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第十八部・麻衣と年越し 編

けじめつけないと駄目だよ ☆

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 そうされると、今になって佑は顔だけでなく声もいいと思い知る。

 仕事の時は通りが良く、シャキッと背筋が伸びるような声を出す。

 一方でプライベートでは甘い声で香澄の名を呼び、繋がっている時に漏れる声は色っぽい。

 香澄は行為中の佑の、余裕のない目と荒々しい息づかい、少しかすれた声を思い出し、真っ赤になって彼の胸板に額をつけた。

 Tシャツ越しに思いきり佑の匂いを嗅ぎ、こっそりとタップパンツ越しに肉芽に触れる。
 そしてほんの少しだけ布越しに触ってみた。

 佑に寄り添ったままの体勢で、手を大きく動かしていないのでバレないはずだ。

 タップパンツ越しに、香澄はカリ……カリ……と突起のある辺りを指で引っ掻く。

(佑さんの……、匂い……。手。胸板……)

 目を閉じたまま全身で佑を感じ、香澄は小さく指を動かし続けた。

 言ってしまえば、目の前にいる本人をおかずに自慰している。

 冷静に考えれば、側に佑がいるのに何をやっているのか案件だ。

 しかし我慢していた欲望が、無意識に指を動かせさせていた。

「……香澄。そういう事をされると我慢できないんだけど」

「えっ」

 溜め息混じりに言われ、香澄はビクッとして我に返る。

 そして自分の指がどこに触れていたのかを確認し、カァーッと赤くなった。

(な、何してたのー!? 私!)

 タラタラと冷や汗が流れ、自分がしでかした事が信じられない。

 なのでつい、しらを切った。

「な、何もしてないよ」

「ふぅん」

 佑はそっけなく言い、タップパンツに潜り込ませた指で彼女の肉芽に触れた。。

「!」

 ピクッと震えた香澄は、暗闇の中で目をまん丸にする。

 よく見えないが、佑はとぼけた顔をしているに違いない。

「……だ、駄目なんだよ」

「ふぅん」

 やはり同じトーンで言った佑は、指を小さく動かし始める。

 濡れた秘唇を撫でられているうちに、クチクチと小さな水音が聞こえてくる。
 佑の胸板に顔を埋めたまま、香澄は赤面して黙り込んでしまった。

 口では何と言っても、体が答えている。

「キスぐらいならいいだろ?」

「ん……、うん……」

 返事をすると、すぐに佑が唇を重ねてきた。
 ちゅっ、と音を立てて唇をついばみ、香澄の目を見てからもう一度ついばむ。

「ぁ……」

 吐息をついて開いた唇のあわいを舐められ、佑の舌の温かさに胸の奥が妖しく疼いた。
 知らずと舌が伸び、佑の舌にスリスリと擦りつけ、舐める。

「は……、ふ……」

 次第に本格的なキスになり、濡れた下唇を軽く噛まれて吐息が漏れた。

 佑は香澄の片脚を自分の腰に掛ける。
 そして無防備になった秘部を、さっきよりも大胆に指で探り始めた。

「ん……、んン……」

 息を吸い、佑の香りを胸いっぱいに吸い込む。
 男性らしい官能的な香りに酩酊し、頭の芯がぼやけて理性の輪郭がなくなり始めた。

 その時、ついにプチュッと小さな音を立てて、佑の指が蜜口に埋まった。

「ん!」

 香澄は思わず声を上げ、唇を離して佑をまじまじと見てしまう。

 薄闇の中で、彼の瞳が悪戯っぽく光っているのが見えた。

(お客さんいるのに!)

 急に我に返った香澄は、焦ってドアを気にする。

 寝室のドアは閉まっているし、麻衣の部屋は数部屋離れている上、彼女もドアを閉めている。

 双子とマティアスも上階にいるし、彼らもドアを閉めているはずだ。

 でも――。

「けじめ……つけないと駄目だよ……」

 そう言った声が弱々しいのは、もうすでにキスをされ、秘所に触られているからだ。

 言葉と行動がちぐはぐなのは理解しているが、それでも……という気持ちがある。

「俺が香澄を愛したいだけだ。もし明日誰かに何か言われたら、『嫌だったのに無理矢理された』と言えばいい」

 熱っぽい声で言われ、ちゅっと耳朶に軽くキスをされる。

「でも……」

「いいから」

 佑は少し強めに言ったあと、一度タップパンツから手を出し、香澄のキャミソールを脱がせた。
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