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第十八部・麻衣と年越し 編
〝新生・麻衣〟
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「佑さんは、原石だった私を見いだして磨いてくれた。麻衣も同じなの。マティアスさんは今の麻衣を見て魅力を感じた。その気持ちに『足りない、釣り合わない』って思わなくていいんだよ」
香澄はポンポンと麻衣の肩を叩き、彼女の頭を撫でる。
「恋愛するのが怖い気持ち、分かるよ。私もずっと第一線から引いてたもの。でも、いつか結婚したいと思うなら、目の前のチャンスを逃がしたら駄目だよ」
しばらく麻衣は、香澄の言葉を反芻するように沈黙していた。
だがニヤッと笑うと、香澄のお尻をパン! と叩いてきた。
「ひゃっ」
「もー! 香澄は人の事になったらいい事言うんだから! 自分の事だと自信がなくて迷ってばっかりのくせに」
「だって~」
二人して「あはは!」と笑ったあと、麻衣は少し前向きになった表情で頷いた。
「じゃあ〝そういう相手〟に思えるか意識してみる。合コンで連絡先を交換した人を優先したいと思っていたけど、付き合っている訳じゃないしね」
「そうそう。何か約束してるなら別だけど、『タイミングが合ったら会いましょうか』ぐらいなら、まだ彼氏でも友達でもないよ」
同意すると、麻衣はパンッと自分の両頬を叩く。
「まさかのモテ期になったかもしれない、〝新生・麻衣〟として頑張ってみますか!」
「いいね! モテ期!」
「……喜んでるでしょ」
ジトッと見られてからまた二人で笑い、手洗いを出た。
店に戻ると会計は済んでいたので、支払った佑に礼を言ってから、次の目的地である浅草寺に向かった。
**
雷門前で護衛に写真を撮ってもらったあと、仲見世商店街に進む。
ゆっくり歩いていると、高身長イケメンを四人も連れているので注目を浴びてしまった。
佑はもちろん有名人で、他の三人も有名セレブといっても過言ではない。
「……視線が痛い。何も言われてないのに、皆さんの言いたい事がとても分かる」
麻衣がぼやくと、香澄も同意する。
「同じく。なんでこんな人たちと一緒にいるのか、いまだに分からないもの」
ゆっくり進んでから宝蔵門に辿り着き、またそこで記念撮影をする。
手水舎で手と口をお清めしてから、テレビなどでもよく見る煙を浴びて、お参りをした。
その後、同じ敷地内にある浅草神社にもお参りしてお土産を見ていると、夕方になっていた。
「どうする? 上野動物園行く?」
「んー、暗くなってきたし、次でいいかな? 一日二箇所ぐらいが限度なのかもね」
「分かった。佑さん、ご飯の予定はある?」
「先日、マティアスと行ったすき焼き屋あっただろ。麻衣さんを連れていきたいって言ってたから、予約しておいた」
「わ、ホント? 嬉しい!」
喜ぶと、佑は嬉しそうな顔をする。
「予約は十八時半だから、ゆっくり行こうか」
「うん」
また衆目を集めながら来た道を戻っていると、麻衣がこそっと囁いてくる。
「……すき焼き?」
「うん。嫌い? 好きでしょ?」
「予約って……。すき焼きって予約するものなの? 食べ放題?」
「めちゃくちゃ美味しいお肉を食べられる所だから、すべて御劔大明神に任せたまえ」
「うひぃ……」
高価な肉を食べさせられるのだと知った麻衣は、小さく悲鳴を上げた。
**
以前にも訪れた人形町のすき焼き割烹に向かうと、六人でモリモリと高級な肉を食べる。
「麻衣さん、美味いか?」
「おっ、美味しいです! こんな高級なお肉で……っ、あぁ、最高……!」
麻衣はすっかり高級すき焼きが気に入ったようで、香澄も彼女が喜んでくれるのが嬉しくて堪らない。
「マイは肉が好きなのか?」
マティアスが尋ねてくる。
「好きです! 焼き肉、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼き、肉なら何でも好きです。あとラーメンも好きですね。香澄が札幌にいた時、二人でラーメン屋探索していました」
「ねー、楽しかったね」
サシ入りの肉を玉子でトロッと絡め、むしゃあ! と頬張った香澄がご機嫌に言う。
「……ラーメンか……」
佑がボソッと呟いたが、今は気にしない事にする。
香澄はポンポンと麻衣の肩を叩き、彼女の頭を撫でる。
「恋愛するのが怖い気持ち、分かるよ。私もずっと第一線から引いてたもの。でも、いつか結婚したいと思うなら、目の前のチャンスを逃がしたら駄目だよ」
しばらく麻衣は、香澄の言葉を反芻するように沈黙していた。
だがニヤッと笑うと、香澄のお尻をパン! と叩いてきた。
「ひゃっ」
「もー! 香澄は人の事になったらいい事言うんだから! 自分の事だと自信がなくて迷ってばっかりのくせに」
「だって~」
二人して「あはは!」と笑ったあと、麻衣は少し前向きになった表情で頷いた。
「じゃあ〝そういう相手〟に思えるか意識してみる。合コンで連絡先を交換した人を優先したいと思っていたけど、付き合っている訳じゃないしね」
「そうそう。何か約束してるなら別だけど、『タイミングが合ったら会いましょうか』ぐらいなら、まだ彼氏でも友達でもないよ」
同意すると、麻衣はパンッと自分の両頬を叩く。
「まさかのモテ期になったかもしれない、〝新生・麻衣〟として頑張ってみますか!」
「いいね! モテ期!」
「……喜んでるでしょ」
ジトッと見られてからまた二人で笑い、手洗いを出た。
店に戻ると会計は済んでいたので、支払った佑に礼を言ってから、次の目的地である浅草寺に向かった。
**
雷門前で護衛に写真を撮ってもらったあと、仲見世商店街に進む。
ゆっくり歩いていると、高身長イケメンを四人も連れているので注目を浴びてしまった。
佑はもちろん有名人で、他の三人も有名セレブといっても過言ではない。
「……視線が痛い。何も言われてないのに、皆さんの言いたい事がとても分かる」
麻衣がぼやくと、香澄も同意する。
「同じく。なんでこんな人たちと一緒にいるのか、いまだに分からないもの」
ゆっくり進んでから宝蔵門に辿り着き、またそこで記念撮影をする。
手水舎で手と口をお清めしてから、テレビなどでもよく見る煙を浴びて、お参りをした。
その後、同じ敷地内にある浅草神社にもお参りしてお土産を見ていると、夕方になっていた。
「どうする? 上野動物園行く?」
「んー、暗くなってきたし、次でいいかな? 一日二箇所ぐらいが限度なのかもね」
「分かった。佑さん、ご飯の予定はある?」
「先日、マティアスと行ったすき焼き屋あっただろ。麻衣さんを連れていきたいって言ってたから、予約しておいた」
「わ、ホント? 嬉しい!」
喜ぶと、佑は嬉しそうな顔をする。
「予約は十八時半だから、ゆっくり行こうか」
「うん」
また衆目を集めながら来た道を戻っていると、麻衣がこそっと囁いてくる。
「……すき焼き?」
「うん。嫌い? 好きでしょ?」
「予約って……。すき焼きって予約するものなの? 食べ放題?」
「めちゃくちゃ美味しいお肉を食べられる所だから、すべて御劔大明神に任せたまえ」
「うひぃ……」
高価な肉を食べさせられるのだと知った麻衣は、小さく悲鳴を上げた。
**
以前にも訪れた人形町のすき焼き割烹に向かうと、六人でモリモリと高級な肉を食べる。
「麻衣さん、美味いか?」
「おっ、美味しいです! こんな高級なお肉で……っ、あぁ、最高……!」
麻衣はすっかり高級すき焼きが気に入ったようで、香澄も彼女が喜んでくれるのが嬉しくて堪らない。
「マイは肉が好きなのか?」
マティアスが尋ねてくる。
「好きです! 焼き肉、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼き、肉なら何でも好きです。あとラーメンも好きですね。香澄が札幌にいた時、二人でラーメン屋探索していました」
「ねー、楽しかったね」
サシ入りの肉を玉子でトロッと絡め、むしゃあ! と頬張った香澄がご機嫌に言う。
「……ラーメンか……」
佑がボソッと呟いたが、今は気にしない事にする。
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