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第二十部・同窓会 編

私たち、結婚するんだよね?

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「……ただいま」

『おかえりなさい、カスミさん』

 フェリシアに迎えられた香澄は、靴を脱いでスリッパを履く。

 一歩踏み出した時、後ろから腕を掴まれた。

「……な、なに……?」

 もの言いたげな目をした佑は、無言で香澄を抱き締め唇を奪ってきた。

「んっ……、ン、……っきゅ、急に何……っ」

 香澄はとっさにキスを拒絶し、両手で彼の胸板を押し返した。

「――香澄がほしい」

 少し唇を濡らした佑は、上目遣いで見つめてくる。

「っ~~~~……、今日は、…………つ、疲れたから駄目」

「俺は抱きたい」

 いつもなら拒否すれば諦めてくれるのに、今日ばかりは意志を通そうとする。

「……ごめん、今日はしたくない」

「俺はしたい」

 きっぱり言っても佑は引いてくれない。

 まだ何か言おうとした香澄を、佑は無理矢理抱き上げた。

「ちょ……っ、ちょっと!」

 力技に出られると抵抗できず、香澄はあっという間に寝室に連れて行かれ、ベッドに横たえられた。

「しっ……、したくないって言ったよね!?」

 佑は起き上がろうとする香澄を押さえつけ、強引に彼女の服を脱がせる。

「――――頼む。抱かせてくれ」

「じゃあ、理由を言って!」

 香澄はニセコのペンションでの事を思いだしていた。

 あの時は自分に非があり、滅茶苦茶にされる理由があった。

 けれど今の佑は、考えている事が分からなくてどこか怖い。

「…………」

 佑は香澄を見つめたまま、コートを脱ぎシャツごとセーターを脱ぐ。

 剥き出しになった胸板と腹筋を目にした香澄は、とっさに横を向いた。

「……佑さん、今日なんか変だよ」

 コートを脱がされた香澄はキャミソールごとニットも脱がされ、スカートのホックも外される。

 求められるのは嬉しいが、状況による。

 今の佑は苦しげな表情をし、煮えたぎった感情をぶつけようとしていた。

「優しくするから」

「そういう問題じゃないでしょ。いつもなら『したくない』って言ったらやめてくれるのに、なんで今日は強引にしようとするの? 理由を教えてくれたら、私だってちゃんと向き合えるのに」

 香澄は正面から佑を見据え、彼の腕を握る。

「私たち結婚するんだよね? なのにこんな事も話せないの?」

 努めて厳しい声で言うと、佑は息を吐いて脱力し、ボスッと香澄の隣に寝転んだ。

「……ごめん。我を失って香澄をレイプするところだった」

 レイプとまでは思っていなかったが、無理矢理ではあった。

「……ねぇ、何かあった? 教えて?」

 小さく息を吐いた香澄は、佑の髪を撫でて顔を覗き込む。

 悲しそうな目をする彼をを見て、香澄は「もぉ……」と苦笑いした。

 そして自分でブラジャーのホックを外し、佑の手を握って乳房に導いた。

「はい、おっぱいですよ。元気出して」

「ふ、…………っふ、ふふ、ふ……」

 その言い方に佑は笑いだし、ようやく彼の表情が柔らかくなる。

「……ありがとう。……酷い男なのに、優しくしてくれてありがとう」

 佑は香澄の乳房を揉み、その温かくまろやかな感触を楽しむ。

「よっぽどの事があったんでしょ? 嫌じゃなかったら話して」

 香澄は佑の頭を抱き締め、自身の乳房を押しつけた。

 佑はしばらく香澄の谷間の匂いを嗅ぎ、モチモチとした肌に顔を埋め、唇を押しつけていた。

「……怒らないでくれるか?」

「うん、怒らないよ」

 こう切り出される場合、内容による事が多い。

 だがここまで動揺している佑を見ると、どうする事もできなかったのだと察した。

「……ずっと親友だと思っていたんだ。……透子が俺を好きだなんて、欠片も思わなかった」

(あー……)

 その言葉を聞いただけで、佑が激しく動揺している理由を理解した。
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