28 / 45
湖の夜1 ☆
しおりを挟む
バシャバシャと音をたて、上半身裸になったヴォルフが体や顔、頭を洗っている。
岩場に座ったアンバーは彼を見守りつつ、これからどうなってしまうのかぼんやりと考えていた。まだ頭はどこか麻痺していて、あの激しい戦闘が嘘のようだ。
篝火に浮かび上がる見慣れた屋敷のシルエットを見ても、あそこに帰りたいと思わなかった。むしろヴォルフの側にいる方が、一番安心できる。
「シシィは君をちゃんと守ったか?」
ふと髪を濡らしたヴォルフが問う。水が滴った胸板を見てアンバーはドキッとしつつ返事をする。
「え、ええ。小柄なのにとても強くて……本当に驚きました」
「教育がちゃんとなっていたようで何よりだ。ハンス達も鼻が高いだろう」
「えっ? ハンスさん達も戦えるのですか?」
彼の肌を見て目を逸らそうとしたのだが、驚きのあまりまた見つめてしまう。
「ああ、うちの城にいる者は全員軍経験者だ。シシィはまた少し出が違って、俺の両親が盗賊に襲われた母子を助けた。母は看護の甲斐なく亡くなってしまったが、娘……シシィはそのまま城でメイドとして雇用した。他に身よりもなく、城にいるならばと他の者たちがこぞって武術を教えたんだ」
「そう……なのですね」
あの明るいシシィにそんな過去があったとは……と、アンバーは胸を痛める。
「それはそうと、君は怪我をしていないか?」
ザブザブと水中を歩く音がし、岩に腰掛けたアンバーをヴォルフが見下ろす。
「大丈夫です。シシィが守ってくれましたもの」
「そうか。……本当は俺が側で守っていたかったのだがな」
アンバーの小さな足を手に取り、ヴォルフが口づける。足が冷えていたからか、やけにその唇が熱く感じた。
「あ……、ん。だ、ダメです。足など……」
元帥閣下が口づけていい場所ではないと足を引こうとしたが、ネグリジェ越しに脚を大きく開かれてしまう。
「まだ緊張しているだろう? 俺が解してあげよう」
捲り上げた薄いネグリジェの下から、アンバーの白い脚が露わになる。ねっとりとした手つきでヴォルフは太腿を撫で回し、すぐにアンバーの体の奥に熱が宿った。
「あの……、わ、私……。さっきの今で……」
「だからだ。異常な事で興奮した体は、それを上回る熱で発散してしまえばいい」
もう既に目に情欲を灯らせているヴォルフは、股間を盛り上げている。
戦闘後の男性というものはそういうものなのかと思い、納得しかける。だがふと今までの彼がどうしていたのか想像すると、急に胸が苦しくなった。
「……今までも同じように『発散』していたのですか?」
「え?」
アンバーの内腿に吸い付いていたヴォルフが顔を上げ、意味が分からないと目を眇める。
「で……ですから。今まで何か争い事があったら、その度にどなたか他の女性を抱かれていたのですか?」
妬いている自分が醜く思え、アンバーは横を向く。黒々とした森のシルエットから、狼の遠吠えやフクロウの鳴き声が聞こえた。
「……もしかして」
ヴォルフはしばらく沈黙していたが、やや呆けた顔のままアンバーを覗き込む。
「妬いているのか?」
「……わ、悪いですか? 私はあなたの妻になるのでしょう?」
ツンと顎をそびやかし尊大な態度をとった瞬間、アンバーは湖の中に引きずり落とされていた。
「きゃあっ!」
ザパンと派手な水しぶきが立ち、気がつけばアンバーは冷たい水の中に尻餅をついていた。毛先すらも濡らして情けなくヴォルフを見上げると、煌々とした三日月と同じ形に唇を笑わせた彼がいる。
言い知れぬ怯えを感じたアンバーは、じり……と手足で後ずさった。けれどすぐに大きな岩に背中がつき、万策尽きる。
「やっと君の口から、妻になる事に前向きな言葉が聞けた。今までは流れ上仕方がないという感じだったが、嫉妬までしてくれるとは……!」
アンバー同様、湖底に膝を突いたヴォルフが顔を傾けキスをしてきた。
「っん……ぅ、あ……ん」
ヌルリとした舌の感触が、ヘレヤークトフントの寝室での淫らな時間を思い出させる。冷たい水に浸かっているというのに、ヴォルフの舌が這い回る口腔、そして軽く掴まれた腕が熱を持つ。
舌先がアンバーの歯をなぞり、口蓋のくすぐったい所を探ってきた。
「ふぁあ……ん」
身じろぎし顔を揺らせば、今度は首の裏をしっかり支えられ深く口づけられる。
口の中の柔らかな部分をつつかれ、唾液があふれ出る。怯えて小さくなった舌をヴォルフが探り、スリスリと先端を擦り付けてきた。
「んぁ、……ん、ぅふ……」
気がつけば互いに舌を絡ませる淫らなキスへと発展し、アンバーの頭はジンと痺れる。
その間にヴォルフの指がネグリジェのボタンを外した事など、まったく気づいていなかった。
「んぅ!?」
突然裸の胸を下から揉み上げられ、驚いたアンバーはくぐもった声を上げる。思わず唇が離れるが、彼女が何か文句を言う前にヴォルフは首筋に強く吸い付いていた。
「あぁ……っ、ぁ」
ピリリと体に鋭い刺激が走り、アンバーは腰を反らす。期せずして突き出された胸の片方に、ヴォルフがしゃぶりついた。
「ん……ぁっ、やぁ……、こ、こんな所で……っ」
岩場の陰で、アンバーはヴォルフ(狼)に襲われていた。月下に肌を晒し、頼りなげな声を殺しきる事もできず、好きなだけ男に乳房を弄ばれる。
たっぷりとした質感が月光の下まろまろと踊る。ジュウッと濡れた音がすると同時に、甘ったるい声が水面を震わせた。
「はぁ……っ、あ、……だ、ダメ……っ」
まだ行為が深いものに及ぶ前にと、アンバーは震える足を叱咤し立ち上がる。濡れたネグリジェを掻き合わせ逃げようとするも、今度は岩に抱きつく形で背後から押さえ込まれてしまった。
肌に貼り付き意味をなさなくなったネグリジェが脱がされ、びしょ濡れのドロワーズも脱がされる。あるのは肌を透けさせたシュミーズだけ。
その裾をたくし上げ、ヴォルフは膝立ちのままアンバーの秘部に顔を埋めた。
内腿のきわどい所を強く吸い上げられ「あぁっ」と嬌声が漏れる。外でなんて誰に聞かれるかも分からないのに、冷たい岩に押しつけられやけに興奮した。
岩場に座ったアンバーは彼を見守りつつ、これからどうなってしまうのかぼんやりと考えていた。まだ頭はどこか麻痺していて、あの激しい戦闘が嘘のようだ。
篝火に浮かび上がる見慣れた屋敷のシルエットを見ても、あそこに帰りたいと思わなかった。むしろヴォルフの側にいる方が、一番安心できる。
「シシィは君をちゃんと守ったか?」
ふと髪を濡らしたヴォルフが問う。水が滴った胸板を見てアンバーはドキッとしつつ返事をする。
「え、ええ。小柄なのにとても強くて……本当に驚きました」
「教育がちゃんとなっていたようで何よりだ。ハンス達も鼻が高いだろう」
「えっ? ハンスさん達も戦えるのですか?」
彼の肌を見て目を逸らそうとしたのだが、驚きのあまりまた見つめてしまう。
「ああ、うちの城にいる者は全員軍経験者だ。シシィはまた少し出が違って、俺の両親が盗賊に襲われた母子を助けた。母は看護の甲斐なく亡くなってしまったが、娘……シシィはそのまま城でメイドとして雇用した。他に身よりもなく、城にいるならばと他の者たちがこぞって武術を教えたんだ」
「そう……なのですね」
あの明るいシシィにそんな過去があったとは……と、アンバーは胸を痛める。
「それはそうと、君は怪我をしていないか?」
ザブザブと水中を歩く音がし、岩に腰掛けたアンバーをヴォルフが見下ろす。
「大丈夫です。シシィが守ってくれましたもの」
「そうか。……本当は俺が側で守っていたかったのだがな」
アンバーの小さな足を手に取り、ヴォルフが口づける。足が冷えていたからか、やけにその唇が熱く感じた。
「あ……、ん。だ、ダメです。足など……」
元帥閣下が口づけていい場所ではないと足を引こうとしたが、ネグリジェ越しに脚を大きく開かれてしまう。
「まだ緊張しているだろう? 俺が解してあげよう」
捲り上げた薄いネグリジェの下から、アンバーの白い脚が露わになる。ねっとりとした手つきでヴォルフは太腿を撫で回し、すぐにアンバーの体の奥に熱が宿った。
「あの……、わ、私……。さっきの今で……」
「だからだ。異常な事で興奮した体は、それを上回る熱で発散してしまえばいい」
もう既に目に情欲を灯らせているヴォルフは、股間を盛り上げている。
戦闘後の男性というものはそういうものなのかと思い、納得しかける。だがふと今までの彼がどうしていたのか想像すると、急に胸が苦しくなった。
「……今までも同じように『発散』していたのですか?」
「え?」
アンバーの内腿に吸い付いていたヴォルフが顔を上げ、意味が分からないと目を眇める。
「で……ですから。今まで何か争い事があったら、その度にどなたか他の女性を抱かれていたのですか?」
妬いている自分が醜く思え、アンバーは横を向く。黒々とした森のシルエットから、狼の遠吠えやフクロウの鳴き声が聞こえた。
「……もしかして」
ヴォルフはしばらく沈黙していたが、やや呆けた顔のままアンバーを覗き込む。
「妬いているのか?」
「……わ、悪いですか? 私はあなたの妻になるのでしょう?」
ツンと顎をそびやかし尊大な態度をとった瞬間、アンバーは湖の中に引きずり落とされていた。
「きゃあっ!」
ザパンと派手な水しぶきが立ち、気がつけばアンバーは冷たい水の中に尻餅をついていた。毛先すらも濡らして情けなくヴォルフを見上げると、煌々とした三日月と同じ形に唇を笑わせた彼がいる。
言い知れぬ怯えを感じたアンバーは、じり……と手足で後ずさった。けれどすぐに大きな岩に背中がつき、万策尽きる。
「やっと君の口から、妻になる事に前向きな言葉が聞けた。今までは流れ上仕方がないという感じだったが、嫉妬までしてくれるとは……!」
アンバー同様、湖底に膝を突いたヴォルフが顔を傾けキスをしてきた。
「っん……ぅ、あ……ん」
ヌルリとした舌の感触が、ヘレヤークトフントの寝室での淫らな時間を思い出させる。冷たい水に浸かっているというのに、ヴォルフの舌が這い回る口腔、そして軽く掴まれた腕が熱を持つ。
舌先がアンバーの歯をなぞり、口蓋のくすぐったい所を探ってきた。
「ふぁあ……ん」
身じろぎし顔を揺らせば、今度は首の裏をしっかり支えられ深く口づけられる。
口の中の柔らかな部分をつつかれ、唾液があふれ出る。怯えて小さくなった舌をヴォルフが探り、スリスリと先端を擦り付けてきた。
「んぁ、……ん、ぅふ……」
気がつけば互いに舌を絡ませる淫らなキスへと発展し、アンバーの頭はジンと痺れる。
その間にヴォルフの指がネグリジェのボタンを外した事など、まったく気づいていなかった。
「んぅ!?」
突然裸の胸を下から揉み上げられ、驚いたアンバーはくぐもった声を上げる。思わず唇が離れるが、彼女が何か文句を言う前にヴォルフは首筋に強く吸い付いていた。
「あぁ……っ、ぁ」
ピリリと体に鋭い刺激が走り、アンバーは腰を反らす。期せずして突き出された胸の片方に、ヴォルフがしゃぶりついた。
「ん……ぁっ、やぁ……、こ、こんな所で……っ」
岩場の陰で、アンバーはヴォルフ(狼)に襲われていた。月下に肌を晒し、頼りなげな声を殺しきる事もできず、好きなだけ男に乳房を弄ばれる。
たっぷりとした質感が月光の下まろまろと踊る。ジュウッと濡れた音がすると同時に、甘ったるい声が水面を震わせた。
「はぁ……っ、あ、……だ、ダメ……っ」
まだ行為が深いものに及ぶ前にと、アンバーは震える足を叱咤し立ち上がる。濡れたネグリジェを掻き合わせ逃げようとするも、今度は岩に抱きつく形で背後から押さえ込まれてしまった。
肌に貼り付き意味をなさなくなったネグリジェが脱がされ、びしょ濡れのドロワーズも脱がされる。あるのは肌を透けさせたシュミーズだけ。
その裾をたくし上げ、ヴォルフは膝立ちのままアンバーの秘部に顔を埋めた。
内腿のきわどい所を強く吸い上げられ「あぁっ」と嬌声が漏れる。外でなんて誰に聞かれるかも分からないのに、冷たい岩に押しつけられやけに興奮した。
1
お気に入りに追加
514
あなたにおすすめの小説


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる