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第二十部・同窓会 編
香澄と麻衣の友人たち
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「マネージャー、近いうちにまた来てくださいね!」
「うん!」
香澄は懐かしい顔ぶれに手を振り、感傷に浸りながらゴンドラに乗った。
「会えて良かったな」
「うん! みんな元気そうで良かった」
佑に言われて笑顔になった香澄に、麻衣が笑いかける。
「私、今までちょこちょこ八谷の店行ってたんだ。イタリアンとか美味しいし、ここの居酒屋もいいよね」
「あーっ! お客様、ありがとうございます……!」
香澄は麻衣の両手を握り、深々と頭を下げる。
「あっははは! 香澄はいつまで経っても八谷根性が抜けないね。何か安心した」
笑う麻衣の隣で、マティアスはキョトンとしている。
「あっ、マティアスさんは知らなかったんですよね。さっきの居酒屋、私のもと職場の一つだったんです」
「そうだったのか。だからカスミはタヌキの金玉に詳しかったんだな」
「ぶふぉっ……!」
タヌキの金玉と聞いて、いの一番に麻衣が噴き出した。
そしてクックック……と体を震わせながら、涙目で香澄に尋ねる。
「なに? 香澄あんたタヌキの金玉のスペシャリストだったの?」
「ちっ、ちが……っ。むっふ……」
香澄もつられて笑いだし、エレベーターの中は異様な雰囲気になっている。
佑も雰囲気につられたのか、唇を歪めて壁のほうを向いていた。
やがてゴンドラは地下一階に着き、四人は居酒屋に入った。
「いらっしゃいませ」
香澄と麻衣を見て出迎えてくれたホールスタッフの女性は、その後ろから入ってきた佑とマティアスを見て目を見開いた。
「予約していた滝川ですが」
麻衣が友人の名前を出すと、ホールスタッフはハッとして「ご案内いたします」と歩き始めた。
スタッフについていきながら、麻衣は佑を振り向いて言った。
「事前に友達にプラス二人って言っておきました。ここ、個室もあるので安心してください」
「お気遣いありがとう」
店内にいる客が「嘘!? 御劔様!?」と言っているのを横目に、香澄たちは個室に入った。
「滝、マルお待たせ!」
個室には、すでに友人が二人座っていた。
麻衣が嬉しそうに声を掛け、香澄も「奈央ちゃん、彩美ちゃん久しぶり~!」と両手を上げて陽気に挨拶する。
「かす……」
一人が立って香澄の名前を呼びかけ、後ろからヌッと現れた高身長男性二人を見て絶句する。
「佑さん、頭ぶつけそうだね」
佑もマティアスも百九十センチメートル前後はあるので、少し頭を下げて個室に入っている。
「初めまして。御劔佑と申します」
「初めまして。マティアス・シュナイダーだ。……です」
佑に続いて自己紹介したマティアスは、「だ」のあとに麻衣に軽くお尻を叩かれ、「です」と言い直している。
「うっそ……。すっごい……ほ、本物!?」
「背ぇ高っ! そしてすっごい美形! 顔面暴力!」
二人は思わず立ち上がって佑とマティアスにペコペコ頭を下げ、空いている席を勧める。
個室は最大八人まで座る事ができ、大きなテーブルをコの字型のソファが囲むようになっている。
「佑さん、紹介するね。私の高校時代の友達の、滝川奈央さんと、丸子彩美さん」
紹介された二人は順番に会釈をする。
奈央はワンレンストレートのロングヘアに、高身長のスレンダー美人だ。
普段はジーンズにライダースジャケットを着るタイプで、性格はサバサバしている。
現在は新千歳空港でグランドスタッフとして働いている。
彩美は小柄で小動物のような感じの女性で、ミディアムヘアに緩いパーマを掛けている。
チュールやオーガンジー素材を着るととても似合い、幼稚園の先生をしている。
本人も子供が大好きと言っているので天職なのだろう。だが酒豪だ。
「同窓会はこれで全員?」
佑が尋ね、麻衣が頷く。
「うん!」
香澄は懐かしい顔ぶれに手を振り、感傷に浸りながらゴンドラに乗った。
「会えて良かったな」
「うん! みんな元気そうで良かった」
佑に言われて笑顔になった香澄に、麻衣が笑いかける。
「私、今までちょこちょこ八谷の店行ってたんだ。イタリアンとか美味しいし、ここの居酒屋もいいよね」
「あーっ! お客様、ありがとうございます……!」
香澄は麻衣の両手を握り、深々と頭を下げる。
「あっははは! 香澄はいつまで経っても八谷根性が抜けないね。何か安心した」
笑う麻衣の隣で、マティアスはキョトンとしている。
「あっ、マティアスさんは知らなかったんですよね。さっきの居酒屋、私のもと職場の一つだったんです」
「そうだったのか。だからカスミはタヌキの金玉に詳しかったんだな」
「ぶふぉっ……!」
タヌキの金玉と聞いて、いの一番に麻衣が噴き出した。
そしてクックック……と体を震わせながら、涙目で香澄に尋ねる。
「なに? 香澄あんたタヌキの金玉のスペシャリストだったの?」
「ちっ、ちが……っ。むっふ……」
香澄もつられて笑いだし、エレベーターの中は異様な雰囲気になっている。
佑も雰囲気につられたのか、唇を歪めて壁のほうを向いていた。
やがてゴンドラは地下一階に着き、四人は居酒屋に入った。
「いらっしゃいませ」
香澄と麻衣を見て出迎えてくれたホールスタッフの女性は、その後ろから入ってきた佑とマティアスを見て目を見開いた。
「予約していた滝川ですが」
麻衣が友人の名前を出すと、ホールスタッフはハッとして「ご案内いたします」と歩き始めた。
スタッフについていきながら、麻衣は佑を振り向いて言った。
「事前に友達にプラス二人って言っておきました。ここ、個室もあるので安心してください」
「お気遣いありがとう」
店内にいる客が「嘘!? 御劔様!?」と言っているのを横目に、香澄たちは個室に入った。
「滝、マルお待たせ!」
個室には、すでに友人が二人座っていた。
麻衣が嬉しそうに声を掛け、香澄も「奈央ちゃん、彩美ちゃん久しぶり~!」と両手を上げて陽気に挨拶する。
「かす……」
一人が立って香澄の名前を呼びかけ、後ろからヌッと現れた高身長男性二人を見て絶句する。
「佑さん、頭ぶつけそうだね」
佑もマティアスも百九十センチメートル前後はあるので、少し頭を下げて個室に入っている。
「初めまして。御劔佑と申します」
「初めまして。マティアス・シュナイダーだ。……です」
佑に続いて自己紹介したマティアスは、「だ」のあとに麻衣に軽くお尻を叩かれ、「です」と言い直している。
「うっそ……。すっごい……ほ、本物!?」
「背ぇ高っ! そしてすっごい美形! 顔面暴力!」
二人は思わず立ち上がって佑とマティアスにペコペコ頭を下げ、空いている席を勧める。
個室は最大八人まで座る事ができ、大きなテーブルをコの字型のソファが囲むようになっている。
「佑さん、紹介するね。私の高校時代の友達の、滝川奈央さんと、丸子彩美さん」
紹介された二人は順番に会釈をする。
奈央はワンレンストレートのロングヘアに、高身長のスレンダー美人だ。
普段はジーンズにライダースジャケットを着るタイプで、性格はサバサバしている。
現在は新千歳空港でグランドスタッフとして働いている。
彩美は小柄で小動物のような感じの女性で、ミディアムヘアに緩いパーマを掛けている。
チュールやオーガンジー素材を着るととても似合い、幼稚園の先生をしている。
本人も子供が大好きと言っているので天職なのだろう。だが酒豪だ。
「同窓会はこれで全員?」
佑が尋ね、麻衣が頷く。
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