1,386 / 1,549
第二十一部・フェルナンド 編
左手の意味 ☆
しおりを挟む
「どうしてほしい?」
佑が香澄の顔を覗き込み、望みを尋ねる。
香澄は一瞬考え、浮かんだ希望に頬を染めた。
けれど震える声で、きちんと自分の意志を伝えた。
「……抱いて、ほしい。あんな、……あんなのじゃなくて、ちゃんと佑さんにいつもみたいに、『愛してるよ』って、『可愛い』って言われて、抱かれたい……っ」
はしたない事を言っているのは分かっているし、セックスして解決するなんて短慮だ。
だが今はどうしても、大好きな人に抱いてもらって「無事な所にいる」と理解し、圧倒的な熱に晒されて、愛する人で身も心も一杯になりたかった。
「分かった。たっぷり、とろけるぐらい愛してあげる」
佑は切なく微笑み、香澄の唇をついばみ、丁寧にキスをしながら香澄の尻たぶを揉んだ。
「……ベッドでしよう。今は洗い流すだけ」
「うん」
「脚、開いて」
佑に抱きついたまま、香澄は脚を少し開く。
「触るよ。怖かったら言って」
「ん」
佑は香澄のお尻の割れ目に指を滑らせ、まだローションで濡れている場所をなぞる。
「怖い?」
「……だい、……じょぶ」
少しドキドキしているのが、佑に愛される事への高揚感なのか恐怖なのか、今は分からない。
「……ローションとかゴムを用意してたのは、……私のため?」
小さな声で尋ねると、「うん」と佑が肯定する。
「レイプされるっていうのに、濡れる訳がないと思った。あいつを騙すために完璧に変装していたし、香澄は恐怖でそれどころじゃない。まず俺だと気付かないと思った。無理に入れて傷つけたくなかったし、誘拐されていたからピルは飲んでいないから生でするのは避けたかった。……だから、あいつに気づかれないよう、趣向の一種だと思わせるために色々用意した」
「……ありがとう」
佑は香澄の秘唇を指で何度も撫でていて、まるでその感触に慣れさせているようだった。
「……途中で胸に手を当てたのは何だったの?」
あの時は動転していたけれど、今なら安心して振り返る事ができる。
「あまりに香澄が混乱して怯えて、可哀想だったから……。『俺の左手を見て』って伝えようと思った」
言われて、香澄は佑の左手を見る。
ペアリングは嵌まっていないが、今まで何度も見た、左手の薬指にあるほくろがあった。
「あぁ……」
やっと彼の行動の意味を知り、香澄は溜め息交じりに笑う。
「そっ…………か。…………そっかぁ……」
佑は安心して笑みを見せた香澄にキスをし、尋ねてくる。
「表面は洗ったけど、少し指を入れても大丈夫? 中にもローションが残ってるはずだから」
「うん……」
香澄は佑にしがみつき、目を閉じる。
佑は何度か花弁を撫でたあと、小さな蜜口にツプリと指を入れてきた。
「ん……っン……」
指が入った瞬間、香澄は体を緊張させる。
「大丈夫だよ。俺はここにいる」
佑の声を聞き、香澄は恥ずかしさを堪えて彼を見た。
薄茶色の目の中には、緑、黄緑、黄色など様々な色が入っている。
彼特有のヘーゼルの目を見つめ、いま自分の蜜壷を愛撫しているのは佑なのだと言い聞かせた。
指がヌプッヌプッと前後する感触を得て、香澄は切なさとこみ上げる不安に歯を食いしばる。
歯を食いしばっていたからか、佑は香澄の唇に指を這わせ、口を開けさせた。
「咥えて。怖かったら指を噛んでいいから」
「ん、ん……ぷ」
口の中に佑の指が入り、歯を食いしばれない。
歯を浮かせて彼の指を咥えようとしたが、蜜壷を探られて体に力が入ってしまう。
佑の指を噛んでしまいそうなほど口に力が入り、結果的に顎がガクガクと震わせた。
「無理しなくていいよ。噛んでいい」
むしろ、彼は噛んでほしいと思っていた。
自分が香澄に与えた恐怖を思えば、指の一本ぐらい食い千切られてもいい。
愛する女にレイプの恐怖を植え付けた罪を、自分は何らかの形で償わなければいけない。
香澄が誰かを傷付ける事を望まないのは分かっている。
彼女は今、たっぷりと甘やかされたいと望んでいるのも理解している。
だが佑は、誰かにボコボコに殴ってほしいほどの罪悪感を抱いていた。
佑が香澄の顔を覗き込み、望みを尋ねる。
香澄は一瞬考え、浮かんだ希望に頬を染めた。
けれど震える声で、きちんと自分の意志を伝えた。
「……抱いて、ほしい。あんな、……あんなのじゃなくて、ちゃんと佑さんにいつもみたいに、『愛してるよ』って、『可愛い』って言われて、抱かれたい……っ」
はしたない事を言っているのは分かっているし、セックスして解決するなんて短慮だ。
だが今はどうしても、大好きな人に抱いてもらって「無事な所にいる」と理解し、圧倒的な熱に晒されて、愛する人で身も心も一杯になりたかった。
「分かった。たっぷり、とろけるぐらい愛してあげる」
佑は切なく微笑み、香澄の唇をついばみ、丁寧にキスをしながら香澄の尻たぶを揉んだ。
「……ベッドでしよう。今は洗い流すだけ」
「うん」
「脚、開いて」
佑に抱きついたまま、香澄は脚を少し開く。
「触るよ。怖かったら言って」
「ん」
佑は香澄のお尻の割れ目に指を滑らせ、まだローションで濡れている場所をなぞる。
「怖い?」
「……だい、……じょぶ」
少しドキドキしているのが、佑に愛される事への高揚感なのか恐怖なのか、今は分からない。
「……ローションとかゴムを用意してたのは、……私のため?」
小さな声で尋ねると、「うん」と佑が肯定する。
「レイプされるっていうのに、濡れる訳がないと思った。あいつを騙すために完璧に変装していたし、香澄は恐怖でそれどころじゃない。まず俺だと気付かないと思った。無理に入れて傷つけたくなかったし、誘拐されていたからピルは飲んでいないから生でするのは避けたかった。……だから、あいつに気づかれないよう、趣向の一種だと思わせるために色々用意した」
「……ありがとう」
佑は香澄の秘唇を指で何度も撫でていて、まるでその感触に慣れさせているようだった。
「……途中で胸に手を当てたのは何だったの?」
あの時は動転していたけれど、今なら安心して振り返る事ができる。
「あまりに香澄が混乱して怯えて、可哀想だったから……。『俺の左手を見て』って伝えようと思った」
言われて、香澄は佑の左手を見る。
ペアリングは嵌まっていないが、今まで何度も見た、左手の薬指にあるほくろがあった。
「あぁ……」
やっと彼の行動の意味を知り、香澄は溜め息交じりに笑う。
「そっ…………か。…………そっかぁ……」
佑は安心して笑みを見せた香澄にキスをし、尋ねてくる。
「表面は洗ったけど、少し指を入れても大丈夫? 中にもローションが残ってるはずだから」
「うん……」
香澄は佑にしがみつき、目を閉じる。
佑は何度か花弁を撫でたあと、小さな蜜口にツプリと指を入れてきた。
「ん……っン……」
指が入った瞬間、香澄は体を緊張させる。
「大丈夫だよ。俺はここにいる」
佑の声を聞き、香澄は恥ずかしさを堪えて彼を見た。
薄茶色の目の中には、緑、黄緑、黄色など様々な色が入っている。
彼特有のヘーゼルの目を見つめ、いま自分の蜜壷を愛撫しているのは佑なのだと言い聞かせた。
指がヌプッヌプッと前後する感触を得て、香澄は切なさとこみ上げる不安に歯を食いしばる。
歯を食いしばっていたからか、佑は香澄の唇に指を這わせ、口を開けさせた。
「咥えて。怖かったら指を噛んでいいから」
「ん、ん……ぷ」
口の中に佑の指が入り、歯を食いしばれない。
歯を浮かせて彼の指を咥えようとしたが、蜜壷を探られて体に力が入ってしまう。
佑の指を噛んでしまいそうなほど口に力が入り、結果的に顎がガクガクと震わせた。
「無理しなくていいよ。噛んでいい」
むしろ、彼は噛んでほしいと思っていた。
自分が香澄に与えた恐怖を思えば、指の一本ぐらい食い千切られてもいい。
愛する女にレイプの恐怖を植え付けた罪を、自分は何らかの形で償わなければいけない。
香澄が誰かを傷付ける事を望まないのは分かっている。
彼女は今、たっぷりと甘やかされたいと望んでいるのも理解している。
だが佑は、誰かにボコボコに殴ってほしいほどの罪悪感を抱いていた。
22
お気に入りに追加
2,546
あなたにおすすめの小説
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる