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第十七部・クリスマスパーティー 編
第十七部・終章 お前の恋がうまくいくように祈ってるよ
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『……カスミよりマイがいいの?』
『ああ』
『言い方悪いけど、マイって割とふっくらしてるよ?』
『そこがいいんじゃないか。触り心地が良さそうだ。それに安産型の腰をしている』
『『あっ……』』
双子は納得のいった声を出し、しみじみとして頷く。
『そっかぁ……。お前ってずっと女いなかったけど、そっちか……』
『人を特殊性癖のように言うのはやめてくれないか? マイは可愛らしいだろう。体型を言うならカスミは細すぎだ。あれだと抱き締めたら壊れてしまう。マイは魅力的だ』
珍しくマティアスは少しムッとしている。
双子はドイツ女性を思いだしつつ、納得したように何度か頷く。
『確かに国の女は逞しい人もいるから、マイぐらいだったら、まだまだ細いよな』
『七十キロ近くはありそうだけど』
『おい、失礼だからやめろ』
マティアスは溜め息をついて指摘し、脚を組む。
『いや、悪く言ってるんじゃなくて。日本人って元々スリムだから、その中ではマイはふっくらしてるよね、って話だよ』
『マイは魅力的だ』
『うん、分かった。OK。お前の好みは尊重する』
双子は同じタイミングで溜め息をつき、それからおもむろにワイングラスを掲げると、二人で乾杯をした。
『お前の恋がうまくいくように祈ってるよ』
『僕たちは野暮な事はしないし、静観させてもらう』
『ああ、そうしてもらえると助かる』
『はぁー……。それにしても、珍しくお前が女に興味を持ったと思ったら……』
双子はまだ驚いているようで、もう一度二人で乾杯をするとグイッとワインを呷る。
『っていうかさ、ぶっちゃけお前、今まで性処理ってどうしてたの?』
『そうそう。三十歳になって童貞はないだろ?』
『FKKとか行ってた?』
FKKとはサウナや入浴施設の他、プールやバー、ビュッフェが備わった売春目的の建物だ。
双子は若気の至りで遊びに行った事はある。
〝モデルのような女性〟とできるが、自分たちはその気になれば本物のモデルとセックスできるので、体験するだけして、近年はずっと行っていない。
『……二十歳前後に何回か行った事がある。その前にティーンの時に経験は済ませてある。これでも一応、ガールフレンドはいた』
『あー、そうだったっけ』
『思いだした。結構綺麗な子と付き合ってたよな。でも〝淡泊すぎる〟って振られたんだっけ』
『……その頃からエミリアによるストレスが常に掛かっていたから、正直、青春を謳歌するどころじゃなかった』
その名前が出て、双子は苦い物でも食べたような顔になる。
『あー、分かった、分かった』
『女性と付き合おうと思う気持ちがあったのは、二十歳ぐらいまでだ。あとは女性不信になっていた。美人な白人女性を見るとエミリアと重なって、あまり得意ではなくなった』
マティアスの告白を聞き、双子は何とも言えない表情になる。
『それについては、同情するよ』
『僕たちも似たようなもんだ。抱けない事はないけどね』
双子は溜め息をつきつつ、またお互いのグラスにワインを注ぐ。
『奇しくも三人して日本人ターゲットか』
はは、とアロイスが笑い、美里を思いだして優しい顔になる。
『日本人女性は奥ゆかしくて好きだ。もう少し自己主張をすればいいとは思うが。エミリアの側にいて、ガンガンくる女にはうんざりしている』
マティアスは秘書として、彼女が護衛たちと乱交していたのを勿論知っている。
彼女に〝見せつけられた〟事もあり、本当にトラウマになっているのだ。
『すげぇ分かる。僕はどこの国の女の子でも好きだけどさ、どうしてもあいつを重ねちゃうよね。だから小柄で黒髪で、鼻ペちゃの可愛い子を見ると、素直に愛情が注げるんだ』
クラウスもまた、美里を思いだして愛しそうに笑う。
『俺はカスミとフラウ・セツコぐらいしか日本人女性を知らない。日本人女性と付き合う事に関しては、アロクラが先輩だから、必要な時は意見を聞きたい』
『『いや、タスクだろ』』
双子が同時に突っ込み、言われて初めて彼は『ああ、そうか』と頷く。
『まぁ、お前に春がきて嬉しいよ。見守ってやるから頑張りな』
『ああ。ところで日本の商業施設は十時からでいいのか?』
『そうでない?』
『何か買いに行くの? あ、マイのプレゼント?』
『そうだ』
さっそく行動を起こすマティアスを見て、双子はニヤッと笑った。
『一週間のあいだに、どれだけいけるかな』
『一週間経ったら、マイは札幌に帰るからな』
『分かってる。……というか、今後の住まいの候補地に札幌も入れた』
『マジか。意外とすぐ行動するな、お前』
『札幌住むって決めたなら、当面のあいだ僕たちの家を貸してやってもいいけど。ミサトはいつ住んでくれるか分からないし』
『ありがとう。だが、マイと二人で住めそうな所も探してみる』
『バカか? お前。まだマイの気持ちもわかんないんだぞ? さっきビンタくらったばっかりだろ。頭スカスカだな、お前。先走りすぎだ』
『意外と恋を知ったら盲目になるタイプなんだな、お前。おっかし』
双子はケラケラと笑い、マティアスはそんな二人の言葉は話半分に、スマホで色々と調べているのだった。
第十四部・完
『ああ』
『言い方悪いけど、マイって割とふっくらしてるよ?』
『そこがいいんじゃないか。触り心地が良さそうだ。それに安産型の腰をしている』
『『あっ……』』
双子は納得のいった声を出し、しみじみとして頷く。
『そっかぁ……。お前ってずっと女いなかったけど、そっちか……』
『人を特殊性癖のように言うのはやめてくれないか? マイは可愛らしいだろう。体型を言うならカスミは細すぎだ。あれだと抱き締めたら壊れてしまう。マイは魅力的だ』
珍しくマティアスは少しムッとしている。
双子はドイツ女性を思いだしつつ、納得したように何度か頷く。
『確かに国の女は逞しい人もいるから、マイぐらいだったら、まだまだ細いよな』
『七十キロ近くはありそうだけど』
『おい、失礼だからやめろ』
マティアスは溜め息をついて指摘し、脚を組む。
『いや、悪く言ってるんじゃなくて。日本人って元々スリムだから、その中ではマイはふっくらしてるよね、って話だよ』
『マイは魅力的だ』
『うん、分かった。OK。お前の好みは尊重する』
双子は同じタイミングで溜め息をつき、それからおもむろにワイングラスを掲げると、二人で乾杯をした。
『お前の恋がうまくいくように祈ってるよ』
『僕たちは野暮な事はしないし、静観させてもらう』
『ああ、そうしてもらえると助かる』
『はぁー……。それにしても、珍しくお前が女に興味を持ったと思ったら……』
双子はまだ驚いているようで、もう一度二人で乾杯をするとグイッとワインを呷る。
『っていうかさ、ぶっちゃけお前、今まで性処理ってどうしてたの?』
『そうそう。三十歳になって童貞はないだろ?』
『FKKとか行ってた?』
FKKとはサウナや入浴施設の他、プールやバー、ビュッフェが備わった売春目的の建物だ。
双子は若気の至りで遊びに行った事はある。
〝モデルのような女性〟とできるが、自分たちはその気になれば本物のモデルとセックスできるので、体験するだけして、近年はずっと行っていない。
『……二十歳前後に何回か行った事がある。その前にティーンの時に経験は済ませてある。これでも一応、ガールフレンドはいた』
『あー、そうだったっけ』
『思いだした。結構綺麗な子と付き合ってたよな。でも〝淡泊すぎる〟って振られたんだっけ』
『……その頃からエミリアによるストレスが常に掛かっていたから、正直、青春を謳歌するどころじゃなかった』
その名前が出て、双子は苦い物でも食べたような顔になる。
『あー、分かった、分かった』
『女性と付き合おうと思う気持ちがあったのは、二十歳ぐらいまでだ。あとは女性不信になっていた。美人な白人女性を見るとエミリアと重なって、あまり得意ではなくなった』
マティアスの告白を聞き、双子は何とも言えない表情になる。
『それについては、同情するよ』
『僕たちも似たようなもんだ。抱けない事はないけどね』
双子は溜め息をつきつつ、またお互いのグラスにワインを注ぐ。
『奇しくも三人して日本人ターゲットか』
はは、とアロイスが笑い、美里を思いだして優しい顔になる。
『日本人女性は奥ゆかしくて好きだ。もう少し自己主張をすればいいとは思うが。エミリアの側にいて、ガンガンくる女にはうんざりしている』
マティアスは秘書として、彼女が護衛たちと乱交していたのを勿論知っている。
彼女に〝見せつけられた〟事もあり、本当にトラウマになっているのだ。
『すげぇ分かる。僕はどこの国の女の子でも好きだけどさ、どうしてもあいつを重ねちゃうよね。だから小柄で黒髪で、鼻ペちゃの可愛い子を見ると、素直に愛情が注げるんだ』
クラウスもまた、美里を思いだして愛しそうに笑う。
『俺はカスミとフラウ・セツコぐらいしか日本人女性を知らない。日本人女性と付き合う事に関しては、アロクラが先輩だから、必要な時は意見を聞きたい』
『『いや、タスクだろ』』
双子が同時に突っ込み、言われて初めて彼は『ああ、そうか』と頷く。
『まぁ、お前に春がきて嬉しいよ。見守ってやるから頑張りな』
『ああ。ところで日本の商業施設は十時からでいいのか?』
『そうでない?』
『何か買いに行くの? あ、マイのプレゼント?』
『そうだ』
さっそく行動を起こすマティアスを見て、双子はニヤッと笑った。
『一週間のあいだに、どれだけいけるかな』
『一週間経ったら、マイは札幌に帰るからな』
『分かってる。……というか、今後の住まいの候補地に札幌も入れた』
『マジか。意外とすぐ行動するな、お前』
『札幌住むって決めたなら、当面のあいだ僕たちの家を貸してやってもいいけど。ミサトはいつ住んでくれるか分からないし』
『ありがとう。だが、マイと二人で住めそうな所も探してみる』
『バカか? お前。まだマイの気持ちもわかんないんだぞ? さっきビンタくらったばっかりだろ。頭スカスカだな、お前。先走りすぎだ』
『意外と恋を知ったら盲目になるタイプなんだな、お前。おっかし』
双子はケラケラと笑い、マティアスはそんな二人の言葉は話半分に、スマホで色々と調べているのだった。
第十四部・完
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