【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十一部・フェルナンド 編

必ず迎えに行くから

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 恐らく何かあったのだろうが、尋ねても「佑さんの負担になりたくない」と隠すに違いない。

 だがダークウェブサイトの事など、本当に必要な情報は教えてくれた。

(今は香澄を信じて、必要な事だけ。あとからすべて教えてもらおう)

 佑はそっと溜め息をついて自分を落ち着かせ、彼女に優しく語りかけた。

「香澄、今はテオだけが味方だ。初対面で不安かもしれないが、彼は本当に俺の友人だから心配しなくていい。テオの側を絶対に離れるんじゃない。いいね?」

《分かった》

 佑は香澄の返事を聞いたあと、再度テオに代わってもらうよう伝えた。



**



 香澄はテオと電話を代わり、少し離れた所にいるジョシュアのもとにいく。

『カスミってパパと友達なの?』

 ジョシュアに尋ねられた香澄は、しゃがんで彼を目線を合わせる。

『ううん、初対面なの。でも私の婚約者がテオさんの友達みたい』

『カスミの婚約者って?』

『Chief Everyのタスク・ミツルギって知ってる?』

『うん、知ってる! 僕、Chief Everyの株買ってるよ』

『かぶっ』

 ジョシュアが株を買っていると聞き、香澄は舌を巻く。

(さすがアルクのメンバー! 半端ない……)

 そのあとも自己紹介がてら世間話をしている間、テオは佑とあれこれ打ち合わせをしていた。

 やがて話が終わったらしいテオは、香澄に尋ねてくる。

『カスミさん、俺の用事は終わったけど、最後にカイと話しておく?』

『はい』

 香澄は立ちあがって船室の固定電話に向かう。

 受話器を耳に当て、香澄は心から佑に謝罪する。

「佑さん、本当にごめんなさい。無事に戻ったら、ちゃんと叱られます」

《ドMじゃないんだから〝叱られたい〟なんて言うんじゃない。怒る代わりに、抱き締めてキスしてたっぷり無事を確かめるから、そのつもりでいて》

「……ん、分かった」

 佑の言葉を聞き、香澄は思わず笑う。

 彼の冗談を聞くと気持ちが和み、随分久しぶりに笑った気がした。

《テオの言う事をしっかり聞いて》

「うん」

《愛してるよ。必ず迎えに行くから》

「うん。私も」

 そのあと、受話器の向こうからチュッとキスする音が聞こえた。

《じゃあ、切るよ》

「はい」

 耳元でプツッという音が聞こえたあと、ツーッツーッと佑との繋がりが切れた音がする。

 香澄はノロノロと受話器を戻し、静かに溜め息をついた。

 目を閉じると、まな裏に佑の姿が浮かび上がる。

(頑張るよ)

 心の中で佑に語りかけた香澄は、目を開けるとテオとジョシュアに深々と頭を下げた。

『ありがとうございました。お陰で無事を伝えられました。お金が掛かってしまうのにすみません。あとできちんとお支払いします』

『いや、こちらこそ君に借りがあるから、まったく気にしなくていい』

 テオに申し訳なさそうに言われるが、彼とは初対面だ。

『……どういう事ですか?』

 尋ねたが、彼はぎこちなく微笑んで小さく首を横に振るだけだ。

(きっと事情があるんだろうな)

 深追いするのはやめようと思った香澄は、気持ちを切り替える事にした。

 テオも同じ事を思ったらしく、話題を変える。

『ジョシュの他に、妻のソフィアと二歳の娘のシャーロットがいる。二人は今出かけているから、あとから紹介しよう。カスミさんはこの部屋を出ないように過ごす工夫をしよう。不便で息苦しいかと思うが、ロサンゼルスに着くまで我慢してほしい。妻にも話して、ちゃんとベッドで眠れるようにする』

 気遣われ、香澄は申し訳ない気持ちで一杯になる。

『せっかくご家族で休暇を楽しまれていたのに、すみません』

『謝らなくていい。俺はカイの友人で、君には大きな借りがある。君たちに協力できるなら、可能な限りの事をする。だから気に病まないでほしい』

 テオの言う〝借り〟は分からなかったが、今は彼らの好意に甘えようと思った。
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