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第二十一部・フェルナンド 編
世界一幸せにするよ
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「ん……、変態……」
照れ隠しにそう言った香澄は、サラリと彼の髪を撫でる。
「香澄を愛せるなら、変態でいいよ」
顔を上げた佑は妖艶に笑い、チュッチュッと音を立てて香澄の白い乳房に吸い付いた。
「ん、ゃ……」
乳首をやわやわと吸われた香澄は悩ましげに吐息をつき、胸元にキスをし、両手で彼女の腰やお腹、太腿を撫でる佑を見て陶酔した表情を浮かべる。
温かな掌が肌を這うたび、彼のぬくもりが香澄を安心させていく。
薄く目を開くと愛情を込めて自分を愛撫している婚約者が見え、その美しさに目を奪われる。
色素の薄い髪はライトに照らされて金色に光り、そのヘーゼルの目には妖しい熱を宿している。
(佑さんの目はこの綺麗なヘーゼル。あの作り物の青じゃない)
自分に言い聞かせた香澄は、目を潤ませて微笑んだ。
(大丈夫)
そして佑の頭を抱き締め、彼の額にキスをする。
深く息を吸うとウード&ベルガモッドの深く官能的な香りがし、愛しげな眼差しをした彼に組み伏せられていると、白金台で日常的に愛されていた日々を思い出す。
(いつもの佑さんだ……。私の事が好きで堪らなくて、ちょっと残念な人になる、佑さん)
そう思うとおかしくなって、香澄はクスクス笑った。
「……ん? 何かおかしい?」
佑は困ったように微笑み、上目遣いに香澄を見てくる。
「ううん。幸せだな、って思って」
微笑み返した香澄は、両脚を佑の胴に搦めてギュッと抱き締めた。
佑はそんな彼女の唇に、チュッと音を立ててキスをして言う。
「世界一幸せにするよ」
いつものように優しく微笑んで言っているが、その声は真剣そのものだ。
「幸せになる覚悟はできてるよ。沢山邪魔されたから、もう誰にも遠慮したくない」
本音を口にすると、佑はクシャッと笑った。
「うん、幸せになろう」
「なる!」
笑い合った二人は幸せを約束されているはずなのに、なぜか香澄は涙を零してしまう。
佑は彼女の眦から流れた涙を、そっと舌で舐め取る。
「大丈夫だよ。もう何も心配する事はないから」
「うん……」
安全な場所で佑に抱き締められ、これ以上不安になる必要はないのに、無意識に怯えてしまうのは、きっと今までつらい目に遭いすぎたからだ。
(もう大丈夫。頑張ったね、私)
自分に言い聞かせた時、佑は香澄を抱き上げ、スイートルームを横切ってマスターベッドルームに向かう。
「佑さん……」
香澄は不安げに呟き、佑は彼女を安心させるように笑いかけた。
「不安になる余裕もなくなるぐらい愛してあげる」
「ふふ、もう……」
やがて香澄はベッドの上に優しく横たえられ、シーツの上に広がった艶やかな髪を、佑が優しく撫でつけてくる。
「髪、このまま伸ばす?」
「分かんない。とりあえず伸ばしてるけど、これ以上伸ばすかは決めてない。佑さんはロングヘア好き?」
香澄は佑の髪をサワサワと触り返しながら尋ねる。
「俺は香澄の綺麗なロングヘア、大好きだよ。手入れは大変だろうけど」
「ふふ、手入れはもう慣れてるよ。それに髪を綺麗に整えられていると、頑張って育てた甲斐があるなぁ……って思う」
「じゃあ、無理のない程度に伸ばしてほしい……、かな」
「了解です」
佑が自分の容姿に注文をつけてくれると、何となく嬉しくなる。
彼はいつも香澄の意思を尊重し、服装も『こういう物を着てほしい』と強制しない。
とてもありがたい事だし、健二のように外見に注文をつけられるのはごめんだ。
けれど香澄は心のどこかに「佑さんの色に染まりたい」という願望を抱いていた。
彼女は素直で従順な性格をしているからこそ、好きな人に頼まれ事をされると喜んでしまう面を持っている。
普段佑が無理なお願いをしない人だからこそ、髪を伸ばしてほしいという些細な願いを聞いて嬉しく思った。
お互いの気持ちを確かめ合って微笑んだあと、佑はジャケットを脱ぎシャツのボタンを外していく。
佑は仰向けになった香澄の胴を跨いだ体勢で服を脱ぎ、彼のそんな姿を見ると胸が高鳴って堪らない。
(こんなに甘い気持ちで佑さんを求めるのは、いつぶりだろう)
フェルナンドから救出されたあと、ずっと佑の側にいたというのに実感が湧かなかった。
(でも、ようやく落ち着けたと思っていいのかな……)
婚約指輪、結婚指輪をパリで買ってもらい、やっと……という感じがする。
照れ隠しにそう言った香澄は、サラリと彼の髪を撫でる。
「香澄を愛せるなら、変態でいいよ」
顔を上げた佑は妖艶に笑い、チュッチュッと音を立てて香澄の白い乳房に吸い付いた。
「ん、ゃ……」
乳首をやわやわと吸われた香澄は悩ましげに吐息をつき、胸元にキスをし、両手で彼女の腰やお腹、太腿を撫でる佑を見て陶酔した表情を浮かべる。
温かな掌が肌を這うたび、彼のぬくもりが香澄を安心させていく。
薄く目を開くと愛情を込めて自分を愛撫している婚約者が見え、その美しさに目を奪われる。
色素の薄い髪はライトに照らされて金色に光り、そのヘーゼルの目には妖しい熱を宿している。
(佑さんの目はこの綺麗なヘーゼル。あの作り物の青じゃない)
自分に言い聞かせた香澄は、目を潤ませて微笑んだ。
(大丈夫)
そして佑の頭を抱き締め、彼の額にキスをする。
深く息を吸うとウード&ベルガモッドの深く官能的な香りがし、愛しげな眼差しをした彼に組み伏せられていると、白金台で日常的に愛されていた日々を思い出す。
(いつもの佑さんだ……。私の事が好きで堪らなくて、ちょっと残念な人になる、佑さん)
そう思うとおかしくなって、香澄はクスクス笑った。
「……ん? 何かおかしい?」
佑は困ったように微笑み、上目遣いに香澄を見てくる。
「ううん。幸せだな、って思って」
微笑み返した香澄は、両脚を佑の胴に搦めてギュッと抱き締めた。
佑はそんな彼女の唇に、チュッと音を立ててキスをして言う。
「世界一幸せにするよ」
いつものように優しく微笑んで言っているが、その声は真剣そのものだ。
「幸せになる覚悟はできてるよ。沢山邪魔されたから、もう誰にも遠慮したくない」
本音を口にすると、佑はクシャッと笑った。
「うん、幸せになろう」
「なる!」
笑い合った二人は幸せを約束されているはずなのに、なぜか香澄は涙を零してしまう。
佑は彼女の眦から流れた涙を、そっと舌で舐め取る。
「大丈夫だよ。もう何も心配する事はないから」
「うん……」
安全な場所で佑に抱き締められ、これ以上不安になる必要はないのに、無意識に怯えてしまうのは、きっと今までつらい目に遭いすぎたからだ。
(もう大丈夫。頑張ったね、私)
自分に言い聞かせた時、佑は香澄を抱き上げ、スイートルームを横切ってマスターベッドルームに向かう。
「佑さん……」
香澄は不安げに呟き、佑は彼女を安心させるように笑いかけた。
「不安になる余裕もなくなるぐらい愛してあげる」
「ふふ、もう……」
やがて香澄はベッドの上に優しく横たえられ、シーツの上に広がった艶やかな髪を、佑が優しく撫でつけてくる。
「髪、このまま伸ばす?」
「分かんない。とりあえず伸ばしてるけど、これ以上伸ばすかは決めてない。佑さんはロングヘア好き?」
香澄は佑の髪をサワサワと触り返しながら尋ねる。
「俺は香澄の綺麗なロングヘア、大好きだよ。手入れは大変だろうけど」
「ふふ、手入れはもう慣れてるよ。それに髪を綺麗に整えられていると、頑張って育てた甲斐があるなぁ……って思う」
「じゃあ、無理のない程度に伸ばしてほしい……、かな」
「了解です」
佑が自分の容姿に注文をつけてくれると、何となく嬉しくなる。
彼はいつも香澄の意思を尊重し、服装も『こういう物を着てほしい』と強制しない。
とてもありがたい事だし、健二のように外見に注文をつけられるのはごめんだ。
けれど香澄は心のどこかに「佑さんの色に染まりたい」という願望を抱いていた。
彼女は素直で従順な性格をしているからこそ、好きな人に頼まれ事をされると喜んでしまう面を持っている。
普段佑が無理なお願いをしない人だからこそ、髪を伸ばしてほしいという些細な願いを聞いて嬉しく思った。
お互いの気持ちを確かめ合って微笑んだあと、佑はジャケットを脱ぎシャツのボタンを外していく。
佑は仰向けになった香澄の胴を跨いだ体勢で服を脱ぎ、彼のそんな姿を見ると胸が高鳴って堪らない。
(こんなに甘い気持ちで佑さんを求めるのは、いつぶりだろう)
フェルナンドから救出されたあと、ずっと佑の側にいたというのに実感が湧かなかった。
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