【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
1,183 / 1,559
第十八部・麻衣と年越し 編

アンネから麻衣へのアドバイス

しおりを挟む
「ドイツ人と付き合うつもりなら、幾つかアドバイスをしておくわ。日本人女性は『収入のある男が奢るほうがスマート』と思っているかもしれないけれど、一般的なドイツ人男性は男女平等と思っているわ。割り勘は当たり前よ」

 そう言われ、麻衣は頷く。

「それは問題ないです。私、今まで男性にご馳走してもらって当たり前とか、考えた事ないので」

 アンネも満足そうに頷く。

「あと、大体の子は十八歳ぐらいになったら自立するわ。だから家事能力も普通にある。そういう意味で『胃袋を掴む』とか、家事ができれば専業主婦として楽ができるという考えは通用しないと思うわ」

「はい。それも考えていません」

 麻衣は今まで男性に甘えた覚えなどないので、スッキリとした表情で頷く。

「人によりだけど、比較的時間はきっちり守る国民性だと思うわ。その辺りは感覚が合うかもしれないわね」

(確かにアンネさんはルーズじゃないもんなぁ)

 香澄はうんうんと頷く。

 彼女は自由な性格ではあるが、約束は破らない。

 結婚して日本で生活していたのもあるし、きっと衛や子供たちに合わせたところもあるのだろう。

 ああ見えて割と「郷に入っては郷に従え」という考え方は持っている。

「あと、私を見て分かるでしょうけど、物事をハッキリ言う国民性だわ。言葉をオブラートに包まないの。意地悪で言っているのではなくて、考えた事をそのまま言うわね。だから『ノー』と言われたからといって、『嫌われているんじゃないか』と深読みする必要はないわ。香澄さんは『はい』『いいえ』を言うのが苦手みたいだけれど、意志をハッキリ示してくれれば、私たちも付き合いやすいわね」

「す、すみません……」

 いきなり名前を出され、香澄はとっさに謝る。

 だがすぐに「悪く言っているのではない」と理解し、「努力します」とアンネの目を見て言った。

「あと、麻衣さんに知っておいてほしいのだけれど。気にしていたらごめんなさい、と先に謝っておくわね」

 佑の話では、アメリカ人などはまったく知らない者同士でも世間話をするそうだ。

 と、それまで黙っていた佑がつけ加えた。

「アロクラはコミュニケーションの化け物に見えるが、仕事ではかなりクールにやってる。ただ、一般的なドイツ人より打ち解ける時間は短いかな」

 不本意にも双子を褒めたのが面白かったのか、彼らはニヤニヤしている。

「あと、これは麻衣さんに知っておいてほしい。気にしているのなら失礼、と先に言っておくわね」

「は、はい」

 改まって言われ、麻衣は少し背筋を伸ばす。

「私たちは人を外見……、体型や服装で判断しないわ。日本だとプラスサイズの女性がミニスカートを穿いていると、バカにされやすいでしょう? よく分からないけど、ロングスカートが流行しがちだし」

「……はい」

 体型の事を言われていると理解し、麻衣は少し表情を強張らせて頷く。

「少なくとも私の周りには、他人の体型をバカにする人はいなかったわね。もしいたとしても、周りから冷たい目で見られるわ」

「はい」

「あと、北アジア人はブランド物に対する執着心が強いけど、機能性を重視するドイツ人とは少し価値観が合わないかもしれないわね」

「それも大丈夫です。特に興味がないので」

「それから、マティアスは日本の感覚に寄せているみたいだけど、基本的にドイツ人は『付き合おう』とか『結婚しよう』とか、告白してカップルになろうとしないわ」

 言われて麻衣は、マティアスが相当努力している事に気づいたようだ。

 麻衣が申し訳なさそうにマティアスを見ると、彼は微笑んで彼女を見つめ返す。

(マティアスさん、本気なんだなぁ)

 香澄はそんな二人の様子を見て、ますます応援したくなる。

 その時、マティアスが口を開いた。

「確かに日本的な考えに寄せているところはあるが、無理はしていない。マイは気にしなくていい」

 そう言われ、麻衣は少し安心したように息をつく。

「まぁ、タンテの言うドイツ人の特徴は、ステレオタイプだね。それぞれ個性があるし、一概に〝ドイツ人は〟って大きい主語では言い切れないものがある」

 クラウスが言い、マティアスを意味ありげに見る。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...