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第十七部・クリスマスパーティー 編
プリンセスとチョーカー
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「って言うと思って、『COYCE』の生チョコも買ってきたよ。香澄の好きそうな味、とりあえず買ってきた。あと、アーモンドミルクの板チョコも買ってきたからね」
「救世主……!」
香澄は胸の前で手を合わせて麻衣を拝む。
「それはそうと、御劔さんと三人に挨拶しないとね」
「うん。じゃあ、下りようか」
香澄は麻衣からもらったお菓子を胸に抱え、ホクホクしながら一階に下りた。
**
その後、リビングで改めて麻衣とドイツ組三人が自己紹介をする。
「カスミの親友がくるって言うから、僕らマイの分もクリスマスプレゼント用意してたんだよね。受け取ってくれる?」
「えっ?」
初対面の相手からプレゼントと言われ、麻衣は面食らう。
「でも、私なにもお返しできる物がありません」
麻衣は動揺して、申し訳なさそうにしている。
「いいから、女の子は黙ってプレゼントを受け取るもんだよ」
適当な理屈をつけて、アロイスが「はい」と麻衣に自社ブランドのショッパーを渡す。
「だ、だってこれ……『アロクラ』ですよね? そんな高価な物……」
「あ、知ってるの? 良かった~!」
「そうじゃなくて、悪いからいいですって!」
すっかり双子のペースに巻き込まれている麻衣を見て、香澄は「こうなるかー」と生暖かい気持ちになる。
「とりあえず、もう用意しちゃってるから受け取って?」
「……わ、分かりました。ありがとうございます」
麻衣は疲れた顔でショッパーを受け取り、香澄に助けを求める目を向ける。
「皆こういう人だから、私はもう諦めてるよ……」
「あぁ……」
香澄が普段どのような生活を送っているか察したのか、麻衣は哀れむ目になった。
「じゃあ、開けさせてもらいます」
麻衣がアロイスからのプレゼントを開け始め、それを全員が見る。
「な、なんか緊張しますから! どっか向いててください!」
「あはは! マイ、緊張してるんだ。かわいい~!」
金色のリボンがかかったオレンジの箱を開けると、中には『アロクラ』のAとCを組み合わせたブランドロゴの、モノグラムのマフラーが入っていた。
「すっご……。い、いいんですか?」
「もっちろーん! っていうか、マイの雰囲気が分からなかったから、無難なアイテムになって逆にごめんね?」
「いいえ!」
麻衣はリバーシブルになっているマフラーの表裏を見て、さわさわと触ってからうっとりとした表情で溜め息をつく。
「じゃあ、僕のも開けて」
今度はクラウスに言われ、麻衣は「ありがとうございます」と言ってプレゼントを開ける。
中には〝イエローローズ〟のシンボルになっている、黄色いバラのペンダントが入っていた。
黄色いバラと言ってもメッキではなく、24金でバラを象った物なので、相応のお値段だ。
「す……すご……」
「本当はイヤリングかクリップオンイヤリングもって思ったんだけど、マイってノンホールなのかどうか分かんなくて。穴空いてたね、OK」
「クリップ……?」
聞き慣れない単語を耳にしてきょとんとしている麻衣に、香澄はこそこそと説明する。
日本でピアスと呼ばれている物を、海外ではイヤリングと呼んでいる。
逆にイヤリングの事を、海外ではクリップオンイヤリングと呼ばれていた。
「まぁ、向こうではほとんど穴が空いてるから、オーダーしないとクリップオンイヤリングはないんだけどね」
はぁー……と溜め息をつき、麻衣はペンダントを台座から外して目の前に掲げた。
(あっ)
その瞬間、香澄は麻衣が考えている事を百パーセント理解してしまった。
ペンダントのチェーンの長さは数種類ある。
鎖骨の下にペンダントトップがくるタイプを〝プリンセス〟と呼ぶ。
今クラウスから贈られたのは、〝チョーカー〟と呼ばれる、鎖骨の上にペンダントトップがのる物だ。
麻衣と付き合いの長い香澄は、彼女が〝チョーカー〟タイプをつけられないのを知っていた。
首回りがきついようで、麻衣はいつもチェーンが長めの物を買っていた。
香澄はヒヤッとしたが、麻衣は何事もなかったかのようにニッコリ笑って礼を言う。
「救世主……!」
香澄は胸の前で手を合わせて麻衣を拝む。
「それはそうと、御劔さんと三人に挨拶しないとね」
「うん。じゃあ、下りようか」
香澄は麻衣からもらったお菓子を胸に抱え、ホクホクしながら一階に下りた。
**
その後、リビングで改めて麻衣とドイツ組三人が自己紹介をする。
「カスミの親友がくるって言うから、僕らマイの分もクリスマスプレゼント用意してたんだよね。受け取ってくれる?」
「えっ?」
初対面の相手からプレゼントと言われ、麻衣は面食らう。
「でも、私なにもお返しできる物がありません」
麻衣は動揺して、申し訳なさそうにしている。
「いいから、女の子は黙ってプレゼントを受け取るもんだよ」
適当な理屈をつけて、アロイスが「はい」と麻衣に自社ブランドのショッパーを渡す。
「だ、だってこれ……『アロクラ』ですよね? そんな高価な物……」
「あ、知ってるの? 良かった~!」
「そうじゃなくて、悪いからいいですって!」
すっかり双子のペースに巻き込まれている麻衣を見て、香澄は「こうなるかー」と生暖かい気持ちになる。
「とりあえず、もう用意しちゃってるから受け取って?」
「……わ、分かりました。ありがとうございます」
麻衣は疲れた顔でショッパーを受け取り、香澄に助けを求める目を向ける。
「皆こういう人だから、私はもう諦めてるよ……」
「あぁ……」
香澄が普段どのような生活を送っているか察したのか、麻衣は哀れむ目になった。
「じゃあ、開けさせてもらいます」
麻衣がアロイスからのプレゼントを開け始め、それを全員が見る。
「な、なんか緊張しますから! どっか向いててください!」
「あはは! マイ、緊張してるんだ。かわいい~!」
金色のリボンがかかったオレンジの箱を開けると、中には『アロクラ』のAとCを組み合わせたブランドロゴの、モノグラムのマフラーが入っていた。
「すっご……。い、いいんですか?」
「もっちろーん! っていうか、マイの雰囲気が分からなかったから、無難なアイテムになって逆にごめんね?」
「いいえ!」
麻衣はリバーシブルになっているマフラーの表裏を見て、さわさわと触ってからうっとりとした表情で溜め息をつく。
「じゃあ、僕のも開けて」
今度はクラウスに言われ、麻衣は「ありがとうございます」と言ってプレゼントを開ける。
中には〝イエローローズ〟のシンボルになっている、黄色いバラのペンダントが入っていた。
黄色いバラと言ってもメッキではなく、24金でバラを象った物なので、相応のお値段だ。
「す……すご……」
「本当はイヤリングかクリップオンイヤリングもって思ったんだけど、マイってノンホールなのかどうか分かんなくて。穴空いてたね、OK」
「クリップ……?」
聞き慣れない単語を耳にしてきょとんとしている麻衣に、香澄はこそこそと説明する。
日本でピアスと呼ばれている物を、海外ではイヤリングと呼んでいる。
逆にイヤリングの事を、海外ではクリップオンイヤリングと呼ばれていた。
「まぁ、向こうではほとんど穴が空いてるから、オーダーしないとクリップオンイヤリングはないんだけどね」
はぁー……と溜め息をつき、麻衣はペンダントを台座から外して目の前に掲げた。
(あっ)
その瞬間、香澄は麻衣が考えている事を百パーセント理解してしまった。
ペンダントのチェーンの長さは数種類ある。
鎖骨の下にペンダントトップがくるタイプを〝プリンセス〟と呼ぶ。
今クラウスから贈られたのは、〝チョーカー〟と呼ばれる、鎖骨の上にペンダントトップがのる物だ。
麻衣と付き合いの長い香澄は、彼女が〝チョーカー〟タイプをつけられないのを知っていた。
首回りがきついようで、麻衣はいつもチェーンが長めの物を買っていた。
香澄はヒヤッとしたが、麻衣は何事もなかったかのようにニッコリ笑って礼を言う。
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