上 下
1,308 / 1,549
第二十部・同窓会 編

熱いのいきますよ ☆

しおりを挟む
きつく佑の舌を吸って絶頂した彼女を、佑は褒めるように頭を撫でた。

(褒め…………られ、て……る……)

 ホワホワとした心地のなか、香澄は嬉しさのあまり、また涙を零した。

「んン……っ、ぁ、……あ、……出すよ……っ」

 唇を離した佑は、ぐぅっと屹立を大きくさせ低くうなる。

 彼はブルッと体を震わせ、食い縛った歯の間から荒々しい呼気を漏らす。

「ぁ……っ、あ、…………あ、……たす、……く、さん…………」

 香澄は目を閉じて吐息を震わせ、彼を抱き締めるとその匂いを吸う。

 膣内では佑の分身が跳ね、ドクドクと白濁を吐き出しているのが分かる。

 気持ち良く、けれどとても疲れていて、頭の中が真っ白になっている。

 佑は残滓をすべて出そうとして数度腰を叩きつけ、出し切ったあとに「あぁ……」と艶冶な声を漏らした。

 彼はふぅ、ふぅ……と呼吸を繰り返したあと、欲の抜けきっていない目で香澄を見つめ、唇を舐める。

「……もう一回、……したい」

「……だめ……」

 甘えるような声で「もう一回」をねだられたが、香澄は首を横に振りノーを示す。

「…………どうしても?」

 佑は上目遣いに香澄を見て、軽く腰を揺らす。

 少し柔らかくなったがまだ芯のある屹立は、香澄の膣内で擦られて太さを増した。

「うー…………、……死んじゃう…………」

 そう答えると、佑はフハッと力が抜けたように笑った。

「香澄が死んじゃったら困るな。……我慢するよ」

 佑は香澄にチュッとキスをし、繋がりを解いて抱き締めてきた。

 しばらく二人は黙って抱き合い、汗と体液のいやらしい匂い、そして互いの香水のラストノートが混じった空気を吸う。

「……あー……。気持ち良かった……」

 やがて佑はそう言い、香澄の額にキスをしてから愛しそうに見つめてくる。

 疲れ切った香澄は眠たくなり、目元をトロトロさせていた。

(あ……、メイク落としてない……)

 けれどそう思い出すと、ぐぐぐ……と起き上がろうとする。

「どうした?」

「……顔、……落とす……」

「分かった。分かったから……。力入らないんだろ? 無理しなくていいから」

 佑はクスクス笑ってベッドから下り、下着を穿いて洗面所に向かった。

 間もなくし彼は、クレンジングと蒸しタオルを持って戻ってきた。

「香澄、仰向けになって。はい、ごろん」

「ん……」

 ぐったりとした香澄は、起きようとして横臥した体勢から仰向けになる。そうしていると、まるでアザラシかオットセイにでもなった気がした。

 風邪を引いてはいけないと思ったのか、佑は香澄の体に布団を被せてくれる。

「熱いのいきますよ」

 佑は何とも言えない声のかけ方をし、香澄の顔に蒸しタオルを載せた。

「んー……」

 こうしてクレンジング前に蒸しタオルを使うと、毛穴が開いてメイクが落ちやすいので、時間がある時はそうしている。

 佑は香澄の手順を見ていて、彼女のやり方を学んだみたいだ。

「気持ちいい?」

「うん……」

 タオル越しにむふー……と息をつくと、佑が頭を撫でてくる。

 十分蒸された頃、佑が蒸しタオルを取った。

 それからアイメイク用のクレンジング剤を綿棒に出すと、「目を閉じて」と言い、ちょいちょいと香澄のマスカラを落としていく。

「んふ……。〝世界の御劔〟がメイクを落としてくれるなんて、贅沢」

「そうか? 楽しいからやってるだけだけど」

 香澄は目を閉じたまま、佑が綿棒で丁寧に自分のマスカラを落としている様子を想像する。

「男の人ってプラモデルとか、細かいの弄るの好きな人いるよね。佑さんもそういう感じ? 部屋にミニカー? あるでしょ」

 アドラーや兄たちがクラウザー社で働いている上、佑も車好きではあるので、彼のミニカーコレクションがガラスケースに収まって飾られている部屋がある。

「うーん……プラモデルはそれほどかな。車は家族の影響と、自分の趣味もかねて、あとは時計の部品を見るのが好きだな」

「そっか。佑さんは特撮やアメコミヒーロー、好きじゃないの?」

 男性が好きそうなジャンルを出してみたが、佑の反応は思ったほどではない。

「子供の頃は好きだったかな。でも小さい頃から色々勉強していたから、娯楽より知識欲を満たすほうが好きだったかもしれない」

「そっか」

 アンネは佑を日本で育てると決めていたが、グローバルに活躍できるための土台を築くのを惜しまなかった。

 それに、彼自身の負けず嫌いも加わっていったのだろう。

 佑は香澄のマスカラを丁寧に落としたあと、スパチュラでクレンジングバームを取り、両手を合わせて温め、乳化させる。
しおりを挟む
感想 556

あなたにおすすめの小説

『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!

臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。 やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。 他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。 (他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...