1,122 / 1,544
第十七部・クリスマスパーティー 編
第十七部・終章 お前の恋がうまくいくように祈ってるよ
しおりを挟む
『……カスミよりマイがいいの?』
『ああ』
『言い方悪いけど、マイって割とふっくらしてるよ?』
『そこがいいんじゃないか。触り心地が良さそうだ。それに安産型の腰をしている』
『『あっ……』』
双子は納得のいった声を出し、しみじみとして頷く。
『そっかぁ……。お前ってずっと女いなかったけど、そっちか……』
『人を特殊性癖のように言うのはやめてくれないか? マイは可愛らしいだろう。体型を言うならカスミは細すぎだ。あれだと抱き締めたら壊れてしまう。マイは魅力的だ』
珍しくマティアスは少しムッとしている。
双子はドイツ女性を思いだしつつ、納得したように何度か頷く。
『確かに国の女は逞しい人もいるから、マイぐらいだったら、まだまだ細いよな』
『七十キロ近くはありそうだけど』
『おい、失礼だからやめろ』
マティアスは溜め息をついて指摘し、脚を組む。
『いや、悪く言ってるんじゃなくて。日本人って元々スリムだから、その中ではマイはふっくらしてるよね、って話だよ』
『マイは魅力的だ』
『うん、分かった。OK。お前の好みは尊重する』
双子は同じタイミングで溜め息をつき、それからおもむろにワイングラスを掲げると、二人で乾杯をした。
『お前の恋がうまくいくように祈ってるよ』
『僕たちは野暮な事はしないし、静観させてもらう』
『ああ、そうしてもらえると助かる』
『はぁー……。それにしても、珍しくお前が女に興味を持ったと思ったら……』
双子はまだ驚いているようで、もう一度二人で乾杯をするとグイッとワインを呷る。
『っていうかさ、ぶっちゃけお前、今まで性処理ってどうしてたの?』
『そうそう。三十歳になって童貞はないだろ?』
『FKKとか行ってた?』
FKKとはサウナや入浴施設の他、プールやバー、ビュッフェが備わった売春目的の建物だ。
双子は若気の至りで遊びに行った事はある。
〝モデルのような女性〟とできるが、自分たちはその気になれば本物のモデルとセックスできるので、体験するだけして、近年はずっと行っていない。
『……二十歳前後に何回か行った事がある。その前にティーンの時に経験は済ませてある。これでも一応、ガールフレンドはいた』
『あー、そうだったっけ』
『思いだした。結構綺麗な子と付き合ってたよな。でも〝淡泊すぎる〟って振られたんだっけ』
『……その頃からエミリアによるストレスが常に掛かっていたから、正直、青春を謳歌するどころじゃなかった』
その名前が出て、双子は苦い物でも食べたような顔になる。
『あー、分かった、分かった』
『女性と付き合おうと思う気持ちがあったのは、二十歳ぐらいまでだ。あとは女性不信になっていた。美人な白人女性を見るとエミリアと重なって、あまり得意ではなくなった』
マティアスの告白を聞き、双子は何とも言えない表情になる。
『それについては、同情するよ』
『僕たちも似たようなもんだ。抱けない事はないけどね』
双子は溜め息をつきつつ、またお互いのグラスにワインを注ぐ。
『奇しくも三人して日本人ターゲットか』
はは、とアロイスが笑い、美里を思いだして優しい顔になる。
『日本人女性は奥ゆかしくて好きだ。もう少し自己主張をすればいいとは思うが。エミリアの側にいて、ガンガンくる女にはうんざりしている』
マティアスは秘書として、彼女が護衛たちと乱交していたのを勿論知っている。
彼女に〝見せつけられた〟事もあり、本当にトラウマになっているのだ。
『すげぇ分かる。僕はどこの国の女の子でも好きだけどさ、どうしてもあいつを重ねちゃうよね。だから小柄で黒髪で、鼻ペちゃの可愛い子を見ると、素直に愛情が注げるんだ』
クラウスもまた、美里を思いだして愛しそうに笑う。
『俺はカスミとフラウ・セツコぐらいしか日本人女性を知らない。日本人女性と付き合う事に関しては、アロクラが先輩だから、必要な時は意見を聞きたい』
『『いや、タスクだろ』』
双子が同時に突っ込み、言われて初めて彼は『ああ、そうか』と頷く。
『まぁ、お前に春がきて嬉しいよ。見守ってやるから頑張りな』
『ああ。ところで日本の商業施設は十時からでいいのか?』
『そうでない?』
『何か買いに行くの? あ、マイのプレゼント?』
『そうだ』
さっそく行動を起こすマティアスを見て、双子はニヤッと笑った。
『一週間のあいだに、どれだけいけるかな』
『一週間経ったら、マイは札幌に帰るからな』
『分かってる。……というか、今後の住まいの候補地に札幌も入れた』
『マジか。意外とすぐ行動するな、お前』
『札幌住むって決めたなら、当面のあいだ僕たちの家を貸してやってもいいけど。ミサトはいつ住んでくれるか分からないし』
『ありがとう。だが、マイと二人で住めそうな所も探してみる』
『バカか? お前。まだマイの気持ちもわかんないんだぞ? さっきビンタくらったばっかりだろ。頭スカスカだな、お前。先走りすぎだ』
『意外と恋を知ったら盲目になるタイプなんだな、お前。おっかし』
双子はケラケラと笑い、マティアスはそんな二人の言葉は話半分に、スマホで色々と調べているのだった。
第十四部・完
『ああ』
『言い方悪いけど、マイって割とふっくらしてるよ?』
『そこがいいんじゃないか。触り心地が良さそうだ。それに安産型の腰をしている』
『『あっ……』』
双子は納得のいった声を出し、しみじみとして頷く。
『そっかぁ……。お前ってずっと女いなかったけど、そっちか……』
『人を特殊性癖のように言うのはやめてくれないか? マイは可愛らしいだろう。体型を言うならカスミは細すぎだ。あれだと抱き締めたら壊れてしまう。マイは魅力的だ』
珍しくマティアスは少しムッとしている。
双子はドイツ女性を思いだしつつ、納得したように何度か頷く。
『確かに国の女は逞しい人もいるから、マイぐらいだったら、まだまだ細いよな』
『七十キロ近くはありそうだけど』
『おい、失礼だからやめろ』
マティアスは溜め息をついて指摘し、脚を組む。
『いや、悪く言ってるんじゃなくて。日本人って元々スリムだから、その中ではマイはふっくらしてるよね、って話だよ』
『マイは魅力的だ』
『うん、分かった。OK。お前の好みは尊重する』
双子は同じタイミングで溜め息をつき、それからおもむろにワイングラスを掲げると、二人で乾杯をした。
『お前の恋がうまくいくように祈ってるよ』
『僕たちは野暮な事はしないし、静観させてもらう』
『ああ、そうしてもらえると助かる』
『はぁー……。それにしても、珍しくお前が女に興味を持ったと思ったら……』
双子はまだ驚いているようで、もう一度二人で乾杯をするとグイッとワインを呷る。
『っていうかさ、ぶっちゃけお前、今まで性処理ってどうしてたの?』
『そうそう。三十歳になって童貞はないだろ?』
『FKKとか行ってた?』
FKKとはサウナや入浴施設の他、プールやバー、ビュッフェが備わった売春目的の建物だ。
双子は若気の至りで遊びに行った事はある。
〝モデルのような女性〟とできるが、自分たちはその気になれば本物のモデルとセックスできるので、体験するだけして、近年はずっと行っていない。
『……二十歳前後に何回か行った事がある。その前にティーンの時に経験は済ませてある。これでも一応、ガールフレンドはいた』
『あー、そうだったっけ』
『思いだした。結構綺麗な子と付き合ってたよな。でも〝淡泊すぎる〟って振られたんだっけ』
『……その頃からエミリアによるストレスが常に掛かっていたから、正直、青春を謳歌するどころじゃなかった』
その名前が出て、双子は苦い物でも食べたような顔になる。
『あー、分かった、分かった』
『女性と付き合おうと思う気持ちがあったのは、二十歳ぐらいまでだ。あとは女性不信になっていた。美人な白人女性を見るとエミリアと重なって、あまり得意ではなくなった』
マティアスの告白を聞き、双子は何とも言えない表情になる。
『それについては、同情するよ』
『僕たちも似たようなもんだ。抱けない事はないけどね』
双子は溜め息をつきつつ、またお互いのグラスにワインを注ぐ。
『奇しくも三人して日本人ターゲットか』
はは、とアロイスが笑い、美里を思いだして優しい顔になる。
『日本人女性は奥ゆかしくて好きだ。もう少し自己主張をすればいいとは思うが。エミリアの側にいて、ガンガンくる女にはうんざりしている』
マティアスは秘書として、彼女が護衛たちと乱交していたのを勿論知っている。
彼女に〝見せつけられた〟事もあり、本当にトラウマになっているのだ。
『すげぇ分かる。僕はどこの国の女の子でも好きだけどさ、どうしてもあいつを重ねちゃうよね。だから小柄で黒髪で、鼻ペちゃの可愛い子を見ると、素直に愛情が注げるんだ』
クラウスもまた、美里を思いだして愛しそうに笑う。
『俺はカスミとフラウ・セツコぐらいしか日本人女性を知らない。日本人女性と付き合う事に関しては、アロクラが先輩だから、必要な時は意見を聞きたい』
『『いや、タスクだろ』』
双子が同時に突っ込み、言われて初めて彼は『ああ、そうか』と頷く。
『まぁ、お前に春がきて嬉しいよ。見守ってやるから頑張りな』
『ああ。ところで日本の商業施設は十時からでいいのか?』
『そうでない?』
『何か買いに行くの? あ、マイのプレゼント?』
『そうだ』
さっそく行動を起こすマティアスを見て、双子はニヤッと笑った。
『一週間のあいだに、どれだけいけるかな』
『一週間経ったら、マイは札幌に帰るからな』
『分かってる。……というか、今後の住まいの候補地に札幌も入れた』
『マジか。意外とすぐ行動するな、お前』
『札幌住むって決めたなら、当面のあいだ僕たちの家を貸してやってもいいけど。ミサトはいつ住んでくれるか分からないし』
『ありがとう。だが、マイと二人で住めそうな所も探してみる』
『バカか? お前。まだマイの気持ちもわかんないんだぞ? さっきビンタくらったばっかりだろ。頭スカスカだな、お前。先走りすぎだ』
『意外と恋を知ったら盲目になるタイプなんだな、お前。おっかし』
双子はケラケラと笑い、マティアスはそんな二人の言葉は話半分に、スマホで色々と調べているのだった。
第十四部・完
13
お気に入りに追加
2,511
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる