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二度目の裏オークション
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まただ、とアンバーは思った。
身に覚えのある体の軋み。ままならない体。ガンガンと痛む頭。衣服をちゃんと纏っていない、頼りない肌の感じ。
薄らと目を開けば顔に何かを被せられていた。――マスクだ。
「……誰か」
暗い空間のなか誰かに助けを求めても、誰も返事をしなかった。
どうやら椅子に座らされ、縛り付けられているようだ。身に纏っているのは下着――のように思えたが、足の甲に触れる裾があったので丈のある何かだと思う。だがそれがしっかりとした布地でない事は、肌がスースーする事から分かっていた。
首には重たいネックレスをかけられ、どうやら耳にも大ぶりのイヤリングがある。
少し頭を振ってみると、マスクの飾りが揺れた。髪は解かれたまま、流されている。
「……ヴォルフ様……」
失敗してしまったのだろうか?
ヴォルフは絶対に見守ってくれていると言っていたのに。
――いや、咄嗟の判断で会話を間違えてしまった自分の非だ。もっと慎重に言葉を重ねれば、安全なままツェーザルを捕らえられたかもしれない。
「……あなたも不運な人ですね」
ふと〝聞き覚えのある声〟がし、アンバーはビクッと身を跳ねさせた。
「……だ、誰……?」
闇……と思えた場所は、目が慣れてくるとどこかの一室のようだった。天井と思われる場所に格子があり、そこから月光が降り注いでいる。
その前を横切ったのは、異形の陰だ。
――白いカラスのマスク。
ハッとして身を強張らせ、相手が裏オークションの司会だと気づく。
「あ……あなたは……」
「運命を受け入れるといいですよ。『厄拾いのアンバー』さん」
「えっ」
どうして自分の悪いあだ名を知っているのかと、ドキッと胸が嫌な鳴り方をする。
「あなたの事は〝前回〟調べました。どこの令嬢で、どんな育ち方をし、どのような立ち位置だったのか……。我々としても、売る『商品』の保証をしなければなりませんからね。生娘だと言って売った令嬢が、もうお手つきであれば我々の信頼ががた落ちです」
コツ、コツと靴音がし、カラス面のシルエットがアンバーの目の前をゆっくり歩く。
「どうやらあなたはあの元帥閣下の手駒として送り込まれたようですが、ここで失敗です。旦那様は城の内部の通路をご存知ですからね。閣下とて、あらゆる裏道のどこから旦那様が脱出するかはご存じないでしょう。あなたはこのまま誰にも愛されず、誰かの欲のはけ口になるのです」
心臓が氷の手で鷲掴みにされた気がした。
涙が湧き起こり、全身が酷く震える。
だがアンバーは、みっともなく泣きわめく事をよしとしなかった。
「……ヴォルフ様は絶対に私を見つけ出してくださいます。それに私は、あの方に愛されている。確かに私は『厄拾い』で社交界では嗤われ者でした。そんな私が、あの方に買われてから以降、人生の絶頂にあったのです。あの方に守られ、私は絶対に幸せになります。そしてあの方を幸せにできるのも、私だけです」
凛としたアンバーのいらえに、クエーレは沈黙した。
やがてハァ……と溜め息をつき、どこか遠い声で呟く。
「旦那様とは正反対のお考えですね? あなたは愛を信じていらっしゃる」
「私だけではありません。ヴォルフ様も私への愛ゆえ、絶対にここから助けてくださいます」
琥珀色の目に強い光を灯し、アンバーはキッと白いカラス面を睨みつける。
「あの冷酷無情の元帥閣下が愛……ね」
どこか小馬鹿にした言い方が、悔しくて堪らない。
目の前に立ったクエーレは、手袋に包まれた手でポンポンとアンバーの頭を撫でた。
「あなたのその根拠のない自信と期待が、……叶えばいいのですけどねぇ」
「――叶うわ」
勃然として言い返したアンバーは、それ以上クエーレと話すのはやめようと決めた。彼もその雰囲気を悟ったのか、ゆったりと歩んでどこかに去って行く。
部屋を去り際に、のんびりとした口調でアンバーに告げる。
「あなたはまた『商品』となります。無用な抵抗はせず、大人しく流れに身を任せてください」
事実上の死刑宣告とも言える事を言い、クエーレは姿を消す。
「……絶対。……来てくれるもの」
一人になり、アンバーはグスッと洟を啜る。
涙が一粒零れたが、今はそれを拭ってくれるヴォルフもいなかった。
**
「――さあ、お立ち会い! 最後は今宵の目玉商品……『どこぞの令嬢』です!」
朗々としたクエーレの言葉に、客がドッと笑った。
笑い声と拍手に包まれ、アンバーはこの上もない恥辱にまみれて壇上に登場した。
車のついた台に乗せられ、手足は縛められたまま。
明るい場所で自分の姿を見下ろせば、胸は辛うじて隠されているものの、他はウェディングヴェールのように薄い生地で織られたドレスを纏っていた。当たり前に体のラインも肌の色も透けて見えてしまっている。
座っているからいいものの、これで立ち上がれば恥部が丸見えだ。
「――――っ」
悲鳴があがりそうなのを堪え、アンバーはグッと奥歯を噛む。
(大丈夫。絶対に助けに来てくださるわ)
「残念な事に、理由がありまして今宵のご令嬢はどなたかのお手つきにございます。代わりにスタートの金額を低く設定致しますので、お客様はどうぞ良いお買い物を。しかして少し厄介な身の上をお持ちのご令嬢ですから、防音のきいた地下室や別荘を沢山お持ちの旦那様にお勧めの一品です」
『訳あり』という事を前振りに置き、クエーレがダンスホールに響き渡る声で告げた。
「それでは、十万ポンドから参ります!」
傷もの、厄介な身の上と条件があるというのに、通常より安く買えるからかすぐに値段をつり上げてゆく声が聞こえる。
血の気が引いたアンバーは、もう自分の心臓の音しか聞こえないような気がした。
ヴォルフの事を最後まで信じていたいが、まだ誰も突入してくる気配がない。もしかしたら客の中にまたヴォルフがいるのかと思ったが、やはり会場は暗くて客の姿がよく分からない。おまけに全員マスクをつけているので、顔が分からなくて当たり前だ。
(……助けて……っ)
恐怖のあまり、アンバーは涙を流していた。体が震え、どうしても嗚咽が漏れてしまう。
食い縛った歯の間から、「ひぃ……っ」と情けない声が漏れた時――、とうとう『その時』が訪れた。
「――では俺が前回同様、一千万で買おう」
どこからかヴォルフの声が聞こえ、周囲がシンとした。
コツ、コツ……と靴音が聞こえ、頭に角のついた骸骨のマスクを被った男が前へ歩み寄る。全身黒ずくめで、長いマントを引きずっている。個人を特定するものはすべて隠れているものの、〝その人〟をアンバーが見間違う事があるはずなかった。
「ヴォルフ様……っ!」
酷く声を震わせたアンバーが愛しい人の名を呼び、『彼』が舞台の前で歩みを止める。
しかし、返事をしたのは『彼』ではなかった。
身に覚えのある体の軋み。ままならない体。ガンガンと痛む頭。衣服をちゃんと纏っていない、頼りない肌の感じ。
薄らと目を開けば顔に何かを被せられていた。――マスクだ。
「……誰か」
暗い空間のなか誰かに助けを求めても、誰も返事をしなかった。
どうやら椅子に座らされ、縛り付けられているようだ。身に纏っているのは下着――のように思えたが、足の甲に触れる裾があったので丈のある何かだと思う。だがそれがしっかりとした布地でない事は、肌がスースーする事から分かっていた。
首には重たいネックレスをかけられ、どうやら耳にも大ぶりのイヤリングがある。
少し頭を振ってみると、マスクの飾りが揺れた。髪は解かれたまま、流されている。
「……ヴォルフ様……」
失敗してしまったのだろうか?
ヴォルフは絶対に見守ってくれていると言っていたのに。
――いや、咄嗟の判断で会話を間違えてしまった自分の非だ。もっと慎重に言葉を重ねれば、安全なままツェーザルを捕らえられたかもしれない。
「……あなたも不運な人ですね」
ふと〝聞き覚えのある声〟がし、アンバーはビクッと身を跳ねさせた。
「……だ、誰……?」
闇……と思えた場所は、目が慣れてくるとどこかの一室のようだった。天井と思われる場所に格子があり、そこから月光が降り注いでいる。
その前を横切ったのは、異形の陰だ。
――白いカラスのマスク。
ハッとして身を強張らせ、相手が裏オークションの司会だと気づく。
「あ……あなたは……」
「運命を受け入れるといいですよ。『厄拾いのアンバー』さん」
「えっ」
どうして自分の悪いあだ名を知っているのかと、ドキッと胸が嫌な鳴り方をする。
「あなたの事は〝前回〟調べました。どこの令嬢で、どんな育ち方をし、どのような立ち位置だったのか……。我々としても、売る『商品』の保証をしなければなりませんからね。生娘だと言って売った令嬢が、もうお手つきであれば我々の信頼ががた落ちです」
コツ、コツと靴音がし、カラス面のシルエットがアンバーの目の前をゆっくり歩く。
「どうやらあなたはあの元帥閣下の手駒として送り込まれたようですが、ここで失敗です。旦那様は城の内部の通路をご存知ですからね。閣下とて、あらゆる裏道のどこから旦那様が脱出するかはご存じないでしょう。あなたはこのまま誰にも愛されず、誰かの欲のはけ口になるのです」
心臓が氷の手で鷲掴みにされた気がした。
涙が湧き起こり、全身が酷く震える。
だがアンバーは、みっともなく泣きわめく事をよしとしなかった。
「……ヴォルフ様は絶対に私を見つけ出してくださいます。それに私は、あの方に愛されている。確かに私は『厄拾い』で社交界では嗤われ者でした。そんな私が、あの方に買われてから以降、人生の絶頂にあったのです。あの方に守られ、私は絶対に幸せになります。そしてあの方を幸せにできるのも、私だけです」
凛としたアンバーのいらえに、クエーレは沈黙した。
やがてハァ……と溜め息をつき、どこか遠い声で呟く。
「旦那様とは正反対のお考えですね? あなたは愛を信じていらっしゃる」
「私だけではありません。ヴォルフ様も私への愛ゆえ、絶対にここから助けてくださいます」
琥珀色の目に強い光を灯し、アンバーはキッと白いカラス面を睨みつける。
「あの冷酷無情の元帥閣下が愛……ね」
どこか小馬鹿にした言い方が、悔しくて堪らない。
目の前に立ったクエーレは、手袋に包まれた手でポンポンとアンバーの頭を撫でた。
「あなたのその根拠のない自信と期待が、……叶えばいいのですけどねぇ」
「――叶うわ」
勃然として言い返したアンバーは、それ以上クエーレと話すのはやめようと決めた。彼もその雰囲気を悟ったのか、ゆったりと歩んでどこかに去って行く。
部屋を去り際に、のんびりとした口調でアンバーに告げる。
「あなたはまた『商品』となります。無用な抵抗はせず、大人しく流れに身を任せてください」
事実上の死刑宣告とも言える事を言い、クエーレは姿を消す。
「……絶対。……来てくれるもの」
一人になり、アンバーはグスッと洟を啜る。
涙が一粒零れたが、今はそれを拭ってくれるヴォルフもいなかった。
**
「――さあ、お立ち会い! 最後は今宵の目玉商品……『どこぞの令嬢』です!」
朗々としたクエーレの言葉に、客がドッと笑った。
笑い声と拍手に包まれ、アンバーはこの上もない恥辱にまみれて壇上に登場した。
車のついた台に乗せられ、手足は縛められたまま。
明るい場所で自分の姿を見下ろせば、胸は辛うじて隠されているものの、他はウェディングヴェールのように薄い生地で織られたドレスを纏っていた。当たり前に体のラインも肌の色も透けて見えてしまっている。
座っているからいいものの、これで立ち上がれば恥部が丸見えだ。
「――――っ」
悲鳴があがりそうなのを堪え、アンバーはグッと奥歯を噛む。
(大丈夫。絶対に助けに来てくださるわ)
「残念な事に、理由がありまして今宵のご令嬢はどなたかのお手つきにございます。代わりにスタートの金額を低く設定致しますので、お客様はどうぞ良いお買い物を。しかして少し厄介な身の上をお持ちのご令嬢ですから、防音のきいた地下室や別荘を沢山お持ちの旦那様にお勧めの一品です」
『訳あり』という事を前振りに置き、クエーレがダンスホールに響き渡る声で告げた。
「それでは、十万ポンドから参ります!」
傷もの、厄介な身の上と条件があるというのに、通常より安く買えるからかすぐに値段をつり上げてゆく声が聞こえる。
血の気が引いたアンバーは、もう自分の心臓の音しか聞こえないような気がした。
ヴォルフの事を最後まで信じていたいが、まだ誰も突入してくる気配がない。もしかしたら客の中にまたヴォルフがいるのかと思ったが、やはり会場は暗くて客の姿がよく分からない。おまけに全員マスクをつけているので、顔が分からなくて当たり前だ。
(……助けて……っ)
恐怖のあまり、アンバーは涙を流していた。体が震え、どうしても嗚咽が漏れてしまう。
食い縛った歯の間から、「ひぃ……っ」と情けない声が漏れた時――、とうとう『その時』が訪れた。
「――では俺が前回同様、一千万で買おう」
どこからかヴォルフの声が聞こえ、周囲がシンとした。
コツ、コツ……と靴音が聞こえ、頭に角のついた骸骨のマスクを被った男が前へ歩み寄る。全身黒ずくめで、長いマントを引きずっている。個人を特定するものはすべて隠れているものの、〝その人〟をアンバーが見間違う事があるはずなかった。
「ヴォルフ様……っ!」
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