タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

文字の大きさ
上 下
9 / 97
本編

8,悩んだ時の占い頼み

しおりを挟む

  さて、冒険者登録も出来たし何かクエストを受けよう。お仕事だ。と言っても何からやろうかな。採取クエストか討伐クエストか。お使いは身入りが少なそうだから却下で。しかもFランクのクエストだし、お使いは十五歳未満の子たち専用クエストみたいなものなんだろう。
  しばらくは同じクエスト回って冒険者に慣れたいから、どっちにしようかな。困った時は……占いだ!  いそいそと近くのテーブルに座る。多少場所をとっちゃうけど座ろうとしてる人いないしいいよね!
  お香とか持ってないし、浄化のしようがないからそれは許してもらおう。ごめん。ちゃんと布は引くからさ。

「アンジュ、それはなんだ?」

  不思議そうな顔で私が出したタロットカードを見ているレベッカさん。やっぱりこっちにはタロットカードなんてないよね。

「これはタロットカードって言って、私の故郷で使われる占いの道具です」
「ああ、まじなふだの一種か。それを持ち歩いてるとは、さすが占術神の加護持ちだね」

  ちょっと得意げになりながらタロットカードを混ぜる。どうでしょう、私は採取クエストから始めるべきでしょうか……。そうやって考えながらカードを時計回りに混ぜて、まとめる。三つに分けて、もっかいまとめる。それから扇形に広げて。

「うーむ……、これ!」

  ぱっ、と一枚手に取って向きが逆にならないように裏返す。おお!  月の逆位置!  順調、不安の解消、そんな意味だ。つまり採取クエストを受けるので決定!  さっそく受けよう。

「何を受けるの?」

  カードを片付け、立ち上がった私にレベッカさんが訊いてくる。

「採取クエストにします。それでいいですか?」
「うん、いいよ。戦闘職じゃないんだし、いきなり討伐クエストは厳しいもの」

  レベッカさんの同意も得たし、採取クエストのDランク以下で良さげなもの……。お、この剣葉草ってやつ良さそうだな。五枚一束、一束銀貨一枚と銅貨五枚!  二束でちょうどあの宿一泊分だ。五束も集めれば二人分の宿代ご飯代引いてもちょっと利益が出る。欲を言えば六束集めたいな。まあ葉っぱなんて三十枚軽いでしょ。

「アンジュ、それ受けるの?」
「はい、報酬も良さそうですし」

   レベッカさんがなんとも言えない表情をしてる。なんか、こう、初心者がよくやる失敗してるなー、私もやったなー、みたいな。

「本当にそれ受ける?」
「やめた方がいいですか?」
「いや、採取クエストの中では身入りもいいしねえ……」

  煮え切らないなあ。いいや、受けてしまえ。
  ちょうど人の波が途切れたようだし、ちゃちゃっと手続きしてこよう。アドニスさんが手が空いてるみたいだからお願いしよう。

「アドニスさん、クエストの手続きお願いします」
「うん、分かった。剣葉草の採取か……。見た目とかどの部位を取ればいいかはギルドカードで確認できるから。大変だとは思うけど、頑張ってね」

  へー、ギルドカードって便利だなあ。冒険者用ガイドブックの役割も兼ねてるのかな。
  よし、それじゃあ準備を整えて出発しよう。準備と言っても日帰りのつもりだから食べ物と飲み物、あとは剣葉草をまとめる紐くらいでいいかな。

「レベッカさん、準備をして出発しましょう」
「そうだね、とりあえず冒険に役立つ道具を売ってる店があるからそこに行こう。あと、そろそろ敬語をやめてもらえると助かる。同じ年なんだからもっと気楽にいこう」
「あ、うん、わかった。じゃあこれからは普通に話すよ。改めてよろしく、レベッカ」

  レベッカは満足そうに笑って頷いた。
  異世界での初めての友達、ってことでいいのかな。よし、準備ができたら張り切って採取するぞー。待ってろ剣葉草!
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

聖女のおまけです。

三月べに
恋愛
【令嬢はまったりをご所望。とクロスオーバーします。】  異世界に行きたい願いが叶った。それは夢にも思わない形で。  花奈(はな)は聖女として召喚された美少女の巻き添えになった。念願の願いが叶った花奈は、おまけでも気にしなかった。巻き添えの代償で真っ白な容姿になってしまったせいで周囲には気の毒で儚げな女性と認識されたが、花奈は元気溌剌だった!

処理中です...