16 / 45
まごころ2
しおりを挟む
弱々しい力でヴォルフの手を握り返し、試すような目が彼の薄い色の瞳を見つめた。
「……私、本を返そうとしてヴォルフ様のデスクの上を見てしまいました。お手紙が四通あり、それにあなたの苗字――ヘレヤークトフントと書かれてあるのを見ました」
ヴォルフがスッと小さく息を吸ったのが聞こえる。だが構わずアンバーは続けた。
「加えて『クラブG』という宛先から、妖しげな赤い封筒も届いていました。私の知る限り、紳士クラブならもっと正統派な封筒を使うはずです。あの赤い封筒、そしてウサギ。どうしても私は、あの裏オークションと関連付けてしまいます」
不安もあるが、アンバーはすべて告白する。
最後に、自分の心の奥にしまい込もうとした淡い想いすら曝け出した。
「……私はヴォルフ様が他にも女性を買っていて、私の知らない場所で誰かと愛し合っているのだろうかと邪推して……。とても苦しくなりました。買われた私がこんな身勝手な想いを抱くなんて許されないけれど、……あ、あなたを……。……独り占めしたい。……そう思ってしまって……」
恥ずかしくて苦しくて、言葉の終わりはとても震えて掠れた声になってしまった。
婚約者がいる身なのに、淑女として何とはしたない――。
涙が零れ落ちそうになった時、グッと力強い両腕に苦しいほど抱き締められた。
「……っヴォル、ん」
直後唇を奪われ、きつく吸われる。
驚いて体を強張らせるも、ヴォルフは何度も唇を吸ったあと舌を滑り込ませた。
「ぁ……んっ、ン……ぅ」
あれほど不安だったというのに、こうして抱かれてキスをされれば心地よさに流されてゆく。純潔を失った我が身を憐れんでいたというのに、なんて現金なのだろう。
内心苦笑しつつも、アンバーはヴォルフのキスに身を任せていた。
柔らかな舌が口腔を這い、時折ちゅっと可愛らしいリップ音がする。背中を撫で回す手はまだ僅かに震えていた。
献身的なキスをされ、アンバーは自分が間違えていたと痛感する。
(確かに私は賊に襲われ裏オークションで売買された。それはとても不幸な事だわ。けれどヴォルフ様に買って頂いてから、何一つ不自由はしなかった。彼は私を本気で愛してくれているようだし……。何より、あの涙とこの手の震えを疑ってはいけない)
「ン……ん」
ぐるりと舌の根を回され、クチャリと淫靡な音がした。
口腔に溜まった二人分の唾液を嚥下した時、やっとヴォルフの唇が離れていった。
彼は少しの間アンバーを見つめ、彼女の両手を優しく握り心からの言葉を伝える。
「信じてほしい。俺は君以外の女など要らない。あのオークションで人を買ったのも君が初めて。どうしてもアンバーをよその誰かにやりたくなかった。秘密クラブには確かに加入している。だがそれは……仕事として必要だからだ」
まだアンバーの体を気遣っているのか、ヴォルフはゆっくりと彼女を横たえた。
「少し……待っていてくれるか? 帰宅してそのままだったから、着替えたり簡単に身ぎれいにしたい。シシィにお茶を……そうだな、リラックス効果のあるカモミールでも運ばせる。彼女とも少し話をするといい」
「分かりました」
素直に首肯すれば、額にキスを落としヴォルフが立ち上がる。
絨毯越しの靴音がし、ジャケットを手に取る布音がしてから、ヴォルフの足音も遠ざかってゆく。
「……はぁ」
一人残されたアンバーは、キスの名残でどこかジンと痺れた頭のまま唇に指を這わせる。
「思えば……彼に乱暴な事をされた覚えは一度もない。まるでこのお城の女主人のような扱いをしてくれたし……。私はもっと、ここの人たちを信じるべきなのだわ」
海よりも深く反省し、それでも……と思考を巡らせる。
「ヴォルフ様が私を守ってくださっていたのだとしたら、やはり何が原因なのか知りたいわ。守られるに甘んじて何も知らないのは、当事者なのに責任感がない気がするし。降りかかる火の粉がどこから来るのか判明すれば、私も何に注意すればいいのか分かるはず」
一度絶望し、ヴォルフに救われてから覚悟の入り方が違う気がする。
城の四階から飛び降りる勇気に比べれば、誰かの悪巧みを知って事件に巻き込まれるかもしれないなど、ずっと易しいとすら思えた。
静かに決意を固めた頃、トントンと控えめに寝室のドアがノックされた。
「どうぞ」
声を掛け、一拍おいてからワゴンを押し姿を現したのはシシィだ。
いつも明朗快活という表情の彼女は、今ばかりは暗い面持ちだ。目元は泣き腫らしたのか赤くなっていて、顔色全体が青白い気がする。
申し訳なさを感じ、アンバーは体を起こして両腕を広げた。
「シシィ、ごめんなさい」
「奥様……っ」
ハグを求める女主人の様子に、メイドは顔を歪め駆け寄ってくる。
「申し訳ございませんでした……っ! 私がもっとしっかり奥様をお支えしていれば、このような事には……っ」
どう考えてもアンバーが悪いというのに、シシィは強い自責の念を感じている。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。私が悪かったのよ。あなたは何も悪くない。ヴォルフ様に叱られなかった? 打たれたり、酷い事はされていない?」
小柄なシシィを抱き締め彼女の肩口に顔を伏せれば、小さなシシィは震えていた。だがパッと顔を上げ、必死な目でアンバーを覗き込む。
「いいえ! 旦那様はそのような事はなさいません。確かに叱責を受けましたが、それ以上の罰は何も……。旦那様は、私たち使用人の誇りですもの」
涙で潤んでいるが、シシィの青い目は凛としている。言葉通り主人を信じ、疑わない。
妻にと望まれているアンバーよりとても盤石な思いを前に、羞恥すら覚えた。
「もう二度とあんな事はしないわ。約束する。ヴォルフ様とも話し合って、私がここで何をすればいいのかこれから解決策を見つけるつもりよ」
「……はい。ぜひ、これからもずっとシシィを奥様の側に置いてください」
指で涙を拭い、シシィはニコッと笑ってみせた。
立ち上がってワゴンまで行くと、アンバーのためにカモミールティーを淹れてくれる。
「旦那様は真っ青な顔をされて、今にも倒れそうでした。医師が何も問題はないと仰っても、奥様が目覚めるまではと手当ても受けられず……」
「手当て?」
驚いて言葉を反芻したアンバーに、シシィは失言をしたと顔を歪ませた。
「お願い、教えて?」
だが食い下がるアンバーに、シシィはヴォルフの部屋の方を窺ってから、小声で白状する。
「奥様を受け止められた時、咄嗟に受け身を取られましたが、肩の辺りに多少の打撲を……。いえ、でも旦那様は頑丈ですし、医師も生活には何の差し障りはないと」
「……そう」
悲しげに目を伏せ、アンバーはお茶を啜る。
やはり自分は『厄拾いのアンバー』だ。
自らの身の上を破滅させるだけでなく、娶ろうとする男性まで不幸にする。もともとの婚約者に嫁いだ日には、家を没落させるまでしたかもしれない。
「……私、本を返そうとしてヴォルフ様のデスクの上を見てしまいました。お手紙が四通あり、それにあなたの苗字――ヘレヤークトフントと書かれてあるのを見ました」
ヴォルフがスッと小さく息を吸ったのが聞こえる。だが構わずアンバーは続けた。
「加えて『クラブG』という宛先から、妖しげな赤い封筒も届いていました。私の知る限り、紳士クラブならもっと正統派な封筒を使うはずです。あの赤い封筒、そしてウサギ。どうしても私は、あの裏オークションと関連付けてしまいます」
不安もあるが、アンバーはすべて告白する。
最後に、自分の心の奥にしまい込もうとした淡い想いすら曝け出した。
「……私はヴォルフ様が他にも女性を買っていて、私の知らない場所で誰かと愛し合っているのだろうかと邪推して……。とても苦しくなりました。買われた私がこんな身勝手な想いを抱くなんて許されないけれど、……あ、あなたを……。……独り占めしたい。……そう思ってしまって……」
恥ずかしくて苦しくて、言葉の終わりはとても震えて掠れた声になってしまった。
婚約者がいる身なのに、淑女として何とはしたない――。
涙が零れ落ちそうになった時、グッと力強い両腕に苦しいほど抱き締められた。
「……っヴォル、ん」
直後唇を奪われ、きつく吸われる。
驚いて体を強張らせるも、ヴォルフは何度も唇を吸ったあと舌を滑り込ませた。
「ぁ……んっ、ン……ぅ」
あれほど不安だったというのに、こうして抱かれてキスをされれば心地よさに流されてゆく。純潔を失った我が身を憐れんでいたというのに、なんて現金なのだろう。
内心苦笑しつつも、アンバーはヴォルフのキスに身を任せていた。
柔らかな舌が口腔を這い、時折ちゅっと可愛らしいリップ音がする。背中を撫で回す手はまだ僅かに震えていた。
献身的なキスをされ、アンバーは自分が間違えていたと痛感する。
(確かに私は賊に襲われ裏オークションで売買された。それはとても不幸な事だわ。けれどヴォルフ様に買って頂いてから、何一つ不自由はしなかった。彼は私を本気で愛してくれているようだし……。何より、あの涙とこの手の震えを疑ってはいけない)
「ン……ん」
ぐるりと舌の根を回され、クチャリと淫靡な音がした。
口腔に溜まった二人分の唾液を嚥下した時、やっとヴォルフの唇が離れていった。
彼は少しの間アンバーを見つめ、彼女の両手を優しく握り心からの言葉を伝える。
「信じてほしい。俺は君以外の女など要らない。あのオークションで人を買ったのも君が初めて。どうしてもアンバーをよその誰かにやりたくなかった。秘密クラブには確かに加入している。だがそれは……仕事として必要だからだ」
まだアンバーの体を気遣っているのか、ヴォルフはゆっくりと彼女を横たえた。
「少し……待っていてくれるか? 帰宅してそのままだったから、着替えたり簡単に身ぎれいにしたい。シシィにお茶を……そうだな、リラックス効果のあるカモミールでも運ばせる。彼女とも少し話をするといい」
「分かりました」
素直に首肯すれば、額にキスを落としヴォルフが立ち上がる。
絨毯越しの靴音がし、ジャケットを手に取る布音がしてから、ヴォルフの足音も遠ざかってゆく。
「……はぁ」
一人残されたアンバーは、キスの名残でどこかジンと痺れた頭のまま唇に指を這わせる。
「思えば……彼に乱暴な事をされた覚えは一度もない。まるでこのお城の女主人のような扱いをしてくれたし……。私はもっと、ここの人たちを信じるべきなのだわ」
海よりも深く反省し、それでも……と思考を巡らせる。
「ヴォルフ様が私を守ってくださっていたのだとしたら、やはり何が原因なのか知りたいわ。守られるに甘んじて何も知らないのは、当事者なのに責任感がない気がするし。降りかかる火の粉がどこから来るのか判明すれば、私も何に注意すればいいのか分かるはず」
一度絶望し、ヴォルフに救われてから覚悟の入り方が違う気がする。
城の四階から飛び降りる勇気に比べれば、誰かの悪巧みを知って事件に巻き込まれるかもしれないなど、ずっと易しいとすら思えた。
静かに決意を固めた頃、トントンと控えめに寝室のドアがノックされた。
「どうぞ」
声を掛け、一拍おいてからワゴンを押し姿を現したのはシシィだ。
いつも明朗快活という表情の彼女は、今ばかりは暗い面持ちだ。目元は泣き腫らしたのか赤くなっていて、顔色全体が青白い気がする。
申し訳なさを感じ、アンバーは体を起こして両腕を広げた。
「シシィ、ごめんなさい」
「奥様……っ」
ハグを求める女主人の様子に、メイドは顔を歪め駆け寄ってくる。
「申し訳ございませんでした……っ! 私がもっとしっかり奥様をお支えしていれば、このような事には……っ」
どう考えてもアンバーが悪いというのに、シシィは強い自責の念を感じている。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。私が悪かったのよ。あなたは何も悪くない。ヴォルフ様に叱られなかった? 打たれたり、酷い事はされていない?」
小柄なシシィを抱き締め彼女の肩口に顔を伏せれば、小さなシシィは震えていた。だがパッと顔を上げ、必死な目でアンバーを覗き込む。
「いいえ! 旦那様はそのような事はなさいません。確かに叱責を受けましたが、それ以上の罰は何も……。旦那様は、私たち使用人の誇りですもの」
涙で潤んでいるが、シシィの青い目は凛としている。言葉通り主人を信じ、疑わない。
妻にと望まれているアンバーよりとても盤石な思いを前に、羞恥すら覚えた。
「もう二度とあんな事はしないわ。約束する。ヴォルフ様とも話し合って、私がここで何をすればいいのかこれから解決策を見つけるつもりよ」
「……はい。ぜひ、これからもずっとシシィを奥様の側に置いてください」
指で涙を拭い、シシィはニコッと笑ってみせた。
立ち上がってワゴンまで行くと、アンバーのためにカモミールティーを淹れてくれる。
「旦那様は真っ青な顔をされて、今にも倒れそうでした。医師が何も問題はないと仰っても、奥様が目覚めるまではと手当ても受けられず……」
「手当て?」
驚いて言葉を反芻したアンバーに、シシィは失言をしたと顔を歪ませた。
「お願い、教えて?」
だが食い下がるアンバーに、シシィはヴォルフの部屋の方を窺ってから、小声で白状する。
「奥様を受け止められた時、咄嗟に受け身を取られましたが、肩の辺りに多少の打撲を……。いえ、でも旦那様は頑丈ですし、医師も生活には何の差し障りはないと」
「……そう」
悲しげに目を伏せ、アンバーはお茶を啜る。
やはり自分は『厄拾いのアンバー』だ。
自らの身の上を破滅させるだけでなく、娶ろうとする男性まで不幸にする。もともとの婚約者に嫁いだ日には、家を没落させるまでしたかもしれない。
1
お気に入りに追加
514
あなたにおすすめの小説


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる