タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

85,アリエラさん

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  次の日ギルドに行ってみると、昨日までとは言わないけどかなりの人が待ってた。今日初めて来た人もいるみたいだけど、何とか全員占うことはできるかな?

「おはようございますアンジュさん。今日もすごい人ですね」
「フレミーさん、おはようございます。嬉しい悲鳴って感じですかね」

  大変ではあるけど、最初みたいに誰も来ないよりはいいもんね。

「あの、すみません。あなたがアンジュさんですか?」

  女の人が私に話しかけてくる。スラッとした背の高い人で、黒のノースリーブワンピースに藤色のストールを羽織ってる。髪は毛先が淡い紫色の金髪で、三白眼気味のつり目。ちょっとキツめの印象だけど、すごい綺麗な人だ。

「あ、はい。そうですけど……」
「初めまして、私はアリエラと言います。ここから少し人街寄りの場所に魔道具店を営んでいます」
「へー!  魔道具店を!  ということはアリエラさんも占いをするんですか?」
「はい。水晶占いが主ですが、夢占いもたまに」
「そうなんですね。水晶占いは私も挑戦してみたことがあったんですが、あまり合わなくて……。アリエラさんは今日はどうしてここに?  占いってわけではないですよね?」

  いくらなんでもお店を構えるくらいの人を占えるほどの自信はない。絶対私よりも実力があるだろうしね。

「ええ。実はアンジュさんの占いを見学させて頂けないかと思いまして」
「私の占いを!?  そんな、私の占いなんて素人に毛が生えた程度のものですよ?」
「素人だなんてとんでもない!  実際に占って頂いた方に聞きましたが、アンジュさんの占いは今までのどの占いとも違います。呪い札を使った占いは確かにありますが、アンジュさんの札とは全く違います。それはアンジュさんが造り上げたオリジナルの呪い札ですよね?」
「え、いや。違いますよ?」
「違うんですか!?」

  すごい驚かれるけど、事実だしなあ。むしろこっちではタロットカードみたいな物が無いことの方が私には驚きだったし。

「ではどなたが造り上げられたのですか?」
「それは分からないんです。私がいたところだと、六百年くらい前までは記録が確認出来たみたいですけど」
「そんな昔から……!?  それに記録って……。私は帝国以外の占い史もほとんど学びましたが、どこにもそんな記録はありませんでしたよ?」

  まあこの世界の歴史にはないだろうね……。向こうの世界の物だし。

「あー……。私の故郷はここからずっと遠いところにあるんです」
「遠いところって……。一体どこの国出身なんですか……?」

  ほんとでもないけど嘘でもないからどうにか納得してくれないかな。
  んー、国の名前が分からないってだいぶおかしいよね。国と言えるほどのものじゃなくて、小さな村だったとかでいいかなあ。異世界から来ましたとか言えないし。

「あー、国かどうかは分からないです。どこかの国かもしれないですけど、小さな村だったので」
「それって……。もしかしてアンジュさんの占いは秘術の類なんじゃ……。だとしたら占い史に記録がないのも頷ける。でもそれならアンジュさんの占いが優れているのは何故……?  そのような秘術は構成に伝わるにつれて力が失われていくはず。その秘密は記録にある……?」

  え、なんかアリエラさんがぶつぶつ呟き出した。もしかして学者さんみたいな感じの占い好き……?  この考え込んでる感じ、研究者みたいな雰囲気だし。

「えーっと、皆さんお待ちなのでとりあえず占い始めますね。見学は構いませんけど、少し離れたところでお願いします」
「あっ、はい!  ありがとうございます」

  うーん、なんだかまた変な人と知り合いになってしまった。私何かしらそういう人達と縁があるのかな。……出来れば遠慮したいなあ。もう変な人はお腹いっぱいだよ。

―――――――――――――――――――――――――

  とんでもなく遅くなって申し訳ありません……。言い訳ですが少しリアル事情で忙しさがとんでもないことになっていました。
  一応これからは更新ペースを上げることが可能ですので、お付き合いいただけたらと思います。
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