【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十七部・クリスマスパーティー 編

いいと思った女性

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「お気に入りとかある?」

「うーん、ブースターって言う化粧水前の美容液、使うと浸透率が高くなるんだって。私はアンボワーズのをメインで使ってる」

 香澄が愛用しているアンボワーズは、フランスの城の名前を由来とし、バラがロゴマークになっているブランドだ。
 特徴的な黒いボトルは高級感があり、香澄は「良さそうだから何かいい効果があるはず」と信じて使っている。

「メインで使ってるポーイドラテは、匂いや刺激が少なくて好きかな」

「私も香澄が使ってるのを見て、売り場に突撃してみた。確かに匂いがないのは使いやすい」

「でしょでしょ。けどやっぱり、一番は肌に合うかどうかだと思う。匂いもそうだし、テクスチャーとか、自分に合う物を使うのがストレスがなくていいと思うよ」

「高けりゃいい訳じゃないんだ」

「うん。佑さんの親友に『美人堂』の社長さんがいるの。彼いわく、肌にストレスを与えない、合う物を使っていれば何でもいいんだって。ベーシックな成分はプチプラもデパコスもほぼ同じみたい。高い化粧品は高い原材料を使ってるけど、ほんのちょっぴりしか入っていないみたい。あとはデザイン料、テナント料、広告費、BAさんの人件費や研修費とかがプラスされて高いとか……」

「シビアだね」

 麻衣のツッコミに、香澄は思わず笑う。

「んふふ、そう。だから、どこのを使ってもほぼ同じだと思う。要は自己満足。出雲さんも、『自分が化粧品に、何を求めているのかで決めたほうがいいと思う』って言ってた。私は匂いとか使用感で決めてるかな」

 出雲に聞いた話も交えて言うと、麻衣はうんうんと頷いた。

「なんか一つ賢くなった感じ。今まで『高い化粧品のほうが効果があるのかな?』って思ってた。他のブランドだったら三万、四万とか手が出せないのもあるし。それに色々模索したくても、あの売り場で新規で行ってみるって勇気要るんだよね……。『ちょっと違った』っていう時に断りづらさがある。それに、皆美人でしょ……」

「分かる! BAさんって、みんな細くて美人で、気後れしちゃうよね」

「香澄だって細くて可愛いじゃん」

「心は道産子のじゃがいも魂なの!」

 力んで言うと、麻衣が噴き出した。

「分かる! それ! SNSとかで大都会のキラキラした女子見てると、『自分ってイモっぽいな……』って思うの。なぜかイモ!」

 二人でケラケラ笑ったあと、洗面所をあとにしてそろそろ寝る事にする。

「ねぇ、麻衣。一緒に寝てもいい? 邪魔?」

「えー? いいけど、御劔さんは?」

「いいの。麻衣がいる間は、麻衣が優先」

「もー……。ベッド大きいし、いいけどさ」

「やったぁ」



 その会話を、佑が書斎でしょっぱい顔をして聞いていたのを、香澄は知らない。



**



 リビングで、三人は〝麻衣の一発〟について感想を述べていた。

『久しぶりに〝痛い〟って思ったかも。スパーリングの時とは別の痛みがある』

『そんだけ真剣にカスミの事を思ってるんだろ。イイコだな、マイ』

『僕らにもそんな親友がいたらいいね』

 双子はお互いのグラスにワインを注ぎ、クスクス笑う。

 その向かいに座っていたマティアスが、人差し指を小さく挙げた。

『俺は友達じゃないか?』

『オイオイ、キモい事いうなよ。ヤローの友達はいらないよ』

 呆れたようにクラウスが言い、『そうだ』とからかう表情になってマティウスを揶揄する。

『それはそうとお前、随分気の利く男になったな?』

『そうそう。スーツケース、俺が持ってあげようかなって思ったら、お前がサッと率先するんだもん』

『いいと思った女性には、いいところを見せたいだろ』

 マティアスがサラッと言ったので、双子はいつものように話半分に『ふーん』と返事をする。
 直後、同じタイミングでワインを噴き出した。

『マジ!? マ?』

『え? どっち? カスミ? もしかしてマイ?』

『マイだ』

 双子はこの上もなくポカーンとし、目玉が零れ落ちそうなほど瞠目する。
 そのあとお互いの顔を見て、またマティアスを見る。

『え? なんで?』

『ビンタされて目覚めた? お前Mだったの?』

『……え? だっていい女じゃないか?』

 真顔で問い返され、双子はまたポカーンとした顔になる。
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