、とりあえず冒険に役立つ道具を売ってる店があるからそこに行こう。あと、そろそろ敬語をやめてもらえると助かる。同じ年なんだからもっと気楽にいこう」
「あ、うん、わかった。じゃあこれからは普通に話すよ。改めてよろしく、レベッカ」

  レベッカは満足そうに笑って頷いた。
  異世界での初めての友達、ってことでいいのかな。よし、準備ができたら張り切って採取するぞー。待ってろ剣葉草!
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