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第二十一部・フェルナンド 編
『威風堂々』
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『!? な、何だ!?』
華やかなイントロに合わせて、黒い画面にCGの花火がリズミカルに打ち上がる。
フェルナンドはとっさにタスクマネージャーを開き、プログラムを確認しようとする。
左手で『Ctrl』と『Alt』を押さえ、右手で『Delete』を押した瞬間、パッと透過された花火の後ろに香澄の動画が映った。
――は、いいものの、それがまるでブロック崩しのゲームのように、左上から順番に暗転してゆく。
『何だこれは!! やめろ!!』
フェルナンドはノートパソコンに差し込んだ、外付けHDDのケーブルを引き抜き、電源ボタンを連打する。
それでも何者かにコントロールされたパソコンは止まらず、香澄が映った動画は黒い穴ぼこだらけになっている。
『これは……』
フェルナンドは、その穴ぼこが何かの文字を示しているのに気付く。
【GOOF!】
間抜け、ヘマ、ドジを意味する単語が現れ、フェルナンドはあまりの怒りと驚きとに、目を白黒させながら激昂した。
『畜生!!』
怒鳴ったフェルナンドの目の前で、ピコンという音と共に小さなウィンドウが現れた。
【プログラムを停止しますか?】
冷静さを欠いたフェルナンドは、迷いなく〝Yes〟をタップした。
その瞬間、新たなウィンドウが現れた。
【あなたの口座の残高が全額送金されました】
『なんだって!?!?』
フェルナンドは大声で叫び、慌てて自身のスマホを取りだして顔認証で銀行口座のアプリを開く。
『……嘘だろ……』
エイデン・アーチボルドから送られた五億円を超える金と、元からあったフェルナンドの金が、ゼロになっている。
慌てて他の銀行口座アプリを開くと、それらもすべてゼロになっていた。
血の気を引かせたフェルナンドは、再びノートパソコンの画面を見る。
『……っ、おい! 待て、ちょっと待て!!』
そこには次々に〝パソコン内のデータをすべて消去し、初期化します〟と書かれたウィンドウが幾つも開き、画面を覆い尽くしていた。
【同期しているホストパソコンのデータもすべて初期化します】
『やめろ!! やめてくれ!!』
ノートパソコンには大切なデータが入っているが、モバイル端末のデータが消えるだけならまだマシだった。
だがこの狂ったプログラムは、フェルナンドの自宅にあるデスクトップパソコンにも侵入しようとしている。
彼は全身に冷や汗を掻き、必死に電源ボタンを連打し、長押しする。
が、パソコンは言う事をきかず【初期化中】という文字を表示させ、丸いマークをクルクル回らせるのみだ。
目を見開いたフェルナンドがダラン……と手を下げたあと、しばらく経ってノートパソコンはきちんと初期化されて再起動した。
彼の後ろに立っていたボディガードも、なす術もなく突っ立っているしかない。
やがてフェルナンドは一縷の望みを託し、ノートパソコンに外付けHDDを繋いだ。
パソコンが接続を認識し、新しいドライブが表示される。
そのプロパティを見て、――彼は絶望した。
使用されている容量は――ゼロ。
ドライブを開いても、ファイルは何もない。
頭の中が真っ白になったフェルナンドは、どうする事もできず、ただ座るしかなかった。
佑を地獄に落とすネタとして撮った動画がない。
そして、金が――ない。
今まで稼いできた金が、すべてゼロになっている。
(そうだ……証券口座は……)
ノロノロと投資アプリを立ち上げたが、運用中の金はすべて売却されていた。
約定されるまでタイムラグがあるとしても、今のド派手なハッキングを見て、その金が無事に自分の口座に入ると思えない。
彼はもう、売却された資産が無事に手元に残るのを祈るしかできない。
その時、フェルナンドのスマホが着信を告げた。
ビクッとして液晶を見ると、知らない番号からだ。
(タスク・ミツルギか……)
苦々しい思いで電話に出たが、相手は佑ではなかった。
華やかなイントロに合わせて、黒い画面にCGの花火がリズミカルに打ち上がる。
フェルナンドはとっさにタスクマネージャーを開き、プログラムを確認しようとする。
左手で『Ctrl』と『Alt』を押さえ、右手で『Delete』を押した瞬間、パッと透過された花火の後ろに香澄の動画が映った。
――は、いいものの、それがまるでブロック崩しのゲームのように、左上から順番に暗転してゆく。
『何だこれは!! やめろ!!』
フェルナンドはノートパソコンに差し込んだ、外付けHDDのケーブルを引き抜き、電源ボタンを連打する。
それでも何者かにコントロールされたパソコンは止まらず、香澄が映った動画は黒い穴ぼこだらけになっている。
『これは……』
フェルナンドは、その穴ぼこが何かの文字を示しているのに気付く。
【GOOF!】
間抜け、ヘマ、ドジを意味する単語が現れ、フェルナンドはあまりの怒りと驚きとに、目を白黒させながら激昂した。
『畜生!!』
怒鳴ったフェルナンドの目の前で、ピコンという音と共に小さなウィンドウが現れた。
【プログラムを停止しますか?】
冷静さを欠いたフェルナンドは、迷いなく〝Yes〟をタップした。
その瞬間、新たなウィンドウが現れた。
【あなたの口座の残高が全額送金されました】
『なんだって!?!?』
フェルナンドは大声で叫び、慌てて自身のスマホを取りだして顔認証で銀行口座のアプリを開く。
『……嘘だろ……』
エイデン・アーチボルドから送られた五億円を超える金と、元からあったフェルナンドの金が、ゼロになっている。
慌てて他の銀行口座アプリを開くと、それらもすべてゼロになっていた。
血の気を引かせたフェルナンドは、再びノートパソコンの画面を見る。
『……っ、おい! 待て、ちょっと待て!!』
そこには次々に〝パソコン内のデータをすべて消去し、初期化します〟と書かれたウィンドウが幾つも開き、画面を覆い尽くしていた。
【同期しているホストパソコンのデータもすべて初期化します】
『やめろ!! やめてくれ!!』
ノートパソコンには大切なデータが入っているが、モバイル端末のデータが消えるだけならまだマシだった。
だがこの狂ったプログラムは、フェルナンドの自宅にあるデスクトップパソコンにも侵入しようとしている。
彼は全身に冷や汗を掻き、必死に電源ボタンを連打し、長押しする。
が、パソコンは言う事をきかず【初期化中】という文字を表示させ、丸いマークをクルクル回らせるのみだ。
目を見開いたフェルナンドがダラン……と手を下げたあと、しばらく経ってノートパソコンはきちんと初期化されて再起動した。
彼の後ろに立っていたボディガードも、なす術もなく突っ立っているしかない。
やがてフェルナンドは一縷の望みを託し、ノートパソコンに外付けHDDを繋いだ。
パソコンが接続を認識し、新しいドライブが表示される。
そのプロパティを見て、――彼は絶望した。
使用されている容量は――ゼロ。
ドライブを開いても、ファイルは何もない。
頭の中が真っ白になったフェルナンドは、どうする事もできず、ただ座るしかなかった。
佑を地獄に落とすネタとして撮った動画がない。
そして、金が――ない。
今まで稼いできた金が、すべてゼロになっている。
(そうだ……証券口座は……)
ノロノロと投資アプリを立ち上げたが、運用中の金はすべて売却されていた。
約定されるまでタイムラグがあるとしても、今のド派手なハッキングを見て、その金が無事に自分の口座に入ると思えない。
彼はもう、売却された資産が無事に手元に残るのを祈るしかできない。
その時、フェルナンドのスマホが着信を告げた。
ビクッとして液晶を見ると、知らない番号からだ。
(タスク・ミツルギか……)
苦々しい思いで電話に出たが、相手は佑ではなかった。
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