【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十部・同窓会 編

遠く感じた彼

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「長い片思いをした事ってある?」

「えっと…………。ないかもです。元彼が初めての彼氏だったんですが、その人に告白されて付き合ったので、片思いってないと思います。学生時代は恋愛とは遠い生活を送っていましたし」

 正直に打ち明けると、勇斗は「そっかー」と頷く。

「……いや。俺、ずっと好きだった奴がいるんだよね。でもそいつ、ずっと他の男を好きでさ。ついこないだ、『失恋した』って連絡をもらったんだ。俺はそいつが諦めるのをずっと待ってたんだよね。……その間、我慢しきれなくてちょっと遊んだのは反省してるけど」

「付き合っていた訳じゃないし、いいんじゃないですか? これからその人に一途になればいいんですよ」

 勝手に勇斗は少し軽い人なのでは……と思っていたので、一途なエピソードを聞いて何だか嬉しくなる。

「俺もあいつも長い片思いをしてたけど、そろそろ告白してもいいのかな。……っていうか、何回か告白したんだけどね。そのたびに断られても諦めてないから、俺も大概しつこいんだけど」

「でも、その女性とのご縁は続いているんでしょう? 嫌がられてないなら、脈ありなんじゃないですか?」

「『好きな人がいるから応えられない』ってだけで、『キモい』みたいな拒絶のされ方はされてないの、ちょっと救いかな」

「なら、ワンチャンありだと思います! 私ならそこまで一途に長く想ってくれるのって、素敵だなーって思います」

「そうかな?」

「そうです!」

 香澄は大きく頷き、グッと拳を握ってみせた。

「よーし、頑張るかな」

「応援してます!」

 香澄はニッコリ笑い、励ますように彼の背中をトントンと叩く。

「香澄ちゃんっていい子だね」

「えっ? いえ、だから普通ですって」

 笑って誤魔化した香澄は、今度こそ立ち上がった。

「うまくいくといいですね」

 話しながら、二人はようやく店内に入った。

「私、お手洗いに寄ってから戻ります」

「ん、分かった」

 香澄は手洗いに寄り、赤くなっていた顔が大分落ち着いたのを確認した。

 そして用を足してからもう一度リップを塗り直し、佑のもとに戻った。



**



(あ……)

 席に戻ろうとして佑を見つけた香澄は、思わず立ち止まった。

 佑は向かいの席の透子と、何かを話し笑い合っている。

 勿論、同じ場には勇斗もいるのだが、佑が学友と楽しそうに過ごしている姿を見て、とても「遠い」と感じてしまった。

(声を掛けづらいし、邪魔しちゃいけないかな……。少しスマホでも弄ってようかな)

 入り口近くに戻った香澄は、スマホを開いて通知をチェックした。

 麻衣からは新しいメッセージは入っていない。

(何かしてるのかな。……あっ、イチャイチャしてる!? それは邪魔したら駄目だ……)

 親友とマティアスの進展を想像した香澄は、にやぁ……と笑う。

(結婚の許可もらったのかぁ……。あの二人、結婚するんだ……)

 考えれば考えるほど、にやつきが収まらない。

 そのあと、恐ろしい数のバッジが溜まっている、双子とのトークルームを開いた。

 相変わらず自由な会話が続いていて、それを見ていると「わざわざ私も入ってるトークルームで話さなくてもいいのに……」と思ってしまう。

(週末に行くバーの話をここでしなくても、二人で話せばいいのに……)

 心の中で突っ込みを入れたあと、香澄は店内を見てそっと息を吐いた。

 スマホ越しにいつもの人たちに癒やしてもらおうと思ったが、いま香澄は佑の同窓会に同行している。

(現実を見ないと……)

 どうしてテーブルに戻りづらかったのか改めて考えると、寂しさを感じたからだ。

(佑さんが私の知らない人みたいに思えたからだよな……)

 常に佑の側にいるのは自分なのに、学生時代いつも一緒だった人たちといる姿を見ると、「声をかけてはいけない」「自分はお邪魔虫」という気持ちになってしまう。

 また溜め息をついた時、「香澄?」と佑の声がした。

「あ……」

 顔を上げると、彼がこちらに歩み寄ってくるところだ。
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