【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十七部・クリスマスパーティー 編

第十七部・終章 お前の恋がうまくいくように祈ってるよ

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『……カスミよりマイがいいの?』

『ああ』

『言い方悪いけど、マイって割とふっくらしてるよ?』

『そこがいいんじゃないか。触り心地が良さそうだ。それに安産型の腰をしている』

『『あっ……』』

 双子は納得のいった声を出し、しみじみとして頷く。

『そっかぁ……。お前ってずっと女いなかったけど、そっちか……』

『人を特殊性癖のように言うのはやめてくれないか? マイは可愛らしいだろう。体型を言うならカスミは細すぎだ。あれだと抱き締めたら壊れてしまう。マイは魅力的だ』

 珍しくマティアスは少しムッとしている。
 双子はドイツ女性を思いだしつつ、納得したように何度か頷く。

『確かに国の女は逞しい人もいるから、マイぐらいだったら、まだまだ細いよな』

『七十キロ近くはありそうだけど』

『おい、失礼だからやめろ』

 マティアスは溜め息をついて指摘し、脚を組む。

『いや、悪く言ってるんじゃなくて。日本人って元々スリムだから、その中ではマイはふっくらしてるよね、って話だよ』

『マイは魅力的だ』

『うん、分かった。OK。お前の好みは尊重する』

 双子は同じタイミングで溜め息をつき、それからおもむろにワイングラスを掲げると、二人で乾杯をした。

『お前の恋がうまくいくように祈ってるよ』

『僕たちは野暮な事はしないし、静観させてもらう』

『ああ、そうしてもらえると助かる』

『はぁー……。それにしても、珍しくお前が女に興味を持ったと思ったら……』

 双子はまだ驚いているようで、もう一度二人で乾杯をするとグイッとワインを呷る。

『っていうかさ、ぶっちゃけお前、今まで性処理ってどうしてたの?』

『そうそう。三十歳になって童貞はないだろ?』

FKKエフカーカーとか行ってた?』

 FKKとはサウナや入浴施設の他、プールやバー、ビュッフェが備わった売春目的の建物だ。

 双子は若気の至りで遊びに行った事はある。
〝モデルのような女性〟とできるが、自分たちはその気になれば本物のモデルとセックスできるので、体験するだけして、近年はずっと行っていない。

『……二十歳前後に何回か行った事がある。その前にティーンの時に経験は済ませてある。これでも一応、ガールフレンドはいた』

『あー、そうだったっけ』

『思いだした。結構綺麗な子と付き合ってたよな。でも〝淡泊すぎる〟って振られたんだっけ』

『……その頃からエミリアによるストレスが常に掛かっていたから、正直、青春を謳歌するどころじゃなかった』

 その名前が出て、双子は苦い物でも食べたような顔になる。

『あー、分かった、分かった』

『女性と付き合おうと思う気持ちがあったのは、二十歳ぐらいまでだ。あとは女性不信になっていた。美人な白人女性を見るとエミリアと重なって、あまり得意ではなくなった』

 マティアスの告白を聞き、双子は何とも言えない表情になる。

『それについては、同情するよ』

『僕たちも似たようなもんだ。抱けない事はないけどね』

 双子は溜め息をつきつつ、またお互いのグラスにワインを注ぐ。

『奇しくも三人して日本人ターゲットか』

 はは、とアロイスが笑い、美里を思いだして優しい顔になる。

『日本人女性は奥ゆかしくて好きだ。もう少し自己主張をすればいいとは思うが。エミリアの側にいて、ガンガンくる女にはうんざりしている』

 マティアスは秘書として、彼女が護衛たちと乱交していたのを勿論知っている。
 彼女に〝見せつけられた〟事もあり、本当にトラウマになっているのだ。

『すげぇ分かる。僕はどこの国の女の子でも好きだけどさ、どうしてもあいつを重ねちゃうよね。だから小柄で黒髪で、鼻ペちゃの可愛い子を見ると、素直に愛情が注げるんだ』

 クラウスもまた、美里を思いだして愛しそうに笑う。

『俺はカスミとフラウ・セツコぐらいしか日本人女性を知らない。日本人女性と付き合う事に関しては、アロクラが先輩だから、必要な時は意見を聞きたい』

『『いや、タスクだろ』』

 双子が同時に突っ込み、言われて初めて彼は『ああ、そうか』と頷く。

『まぁ、お前に春がきて嬉しいよ。見守ってやるから頑張りな』

『ああ。ところで日本の商業施設は十時からでいいのか?』

『そうでない?』

『何か買いに行くの? あ、マイのプレゼント?』

『そうだ』

 さっそく行動を起こすマティアスを見て、双子はニヤッと笑った。

『一週間のあいだに、どれだけいけるかな』

『一週間経ったら、マイは札幌に帰るからな』

『分かってる。……というか、今後の住まいの候補地に札幌も入れた』

『マジか。意外とすぐ行動するな、お前』

『札幌住むって決めたなら、当面のあいだ僕たちの家を貸してやってもいいけど。ミサトはいつ住んでくれるか分からないし』

『ありがとう。だが、マイと二人で住めそうな所も探してみる』

『バカか? お前。まだマイの気持ちもわかんないんだぞ? さっきビンタくらったばっかりだろ。頭スカスカだな、お前。先走りすぎだ』

『意外と恋を知ったら盲目になるタイプなんだな、お前。おっかし』

 双子はケラケラと笑い、マティアスはそんな二人の言葉は話半分に、スマホで色々と調べているのだった。



 第十四部・完
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