【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十三部・幸せへ 編

ワシントンDCへ

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「んもー……。こっちの人、みんなカジュアルな格好をしてますから、周りから浮くようなのは嫌ですからね」

 欧米の人はシンプルにTシャツにジーンズという格好が多く、日本のようにデザインに凝った服を着ている人は少ない印象がある。

 ノーメイクでいるのも当たり前で、日本では「化粧をせずに外出するのは恥ずかしい」と思っている女性が割と多くいるので、少し衝撃的だった。

 双子が出入りするレストランや社交場では、勿論TPOをわきまえた服装をするが、街中や公園を歩く人々についてはとてもカジュアルだ。

 双子は職業柄着る物に気を遣っているが、マティアスを見ていると「暑さ寒さを調節して、着心地がよければいい」という感じが窺える。

 彼らが「幻想的な桜に似合うコーディネートをしたい」と考えるのは感性的に理解するが、その土地に合わせた着こなしをするのも大事だ。

 そう思って意見を言ったのだが、双子は香澄を見てニヤニヤしている。

(う……、嫌な予感……)

 するとアロイスがタブレット端末を掲げ、コーディネートを見せてきた。

 そしてとても嬉しそうに言う。

「じゃーん! 十日間のワシントンDCコーデを考えました! この通りに着てもらいまーす!」

「ええっ!?」

 慌てた香澄はジュースのグラスを置き、立ちあがってアロイスのもとへ行くと、液晶を覗き込む。

 画面には服を着せられたトルソーがあり、画面をスワイプしていくと毎日服装が違う。

 全体的に大人っぽい印象だが、白やベージュ、ベージュピンクなど薄い色が多い。

(狙ってる……)

 もうこの服を着る未来しかないのだと察した香澄は、ガクリと項垂れた。



**



 澪も一緒に双子のプライベートジェットに乗り、ワシントンDCに向かう。

 リカルドは仕事があるらしく、またあとで合流すると言っていた。

 双子たちがアメリカに滞在している間、ショーンは可能な限り面倒を見てくれるらしく、『あとから僕もワシントンDCに向かう』と言っていた。

 ワシントン・ダレス国際空港に降り立ったあと、一時間近くかけて市内へ向かう。

 ワシントンDCはY字の川に挟まれた土地で、地図上で見て西側の川が桜祭りが行われるポトマック川となる。

 川べりにはリンカーン記念堂があり、そこからまっすぐ東に向けて、大通公園を思わせる長大な公園が続き、国会議事堂に至る。

 中ほどにあるワシントン記念塔から北へ向かうと、ホワイトハウスがある。

 公園添いには博物館や美術館が多くあり、ホワイトハウスのさらに北にあるラファイエット広場は高級ホテルに囲まれている。

 ショーンのホテルは川沿いにある商業施設に近い場所にあり、香澄たちはそこにチェックインした。

 アメリカ合衆国の国旗が掲げられた白壁のホテルに入ると、CEOからはすでに連絡があり、到着するなりウェルカムスイーツやドリンクを出され、VIP待遇を受ける。

 ロビーは天井が高く窓から緑の多い庭が見え、品のいいベージュのソファには富裕層と思える人々が座っていた。

 手入れされた絨毯はフカフカで、足音がしないと思えるほどだ。

 頭上にある豪奢なシャンデリアを見上げてポケーッとしていると、澪にパシャッと写真を撮られてしまった。

「口開いてた」

 からかうように言われ、香澄は照れ笑いをする。

 さすが彼女はこういう場に慣れているらしく、リラックスしてソファに座る姿は自然体だ。

 双子はカジュアルな格好をしているにも関わらず周囲に溶け込んでいて、やはり内面が余裕に出ているのだと感じる。

 やがて通されたスイートルームは、白やベージュを基調としたスッキリとモダンな雰囲気で、雰囲気が少し苦手な香澄はホッと胸を撫で下ろす。

「贅沢を言うようですが、私ヨーロッパのお城みたいなホテルより、モダンなタイプが好きかもしれません」

 ケーキと紅茶をいただきつつ言うと、澪が頷いた。

「ヨーロピアンタイプは歴史が古いから、もともと別の用途で建てた建物をホテルにしてるのよ。昔の作りや装飾を大事にする分、現代人の感覚としては圧迫感があるかもしれないわね。もっとリーズナブルな部屋だったら、もとは使用人が使っていた激せまな部屋もあるわよ」

「へええ……」

 佑に色々連れて行ってもらっている割には知識のなかった香澄は、感心して頷く。
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