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第十八部・麻衣と年越し 編
一緒に寝たい
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(佑さんといつまでも仲良く過ごせますように。麻衣とマティアスさんがうまくいきますように。アロイスさんとクラウスさんも、幸せになれますように。札幌の親や親戚、友達も健康で幸せな一年を送れますように。Chief Everyが右肩上がりの業績になり、社員の皆さんもニコニコで過ごせますように。貴恵さんや護衛の方々も健康で過ごせますように)
お参りが終わったあとは、今度は氷川神社に向けて歩く。
「御劔さんたち、お賽銭に一万円入れるからびっくりしちゃった」
「でしょ。お賽銭格差が生まれるの」
香澄は麻衣とボソボソと囁き、「やっぱり五円だよね」と頷き合う。
そんな二人の会話を聞いて、マティアスが少しどや顔で会話に参加してきた。
「俺は二十一円を入れた。調べたが、割り切れない数字は夫婦円満にいいらしい」
「あぁ、そういうのありますよね。十円だと『遠縁』とか、五百円だと『これ以上硬貨(効果)がない』とか……。穴の空いている硬貨は、『見通しがいい』でしたっけ」
お賽銭について話していると、クラウスがケラケラ笑って口を挟んできた。
「そういうのも日本的でいいけどさぁ。結局は神社に寄付する訳でしょ? 大きい金入れたほうがいいんだって。要は火力」
「……そう言われると、何も言えません……」
双子も佑と一緒で、札束で殴るタイプだ。
美しい顔で「金は正義でしょ?」と言われると、反論のしようがない。
「まーまー。余分に入れてる分『カスミたちも幸せになりますように』って祈ってあげるから」
「あ、ありがとうございます……」
アロイスによく分からない仲裁をされ、香澄は苦笑いをする。
そこに佑が参戦した。
「香澄の幸せは誰よりも一番、俺がたっぷり願っておいたから、心配しなくていいよ」
そう言われ、香澄は「もー」とクスクス笑った。
**
お参りをするのに順番待ちをするのも含め、家に帰ったのは一時間半弱後だ。
家に帰るとすぐ着物を脱いで畳む作業に掛かる。
佑もマティアスも、「香澄(麻衣)の着物は俺が脱がせたい」と主張した。
だが双子に「寝る時間が勿体ないんでしょ? 明日タンテたちが来るんでしょ?」と言われ、彼らに手伝われてしまう。
長襦袢になったところで男性陣に出ていってもらい、洋服に着替えたあと、佑に畳み方を教えてもらった。
男性陣も着替え、さあ寝ようとなったのは、もう深夜の二時近くだ。
麻衣は部屋に行き、双子とマティアスも三階に引っ込んだ。
香澄は水を飲んでから佑の寝室まで行き、彼に挨拶をした。
「おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
キングサイズのベッドに座って枕元のライトをつけていた佑は、ちょいちょいと香澄を手招きした。
「ん?」
側まで行くと、佑が微笑んで尋ねてくる。
「今夜も麻衣さんと一緒?」
「……う、うん……」
「新年最初の夜と、初夢を見る夜は一緒に寝たい。今夜と明日の夜。……駄目か?」
優しく言われ、ジワッと頬が熱を持つ。
(今まで麻衣を優先してたけど、佑さんは我慢してくれてた。色々我が儘をきいてくれたし……)
彼が今まで自分に捧げてくれたものを、胸の中で反芻する。
佑がいるから、麻衣はホテルなしに東京に来られて、ゴージャスな体験ができている。
そんな佑がご褒美に、と望むのは香澄だけだ。
(私だけは佑さんをないがしろにしちゃいけない)
自分に言い聞かせ、香澄は微笑んだ。
「……麻衣に話してくるね」
「分かった」
小さな声で告げて、香澄は麻衣の部屋に向かった。
**
香澄は麻衣の部屋をひょこっと覗く。
「麻衣」
「んー? 寝る準備終わった?」
麻衣はベッドの上でうつ伏せになり、スマホを見ている。
そんな彼女に、香澄は申し訳ないなが申し出た。
「あのね、今日と明日の夜、佑さんと寝てもいい? 勿論、イチャついたりとかは絶対しない」
戸惑いながらも打ち明けると、彼女はクシャッと破顔した。
お参りが終わったあとは、今度は氷川神社に向けて歩く。
「御劔さんたち、お賽銭に一万円入れるからびっくりしちゃった」
「でしょ。お賽銭格差が生まれるの」
香澄は麻衣とボソボソと囁き、「やっぱり五円だよね」と頷き合う。
そんな二人の会話を聞いて、マティアスが少しどや顔で会話に参加してきた。
「俺は二十一円を入れた。調べたが、割り切れない数字は夫婦円満にいいらしい」
「あぁ、そういうのありますよね。十円だと『遠縁』とか、五百円だと『これ以上硬貨(効果)がない』とか……。穴の空いている硬貨は、『見通しがいい』でしたっけ」
お賽銭について話していると、クラウスがケラケラ笑って口を挟んできた。
「そういうのも日本的でいいけどさぁ。結局は神社に寄付する訳でしょ? 大きい金入れたほうがいいんだって。要は火力」
「……そう言われると、何も言えません……」
双子も佑と一緒で、札束で殴るタイプだ。
美しい顔で「金は正義でしょ?」と言われると、反論のしようがない。
「まーまー。余分に入れてる分『カスミたちも幸せになりますように』って祈ってあげるから」
「あ、ありがとうございます……」
アロイスによく分からない仲裁をされ、香澄は苦笑いをする。
そこに佑が参戦した。
「香澄の幸せは誰よりも一番、俺がたっぷり願っておいたから、心配しなくていいよ」
そう言われ、香澄は「もー」とクスクス笑った。
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お参りをするのに順番待ちをするのも含め、家に帰ったのは一時間半弱後だ。
家に帰るとすぐ着物を脱いで畳む作業に掛かる。
佑もマティアスも、「香澄(麻衣)の着物は俺が脱がせたい」と主張した。
だが双子に「寝る時間が勿体ないんでしょ? 明日タンテたちが来るんでしょ?」と言われ、彼らに手伝われてしまう。
長襦袢になったところで男性陣に出ていってもらい、洋服に着替えたあと、佑に畳み方を教えてもらった。
男性陣も着替え、さあ寝ようとなったのは、もう深夜の二時近くだ。
麻衣は部屋に行き、双子とマティアスも三階に引っ込んだ。
香澄は水を飲んでから佑の寝室まで行き、彼に挨拶をした。
「おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
キングサイズのベッドに座って枕元のライトをつけていた佑は、ちょいちょいと香澄を手招きした。
「ん?」
側まで行くと、佑が微笑んで尋ねてくる。
「今夜も麻衣さんと一緒?」
「……う、うん……」
「新年最初の夜と、初夢を見る夜は一緒に寝たい。今夜と明日の夜。……駄目か?」
優しく言われ、ジワッと頬が熱を持つ。
(今まで麻衣を優先してたけど、佑さんは我慢してくれてた。色々我が儘をきいてくれたし……)
彼が今まで自分に捧げてくれたものを、胸の中で反芻する。
佑がいるから、麻衣はホテルなしに東京に来られて、ゴージャスな体験ができている。
そんな佑がご褒美に、と望むのは香澄だけだ。
(私だけは佑さんをないがしろにしちゃいけない)
自分に言い聞かせ、香澄は微笑んだ。
「……麻衣に話してくるね」
「分かった」
小さな声で告げて、香澄は麻衣の部屋に向かった。
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香澄は麻衣の部屋をひょこっと覗く。
「麻衣」
「んー? 寝る準備終わった?」
麻衣はベッドの上でうつ伏せになり、スマホを見ている。
そんな彼女に、香澄は申し訳ないなが申し出た。
「あのね、今日と明日の夜、佑さんと寝てもいい? 勿論、イチャついたりとかは絶対しない」
戸惑いながらも打ち明けると、彼女はクシャッと破顔した。
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