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彼の筆下ろしの相手 ☆

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 ――いつの間にか、彼の甘い罠に雁字搦めにされていた。

 八年前からずっと何かを仕組まれていた訳ではないが、あの時から暁人は変わらず芳乃を想ってくれていた。

「……付き合っていた人はいないの?」

 うわずった声で尋ねると、暁人はサッと頬を染めた。
 そのあと、少し言いづらそうに白状する。

「芳乃以外の女性と付き合う気持ちになれなかった。……だから」

 続く言葉を彼女は察し、真っ赤になる。

 初めて暁人が自分を抱いた時、彼は筆下ろしした事になる。

 嬉しいような、自分のために大切に取っておいてもらって、申し訳ないような気持ちにもなった。
 芳乃の表情を見て、暁人は少しむくれて言う。

「だって本当に君以外の女性に魅力を感じなかったんだ。その気もないのに付き合う訳にいかないし、体だけの関係なんてもっとする訳にいかなかった」

(潔癖だなぁ……)

 まっすぐな面を知って、芳乃はくすぐったさを覚える。

 こんなにも美しく、若くて優しく、紳士的で、社会的地位もある、何もかも兼ね揃えた男性が、自分のために童貞を守ってくれていたと知って、嬉しくて堪らなくなった。

 ――愛しい。

 胸の奥から、次々にきらきらしい感情が溢れてくる。

「……暁人。……好き」

「そういえば、昔の事も含めて今の彼に気持ちを伝えたっけ?」と思いながら、芳乃は自然と口に出た言葉を彼に伝える。

 すると目の前で、暁人はクシャリと破顔した。

「俺も大好きだ! 愛してる!」

 彼は顔を傾けてまた深いキスをし、両手で芳乃の体をまさぐる。

「ん……」

 滑らかな肌を彼の手が滑り、芳乃は柔らかな唇を吸いながら切ない吐息を漏らす。

 両足が割り開かれ、その間に暁人の腰が入る。
 内腿を撫でられると腰からゾクゾクとした気持ちよさが全身に広がり、また色っぽい息が出てしまう。

「芳乃……。綺麗だ」

 唇を離した暁人が、陶酔しきった表情で彼だけの女神を見下ろす。

 その顔は八年憧れ続けた女性を、心身共に自分のものとして抱ける喜びに満ちている。

 両手で芳乃のずっしりと重たげな乳房を揉み、その柔らかさを堪能する。
 やがて彼の片手は芳乃の下肢に向かい、平らなお腹を撫でたあとにアンダーヘアをかすり、秘所に優しく指先を当てた。

「ん……」

 今まで直接的な愛撫は受けていないものの、精神的な悦びや愛情の籠もったキスで、そこはすでに潤っていた。

「芳乃、もう濡れてるよ」

 暁人が嬉しそうに囁くと、彼女は「やぁ……」と小さな声で恥じらいを表す。
 彼が指を動かすと、すぐにそこからクチュクチュという水音が聞こえてくる。

 我慢しきれないというように、暁人は指を一本蜜口に押し込んできた。
 芳乃の顔を見つめて手を動かし、彼女が自分の愛撫によってどのような反応をするのか、僅かな変化も見逃さない。

「ん……っ、ん、あぁ……っ」

 すぐに敏感に感じる場所を探り当てられ、芳乃は鼻に掛かった甘ったるい声を漏らす。

「感じてる芳乃、可愛い……」

 暁人は目を細めて愉悦に満ちた微笑みを浮かべ、さらに彼女の蜜洞を探索し、色づいた胸の先端を口に含む。

「あぁ……っ、あ、や……っ、そこ……っ」

 乳首が温かな口内に包まれ、舌によってヌルヌルと舐められる。

 敏感な場所が舌によって転がされるたび、下腹部にズゥン……と甘い疼きが宿り、芳乃は色っぽい吐息をついた。
 乳首を舐められ、吸われて刺激を受け、芳乃はまた新たな蜜を吐き出す。
 その愛蜜が潤滑剤となって、暁人の指の滑りを良くさせた。

「んぅ……っ、あ、あぁ……っ、きもち……っ」

 ぬるついた蜜壷を暁人の指が何度も往復し、陰核の裏側をぐぅっと押さえては、トントンとノックしてくる。
 すると表面では陰核に触られていないのに、そこに直接刺激を得ているような感覚に陥り、芳乃は腰を浮かして悶える。

「はぁ……っ、あ! ……ん、んぅ……っ」

 体の奥から悦楽がせり上がったかと思うと、芳乃は目を閉じて体を震わせながら、深い絶頂を貪っていた。

「んっ、……はぁっ、はぁっ、――――ぁ、はぁ……っ」

「可愛い……」

 自分の手で芳乃を絶頂させた暁人は、陶酔した表情で呟き、指についた愛蜜を舐め取った。
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