5 / 5
現実逃避(番外編-お題無し)
しおりを挟む
とある休日前夜。東京、新宿。
散々残業して、それでも仕事は終わらなくて、もういいや、明日やろう、と半ば諦めて帰途に着く23時半。ぎりぎり終電に間に合う時間だ。
新宿の駅に向かう人波はまだ活発で、かつかつかつ、とハイヒールが忙しない音を立てていた。
喉が渇いた。
そう思うと、ふと視界に居酒屋が現れたので、暖簾をくぐった。回らない頭で注文をする。枝豆とポテトサラダ、刺身の小鉢、それと辛口の日本酒。あっしまった、マヨネーズ嫌いなんだった。
料理が運ばれてくるまでの間、周りの酔っぱらいを眺めて待つ。この時間、皆出来上がっていて、頬どころか顔中を真っ赤に染めた中年男性や、はしたなくも床に転がっている若者がいる。皆幸せそうだ。
頼んだものは割合すぐに出てきた。美味かった。お酒も、普段はあまり飲まないのだが、2合も空けてしまった。
程よくお腹が膨れたところで店を後にする。9月の空気はまだ温い。
ふわふわと軽い足取りで夜の新宿を歩く。足元のアスファルトから上がってくる熱気が愛らしい。鬱陶しく輝く居酒屋の看板照明までも、愉快に見える。だんだん楽しくなって、あはは、と声に出しても、周りの人には聞こえない。まるで鉢の中の金魚になれたようで、とても嬉しかった。
明日になれば、すっかり忘れてしまうのだろうな。
散々残業して、それでも仕事は終わらなくて、もういいや、明日やろう、と半ば諦めて帰途に着く23時半。ぎりぎり終電に間に合う時間だ。
新宿の駅に向かう人波はまだ活発で、かつかつかつ、とハイヒールが忙しない音を立てていた。
喉が渇いた。
そう思うと、ふと視界に居酒屋が現れたので、暖簾をくぐった。回らない頭で注文をする。枝豆とポテトサラダ、刺身の小鉢、それと辛口の日本酒。あっしまった、マヨネーズ嫌いなんだった。
料理が運ばれてくるまでの間、周りの酔っぱらいを眺めて待つ。この時間、皆出来上がっていて、頬どころか顔中を真っ赤に染めた中年男性や、はしたなくも床に転がっている若者がいる。皆幸せそうだ。
頼んだものは割合すぐに出てきた。美味かった。お酒も、普段はあまり飲まないのだが、2合も空けてしまった。
程よくお腹が膨れたところで店を後にする。9月の空気はまだ温い。
ふわふわと軽い足取りで夜の新宿を歩く。足元のアスファルトから上がってくる熱気が愛らしい。鬱陶しく輝く居酒屋の看板照明までも、愉快に見える。だんだん楽しくなって、あはは、と声に出しても、周りの人には聞こえない。まるで鉢の中の金魚になれたようで、とても嬉しかった。
明日になれば、すっかり忘れてしまうのだろうな。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる