タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

86,一緒にお昼ご飯

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  商人さんたちと昨日紙を渡した人を交互に占っていったら、全員終わったところで丁度いいしお昼休憩にすることにした。
  そう言えばアリエラさんに見られてるから少しは意識するかと思ったけど、そんなことなく占いに集中出来たなあ。少しは占い師としてレベルアップ出来てるのかな?

「お疲れ様です、アンジュさん」
「ありがとうございますアリエラさん。どうですかね、何かプラスになることがあったらいいんですけど」
「あるなんてものじゃないですよ!  ほんと、目から鱗が落ちる思いです。思い切って見学を申し出て本当に良かったです」

  そんなに!?  まあ何か掴めたのなら良かった。さっきの様子からして見るだけでも充分楽しかったんだろうけど、せっかくなら何か得になってほしいしね。

「とりあえず今からお昼ご飯にしようと思います」
「あ、私もご一緒していいですか?」
「いいですよ。どこで食べましょう」
「美味しいジェトラを出してくれるお店があるんです。お嫌いじゃなければそこはどうですか?」
「じゃあそこでお願いします」
「分かりました。実はそのお店って私のお店の近所なんです。若い夫婦が最近始めたんですけど、評判がいいんですよね」

  ジェトラはたしかガレットみたいな食べ物だったはず。ちょっと楽しみだな。それにアリエラさんのお店の近所か。時間に余裕がありそうだったら少しお店を見学させて貰おうかな?



  アリエラさんに案内された所はよりにもよって雷門がばっちり見えるところだった。少し面食らって足が止まりかけるけど、お店に入ってくアリエラさんを追いかける。
  アリエラさんは店員っぽい女の人に話しかけて席に着いた。

「どうですか、アンジュさん。ここは雷門をほとんど正面から見ながら食事出来ることでも話題になってるんですよ」
「そうなんですねー」

  確かに窓の外にすごい存在感のものが見えるけども。え、もしかして帝国の人にはあれ人気なの?  でも確かに浅草の雷門も観光客すごいしな。それに、帝国を作った人にちなんでるんだったらそりゃ人気にもなるか。私からしたらとんでもなく場違いなものだけどさ。

「あれ?  アンジュさん?」
「あ、エリックさん。こんにちは」

  誰かに呼ばれたと思ったらエリックさんがお店に入ってきたところだった。

「二人ともこんにちは。アンジュさんってアリエラと知り合いだったんだ」
「いいえ、今日知り合ったばかりよ。アンジュさんの占いを見学させて欲しいって押しかけたの」
「なるほど、さすが占いマニアだ」
「お二人は知り合いなんですか?」
「うん、小さい頃からの幼馴染み。両親が知り合いだったんだ」
「へー!  そうなんですね」

  案外世間って狭いっていうけどほんとかもしれないなあ。

「エリックさんもジェトラ食べに来たんですか?」
「そんなところ。知り合いにここのジェトラは美味しいって勧めらられてさ」 
「人街の方でも有名なんですね、ここって」
「あ、いや、中央街の知り合いだよ。ほら、中央街ギルドのフレミーさん。あの人にぜひ食べてくださいって言われてさ」

  おお、フレミーさんか。……ん?  もしかして、フレミーさんの気になってる人ってエリックさんかな?  お店勧められたくらいだったらまだ分からないけど、もしそうだとしたら応援しよう。
  そんな話をしてるとジェトラが運ばれてきた。

「おっと、来たみたいだね。……実はアンジュさんに話しておこうかなってことがあるんだけど、相席してもいいかな?」
「私はいいですけど、アリエラさんは?」
「私もいいですよ」
「じゃあお言葉に甘えて……。話は食べ終わってからにしよう。せっかく美味しいもの食べるんだし」

  んー、結構重要な話みたいだなあ。なんで私に話したいのかよくわからないけど、胃が痛くなるような話じゃないといいなあ。

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