タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

7,冒険者デビュー!

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「ここが冒険者ギルドだ」
「おお……」

  なんていうか……、イメージと違った。なんかこう、さあ、もうちょっと雑然としたというか、怖い感じのおじさんが睨みを効かせてるような、そんな感じあるじゃん?  すっごい普通。市役所を思い出す感じ。掲示板みたいなところから紙を取ってるのはわりとそれっぽいけど、手続きはあくまで事務的。カウンターで受けることを言って、受理されたらその証拠としてギルドカードにそれが刻まれる。
  ファンタジーっぽいところがギルドカードくらいしかないよ!  順番待ちは整理券だし!

「十三番のかたー」
「私たちだ。行こう」

  私たちの担当をしてくれるのは男性だった。御影さんより少し若いかな?  少し癖のある茶髪の、タレ目の優しい雰囲気の人。なんかちょっとゴールデンレトリバーっぽい。

「こんにちは。今回担当いたしますアドニスです」
「おお、アドニスが担当なんだ。なら話が早いかな」
「今度はなんの厄介事ですか、レベッカさん……」

  レベッカさんはこのお兄さんと顔見知りみたいだ。なんかアドニスさん泣き笑いみたいな顔になってるけど、普段何してるのレベッカさん……。

「今日は私じゃない。この子の用事」
「厄介事は否定しないんですか……?  こんにちは、冒険者ギルドに登録をしに来ました」

  私がそういうとアドニスさんはすごく嬉しそうな顔になった。

「ようこそ、冒険者ギルドへ。十五歳未満の子はFランク以下の簡単なクエストしかできないけど大丈夫かい?」
「大丈夫です」

  私十七歳なので。どうせレベッカさんと同じように十二、三だと思われてるんでしょうけど!

「じゃあこの水晶に手を触れて。君が受けている加護や名前、年齢とかレベルなんかが職員である僕には見えちゃうけど口外することはない。問題ない?」
「はい、大丈夫です」

  そう言って私は水晶に手を触れる。すると、水晶の真ん中が光って、その光が文字になって外に出てくる。多分一番上が名前、次が歳とレベル、その下が加護なんだろうけどやっぱり私の加護は一行だけだ。なんかこう、増えたりとかしないのかな。

「アンジュ・イリエ、レベル一……十七歳!?」
「え、本当だったの!?」

  まだ疑ってたのレベッカさん!?  失礼な。

「おかしいな、壊れたのかな」
「これで正しいです。私は正真正銘十七歳です」

  水晶が壊れたか心配するとかそこまでか!

「そ、そっか……。じゃあ文字は書ける?」
「いえ、書けないです」
「じゃあ僕が代筆するね。加護は占術神の加護……のみか。うーん、職業はどうする?」

  職業って冒険者じゃないの?  首を傾げた私を見てか、アドニスさんが説明してくれる。

「戦士とか、魔法使いとか、戦いになった時に自分がどんな役割を果たすことができるかってものだよ。基本的に自分の加護にあったものにするけど、戦闘向けの加護を持っていないみたいだから」

  なるほど。あれ、そうしたら私なんて書けばいいんだ?  戦うことなんて出来ないんだけど。

支援者サポーターでいいんじゃないか?  戦いは私がするから」
「ああ、パーティ組むのが決まってるならそれでもいいですね」
「支援者?」

  パーティはわかるけど、いや、レベッカさんが私と組む前提なのはよく分からないけど。支援者ってなんだ?

「支援者っていうのは文字通り、他の冒険者のサポートをする人だね。道具の運搬、道案内、戦闘の後方支援とか。基本的には道具の運搬が役目だね。突然の戦闘の時に荷物なんて持ってたら戦えないから、戦わずに荷物を持つ人は結構ありがたいんだよ」
「へー、そうなんですか」

  要するに荷物持ちか。荷物を持つのは嫌だけど、戦うよりはいいかなあ。生きてるものを切るのはちょっとキツい。多分リバースする。

「じゃあ支援者で登録しておくよ」

  そう言ってアドニスさんは銀色のプレートを取り出して水晶に近づけた。金色の文字が銀色のプレートに吸い込まれていって、プレートが銅みたいな赤っぽい茶色になった。ファンタジーってやっぱり何でもありだなあ。

「はい、これが君のギルドカード。紛失したら再発行の時にお金を払うことになるから気をつけてね。ようこそ、冒険者ギルドへ」
「ありがとうございます」
「君のランクはE。Cランクまでは成功したクエストに応じて、Bランクからは昇級テストに合格したら上がれる。受けられるクエストは自分のランクより一つ上以下。他に何か質問はある?」

  うーん、今のところは特にないかなあ。というか、何がわからないのかわからないから質問のしようがない。

「まあ、分からないことがあったら私が教えるよ」
「ありがとうございます、レベッカさん。とりあえず、質問はないです」
「パーティ組むんだもんね。それじゃあこれから頑張って。体を大事に」
「はい、ありがとうございました」

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