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情緒纒綿(じょうしょてんめん)2
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「泣かないで、リリィ。俺は絶対ピンピンして戻ってくるから。そして君にまた毎日怒られながら、幸せな生活を送るんだ」
「……変な性癖を覗かせないでください」
ズッと洟を啜り、リリアンナが目元を乱暴に拭う。
「……嬉しいな。俺のために泣いてくれるリリィが、こんなに可愛い。でも君の涙は見たくないな。俺が泣かせているみたいじゃないか」
「……っ、殿下の、……せいです」
スカートのポケットからハンカチを出したリリアンナは、恨めしげな目でディアルトを見上げ、涙や洟を拭く。
「俺は大丈夫だよ。精霊の加護がなくても、リリィの加護がある」
「……私はもともと、そんなに特別な力は持っていないのです」
「ふぅん? 俺を守ろうと思ってくれている内に、愛の力でどんどん強くなったのかな」
リリアンナの白い太腿に劣情を抱きながら、ディアルトは彼女の顔にキスを降らせる。
「……そんなんじゃ。……ないんです」
「今日はいつになく、弱気だね。そんな君も可愛いんだけど」
金髪の頭を撫でると、リリアンナはまだ潤んだ目でばつが悪そうにディアルトの胸元をじっと見ていた。
「……忘れてください」
「君に関わることなら、一つでも忘れたくない」
指先で白い頬をスリスリと撫でると、視線を落としたリリアンナがまた一筋涙を流す。
「そうだ、ちょっと待ってて」
何かを思い出すと、ディアルトはリリアンナをテーブルの上に座らせたまま私室の方に歩いてゆく。
一人テーブルの上に座っているのが決まり悪くなったリリアンナは、静かに下りてから主を待つ。
すぐに戻ってきたディアルトは「あれ」と、いつものように真っ直ぐ立っているリリアンナを見て破顔した。
「今なら君も弱っているし、受け取ってくれると思ったんだけどな」
そう言って差し出したのは、昨日と同じ深紅のバラ。
けれど、今回は二本。
「……これも、二本という本数は意味があるのですか?」
「あ、気付いてたんだ?」
リリアンナをソファに座らせ、ディアルトはその前に跪く。
「アリカに、花には花言葉というものがあると教わりました。色や本数で、意味が違うということも」
「やっぱり君自身は知らなかったんだね。君らしい」
ふふ、と笑ってディアルトはリリアンナの手に、二本のバラを持たせる。
ちゃんと棘の処理をされたバラは、ほんの少し長さも違って二本だけでも趣がある。薄い紙に包まれていて、切り口の部分はまだ濡れていた。
「二本の意味は、『この世界は二人だけ』。……どうだい? ロマンチックだろ」
「……ありがとうございます。……殿下はいつから、こんなロマンチストになられたのです?」
渡されたバラは、やはりリリアンナの好みの外見をしている。
スッと香りを吸い込むと、芳しい香りがした。
「んー……。前線行きの話が耳に入ってからかな。今まで関係をなあなあにしていたけど、ちゃんと伝えたいと思ったんだ」
「……確かに、正式な告白も受け取っていませんでしたが、キスをする仲になっていましたね」
真顔でリリアンナが言い、ディアルトがクスクス笑う。
「キスの習慣の始まりは、俺からの命令だったじゃないか。君は当初頑なに拒んでいた。だが俺が『命令だからお願い』と言ったら、渋々許してくれて」
「殿下の命令なら、仕方ありません」
「あの時、他に好きな人がいた?」
じっとディアルトが金色の目でリリアンナを見つめ、彼女はばつが悪くなって視線を逸らす。
「……いませんでした」
「君が十二歳で騎士団に入って、すぐのことだったね。最初はロキアともあまり折り合いがよくなかったっけ」
「そうですね。あの頃のロキアさんは少し怖かったです。『お前のような小娘に、殿下がお守りできるのか』というオーラが、全身から吹き出ていました」
「はは、ロキアなら無言でそういうの出してそうだな」
「初めの頃は、騎士団そのものの風当たりも強かったです」
「でも君は、俺を守るのだと言って頑張ってくれたね」
愛しさを隠さない目がリリアンナを見つめる。
両手で優しく握った手は、剣を持つのに慣れて肉刺ができた後などもある。普通のレディたちの柔らかな手とは違う、戦う者の手。
けれどディアルトは、その手が大好きだ。
せめて爪だけはと、彼女の侍女がクリスタルの爪やすりで、ピカピカに磨いているのも知っている。
「心の底から強くなりたいと思いました。一部の者たちから、私の母が前王陛下を死なせてしまったのだと言われました。悔しくて……。私は絶対に殿下をお守りするのだと、心に決めました」
「君の母上は心から父に仕え、命をかけて共に戦ってくれた。息子の俺がそう言うのだから、君は周囲の雑音に惑わされなくていい」
無責任な言葉に傷付けられるのが、自分だけなら構わないとディアルトは思っている。
けれど王家を守る役目を持つイリス家のリリアンナは、先代の守り手リーズベットと何かにつけて比較された。
彼女はそれを表に出さなかったが、その代わり無心に剣を振ることが多くなった。
守り手となる前――ただの公爵家令嬢だった頃のリリアンナは、もっと少女らしく感情豊かな子だった記憶がある。
「俺が十五歳で君が十歳の時、王家とイリス家とで食事会をしたことがあったっけ」
「覚えています。あの時食べた鴨料理がとても美味しくて、それ以来私の好物に……」
そう言いかけ、ふと今日の昼食も鴨だったのを思い出した。
「カダン様、あの時に覚えてくださっていたのでしょうか」
「……かもしれないね。叔父上はとても愛情深い人だから、父上が大事にする者は自分も同じように大切にしようとしてくださる。それに、父上が君の母上に想いを寄せていたのと同時に、叔父上も密かに……という噂は聞いたことがあるよ」
「……えぇ?」
流石にそれは初耳だったのか、リリアンナは言うべき言葉に困ってしまう。
「母上も今の宮廷のレディたちと同じ身の上でね。君の母上に同性ながら憧れていたと。嫉妬する前に父上を譲っていたかもしれないと言っていた」
「……はぁ」
自分の母親が大した有名人で、出会う人をすべて虜にしていたのは嫌というほど聞いている。
その相手が先王というのでも心臓に悪いのに、シアナまでもがリーズベットに憧れ、カダンまでもが母を想っていたかもしれないと聞くと心労が酷い。
「……変な性癖を覗かせないでください」
ズッと洟を啜り、リリアンナが目元を乱暴に拭う。
「……嬉しいな。俺のために泣いてくれるリリィが、こんなに可愛い。でも君の涙は見たくないな。俺が泣かせているみたいじゃないか」
「……っ、殿下の、……せいです」
スカートのポケットからハンカチを出したリリアンナは、恨めしげな目でディアルトを見上げ、涙や洟を拭く。
「俺は大丈夫だよ。精霊の加護がなくても、リリィの加護がある」
「……私はもともと、そんなに特別な力は持っていないのです」
「ふぅん? 俺を守ろうと思ってくれている内に、愛の力でどんどん強くなったのかな」
リリアンナの白い太腿に劣情を抱きながら、ディアルトは彼女の顔にキスを降らせる。
「……そんなんじゃ。……ないんです」
「今日はいつになく、弱気だね。そんな君も可愛いんだけど」
金髪の頭を撫でると、リリアンナはまだ潤んだ目でばつが悪そうにディアルトの胸元をじっと見ていた。
「……忘れてください」
「君に関わることなら、一つでも忘れたくない」
指先で白い頬をスリスリと撫でると、視線を落としたリリアンナがまた一筋涙を流す。
「そうだ、ちょっと待ってて」
何かを思い出すと、ディアルトはリリアンナをテーブルの上に座らせたまま私室の方に歩いてゆく。
一人テーブルの上に座っているのが決まり悪くなったリリアンナは、静かに下りてから主を待つ。
すぐに戻ってきたディアルトは「あれ」と、いつものように真っ直ぐ立っているリリアンナを見て破顔した。
「今なら君も弱っているし、受け取ってくれると思ったんだけどな」
そう言って差し出したのは、昨日と同じ深紅のバラ。
けれど、今回は二本。
「……これも、二本という本数は意味があるのですか?」
「あ、気付いてたんだ?」
リリアンナをソファに座らせ、ディアルトはその前に跪く。
「アリカに、花には花言葉というものがあると教わりました。色や本数で、意味が違うということも」
「やっぱり君自身は知らなかったんだね。君らしい」
ふふ、と笑ってディアルトはリリアンナの手に、二本のバラを持たせる。
ちゃんと棘の処理をされたバラは、ほんの少し長さも違って二本だけでも趣がある。薄い紙に包まれていて、切り口の部分はまだ濡れていた。
「二本の意味は、『この世界は二人だけ』。……どうだい? ロマンチックだろ」
「……ありがとうございます。……殿下はいつから、こんなロマンチストになられたのです?」
渡されたバラは、やはりリリアンナの好みの外見をしている。
スッと香りを吸い込むと、芳しい香りがした。
「んー……。前線行きの話が耳に入ってからかな。今まで関係をなあなあにしていたけど、ちゃんと伝えたいと思ったんだ」
「……確かに、正式な告白も受け取っていませんでしたが、キスをする仲になっていましたね」
真顔でリリアンナが言い、ディアルトがクスクス笑う。
「キスの習慣の始まりは、俺からの命令だったじゃないか。君は当初頑なに拒んでいた。だが俺が『命令だからお願い』と言ったら、渋々許してくれて」
「殿下の命令なら、仕方ありません」
「あの時、他に好きな人がいた?」
じっとディアルトが金色の目でリリアンナを見つめ、彼女はばつが悪くなって視線を逸らす。
「……いませんでした」
「君が十二歳で騎士団に入って、すぐのことだったね。最初はロキアともあまり折り合いがよくなかったっけ」
「そうですね。あの頃のロキアさんは少し怖かったです。『お前のような小娘に、殿下がお守りできるのか』というオーラが、全身から吹き出ていました」
「はは、ロキアなら無言でそういうの出してそうだな」
「初めの頃は、騎士団そのものの風当たりも強かったです」
「でも君は、俺を守るのだと言って頑張ってくれたね」
愛しさを隠さない目がリリアンナを見つめる。
両手で優しく握った手は、剣を持つのに慣れて肉刺ができた後などもある。普通のレディたちの柔らかな手とは違う、戦う者の手。
けれどディアルトは、その手が大好きだ。
せめて爪だけはと、彼女の侍女がクリスタルの爪やすりで、ピカピカに磨いているのも知っている。
「心の底から強くなりたいと思いました。一部の者たちから、私の母が前王陛下を死なせてしまったのだと言われました。悔しくて……。私は絶対に殿下をお守りするのだと、心に決めました」
「君の母上は心から父に仕え、命をかけて共に戦ってくれた。息子の俺がそう言うのだから、君は周囲の雑音に惑わされなくていい」
無責任な言葉に傷付けられるのが、自分だけなら構わないとディアルトは思っている。
けれど王家を守る役目を持つイリス家のリリアンナは、先代の守り手リーズベットと何かにつけて比較された。
彼女はそれを表に出さなかったが、その代わり無心に剣を振ることが多くなった。
守り手となる前――ただの公爵家令嬢だった頃のリリアンナは、もっと少女らしく感情豊かな子だった記憶がある。
「俺が十五歳で君が十歳の時、王家とイリス家とで食事会をしたことがあったっけ」
「覚えています。あの時食べた鴨料理がとても美味しくて、それ以来私の好物に……」
そう言いかけ、ふと今日の昼食も鴨だったのを思い出した。
「カダン様、あの時に覚えてくださっていたのでしょうか」
「……かもしれないね。叔父上はとても愛情深い人だから、父上が大事にする者は自分も同じように大切にしようとしてくださる。それに、父上が君の母上に想いを寄せていたのと同時に、叔父上も密かに……という噂は聞いたことがあるよ」
「……えぇ?」
流石にそれは初耳だったのか、リリアンナは言うべき言葉に困ってしまう。
「母上も今の宮廷のレディたちと同じ身の上でね。君の母上に同性ながら憧れていたと。嫉妬する前に父上を譲っていたかもしれないと言っていた」
「……はぁ」
自分の母親が大した有名人で、出会う人をすべて虜にしていたのは嫌というほど聞いている。
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