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戦闘1
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その夜――。
馴染んだ自室のベッドで眠っていたアンバーは、小さなノックの音で目を覚ました。
「アンバー様、夜分失礼致します。急用がございますので、起きてくださいますか?」
「……ん、……シシィ?」
聞き慣れた声はメイドのものだ。
シシィはいつもなら「奥様」と呼ぶのだが、ヴォルフの指示なのかこの屋敷では「アンバー様」と呼んでいた。
蝋燭の明かりにぼんやりと姿を浮かび上がらせたシシィは、ナイトキャップを被り寝間着姿のままだ。
ヴォルフは客室に泊まり、アンバーの部屋の隣室にシシィが泊まっていた。
「何かあったの……? まだ夜中だわ」
眠たい目をこすり、アンバーが起き上がる。明かりを求めて天蓋から出ようとした彼女を、シシィが手で制した。
「アンバー様はそのままそこでお待ちください。このお屋敷を賊が取り囲んでおります。護衛が外で交戦していますが、お屋敷の内部にいつ入り込むか分かりません。アンバー様の事はこのシシィめがお守り致しますので、ご安心を」
「な……っ、ヴォルフ様は? お父様とお母様、他の者たちは?」
シシィの説明に一気に目が覚め、居ても立ってもいられない。
「旦那様は現在玄関ホールにて指揮を出されております。ドランスフィールドの方々も一箇所に集められ、護衛が守っております。敵の目的はアンバー様ですから、屋敷の奥まった場所にあるこの場で待機するのが一番だろうとの事です。申し訳ありませんが、アンバー様をお隠しして好き放題させるより、一番攻めにくい場所に置き囮とさせ、一網打尽にする方法とさせて頂いております」
「ヴォルフ様は大丈夫なの? だってあの方、元帥閣下とはいえ貴族でしょう?」
「あらアンバー様、旦那様がどうしてヘレヤークトフント――地獄の猟犬と呼ばれているのか、旦那様からお聞きしていないのですね?」
「それは……ファミリーネームだから……?」
ポカンとして言うも、シシィは不敵な笑みを浮かべ誇らしげに告げた。
「私たちの雇い主……旦那様は、『王家の猟犬』として国のつるぎとなり、またあらゆる裏の仕事も担っておいでです。またその鋭い牙は、旦那様ご自身の事も差しています。クラルヴィン王国の軍部や騎士団、ありとあらゆる戦闘集団の中で、旦那様に勝てる者は誰一人いないのですよ」
「そんな……」
優しく甘いヴォルフしか知らないアンバーは、あまりのギャップに驚いた。けれど心のどこかで納得している自分もいた。
時折見せる触れれば切れそうな雰囲気、油断のない洗練された動きや、鍛え抜かれた体。あれらはすべて訓練の賜物なのだろう。遅れて体中に刻まれた傷跡を思い出し、深く納得する。
部下たちを前にした時も、彼がいるだけで全員がピッと張り詰めた空気になった。
あまりの強さ、優秀さに誰かが揶揄して『地獄の猟犬』と名付けられるほど、ヴォルフは他を圧倒しているに違いない。
あの北極星のような目も、アンバーを見つめる時以外は、誰かの背筋を恐怖で震わせているのだろうか。
「そして私も、旦那様から直々に育てて頂いた戦闘メイドでございます。たまには体を動かさなければ、本来の意味での職務を果たせません。ですからご安心くださいね」
「え……っ」
まだ十代の愛らしいシシィの口から『戦闘メイド』という言葉が出て、アンバーは一瞬耳を疑った。
だがその時、階下から誰かの咆吼が聞こえたかと思うと、直後に屋敷がシン……と静まりかえった。
「い……今のは……」
まるで断末魔の声のように、凄まじい声だった。
ヴォルフが襲われてしまったのでは? とシシィを見れば、彼女は余裕たっぷりの顔で首を振る。
「庭を突破した者が、玄関ホールで旦那様の一撃を食らったのでしょう。旦那様は戦場では容赦のない方ですから、相手も苦しまず逝けたと思います」
蝋燭の明かりがシシィの可愛らしい顔に陰影をつける。見慣れた少女の顔だというのに、アンバーの知らない一面を持った彼女は不気味な存在に思える。
「シ、シシィはどうやって戦うの? あなた体が小さいし、失礼だけれど男性には敵わないのではないの?」
「ふふ、大丈夫ですよアンバー様。私には特別な武器があります。体も小さいですが、筋力は結構あるのですよ?」
寝間着姿のまま、シシィは床に裸足で立っている。
ふと、その足に何かがついているのに気づいた。足首から足の甲を輪っか状の物が通り、土踏まずを通って踵の突起を支えている。突起――もとい研ぎ澄まされた切っ先は、勢いよく足を振り下ろせば立派な武器になりそうだ。
加えて彼女の両手には、トゲトゲのついた何かが握られていた。さすがにその拳でパンチをされれば、痛いでは済まないだろう。
いつも直立不動で立っているシシィは、ドアに向かって半身になり片足を引いている。ゆったりと体重を前後に揺らし、いつでも闖入者に飛びかかれるような気配だ。
「ぎゃあっ!」
また、階下で誰かの絶叫が聞こえた。
恐怖を覚えて胸の前で両手を組めば、シシィがいつものように優しく励ましてくれる。
「大丈夫ですよ。アンバー様の事は私たちがちゃんとお守り致します」
――守る。
今まで生きてきて、両親はアンバーに向かってそう言い続けてくれた。
アンバーも家や民を守るのだと思っていた。
けれど世の中にはこういう〝守る〟もあるのだ。ヴォルフはアンバーの飛び降り騒ぎから秘密を教えてくれ、堅牢な城からアンバーをつれ出してくれた。このような危険な目を想定しても彼女を守ると決意してくれたのだ。
ヴォルフだけではない。シシィも、一緒についてきてくれた兵士たちも、両親も、ドランスフィールドの屋敷にいる使用人も、皆アンバーのために危険に晒されている。
すべてはあの日、何もかも耐えられず、死んでしまおうと愚かな真似をしたアンバーのせいだ。
あれさえなければ、まだ城で安全な生活をしていたかもしれない。ヴォルフを泣かせる事もせず、彼に余計な苦悩を与えなかっただろう。
馴染んだ自室のベッドで眠っていたアンバーは、小さなノックの音で目を覚ました。
「アンバー様、夜分失礼致します。急用がございますので、起きてくださいますか?」
「……ん、……シシィ?」
聞き慣れた声はメイドのものだ。
シシィはいつもなら「奥様」と呼ぶのだが、ヴォルフの指示なのかこの屋敷では「アンバー様」と呼んでいた。
蝋燭の明かりにぼんやりと姿を浮かび上がらせたシシィは、ナイトキャップを被り寝間着姿のままだ。
ヴォルフは客室に泊まり、アンバーの部屋の隣室にシシィが泊まっていた。
「何かあったの……? まだ夜中だわ」
眠たい目をこすり、アンバーが起き上がる。明かりを求めて天蓋から出ようとした彼女を、シシィが手で制した。
「アンバー様はそのままそこでお待ちください。このお屋敷を賊が取り囲んでおります。護衛が外で交戦していますが、お屋敷の内部にいつ入り込むか分かりません。アンバー様の事はこのシシィめがお守り致しますので、ご安心を」
「な……っ、ヴォルフ様は? お父様とお母様、他の者たちは?」
シシィの説明に一気に目が覚め、居ても立ってもいられない。
「旦那様は現在玄関ホールにて指揮を出されております。ドランスフィールドの方々も一箇所に集められ、護衛が守っております。敵の目的はアンバー様ですから、屋敷の奥まった場所にあるこの場で待機するのが一番だろうとの事です。申し訳ありませんが、アンバー様をお隠しして好き放題させるより、一番攻めにくい場所に置き囮とさせ、一網打尽にする方法とさせて頂いております」
「ヴォルフ様は大丈夫なの? だってあの方、元帥閣下とはいえ貴族でしょう?」
「あらアンバー様、旦那様がどうしてヘレヤークトフント――地獄の猟犬と呼ばれているのか、旦那様からお聞きしていないのですね?」
「それは……ファミリーネームだから……?」
ポカンとして言うも、シシィは不敵な笑みを浮かべ誇らしげに告げた。
「私たちの雇い主……旦那様は、『王家の猟犬』として国のつるぎとなり、またあらゆる裏の仕事も担っておいでです。またその鋭い牙は、旦那様ご自身の事も差しています。クラルヴィン王国の軍部や騎士団、ありとあらゆる戦闘集団の中で、旦那様に勝てる者は誰一人いないのですよ」
「そんな……」
優しく甘いヴォルフしか知らないアンバーは、あまりのギャップに驚いた。けれど心のどこかで納得している自分もいた。
時折見せる触れれば切れそうな雰囲気、油断のない洗練された動きや、鍛え抜かれた体。あれらはすべて訓練の賜物なのだろう。遅れて体中に刻まれた傷跡を思い出し、深く納得する。
部下たちを前にした時も、彼がいるだけで全員がピッと張り詰めた空気になった。
あまりの強さ、優秀さに誰かが揶揄して『地獄の猟犬』と名付けられるほど、ヴォルフは他を圧倒しているに違いない。
あの北極星のような目も、アンバーを見つめる時以外は、誰かの背筋を恐怖で震わせているのだろうか。
「そして私も、旦那様から直々に育てて頂いた戦闘メイドでございます。たまには体を動かさなければ、本来の意味での職務を果たせません。ですからご安心くださいね」
「え……っ」
まだ十代の愛らしいシシィの口から『戦闘メイド』という言葉が出て、アンバーは一瞬耳を疑った。
だがその時、階下から誰かの咆吼が聞こえたかと思うと、直後に屋敷がシン……と静まりかえった。
「い……今のは……」
まるで断末魔の声のように、凄まじい声だった。
ヴォルフが襲われてしまったのでは? とシシィを見れば、彼女は余裕たっぷりの顔で首を振る。
「庭を突破した者が、玄関ホールで旦那様の一撃を食らったのでしょう。旦那様は戦場では容赦のない方ですから、相手も苦しまず逝けたと思います」
蝋燭の明かりがシシィの可愛らしい顔に陰影をつける。見慣れた少女の顔だというのに、アンバーの知らない一面を持った彼女は不気味な存在に思える。
「シ、シシィはどうやって戦うの? あなた体が小さいし、失礼だけれど男性には敵わないのではないの?」
「ふふ、大丈夫ですよアンバー様。私には特別な武器があります。体も小さいですが、筋力は結構あるのですよ?」
寝間着姿のまま、シシィは床に裸足で立っている。
ふと、その足に何かがついているのに気づいた。足首から足の甲を輪っか状の物が通り、土踏まずを通って踵の突起を支えている。突起――もとい研ぎ澄まされた切っ先は、勢いよく足を振り下ろせば立派な武器になりそうだ。
加えて彼女の両手には、トゲトゲのついた何かが握られていた。さすがにその拳でパンチをされれば、痛いでは済まないだろう。
いつも直立不動で立っているシシィは、ドアに向かって半身になり片足を引いている。ゆったりと体重を前後に揺らし、いつでも闖入者に飛びかかれるような気配だ。
「ぎゃあっ!」
また、階下で誰かの絶叫が聞こえた。
恐怖を覚えて胸の前で両手を組めば、シシィがいつものように優しく励ましてくれる。
「大丈夫ですよ。アンバー様の事は私たちがちゃんとお守り致します」
――守る。
今まで生きてきて、両親はアンバーに向かってそう言い続けてくれた。
アンバーも家や民を守るのだと思っていた。
けれど世の中にはこういう〝守る〟もあるのだ。ヴォルフはアンバーの飛び降り騒ぎから秘密を教えてくれ、堅牢な城からアンバーをつれ出してくれた。このような危険な目を想定しても彼女を守ると決意してくれたのだ。
ヴォルフだけではない。シシィも、一緒についてきてくれた兵士たちも、両親も、ドランスフィールドの屋敷にいる使用人も、皆アンバーのために危険に晒されている。
すべてはあの日、何もかも耐えられず、死んでしまおうと愚かな真似をしたアンバーのせいだ。
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