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第十七部・クリスマスパーティー 編
夢みたい
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「荷物はここに置いておく」
「ありがとうございます」
「マ……マティアス? さんでしたっけ? さっきも率先して持ってくれたし、親切なんですね。ありがとうございます」
マティアスが部屋の入り口にスーツケースと紙袋を置いてくれ、二人で礼を言う。
「問題ない。じゃあ、下にいる」
そう言ってマティアスは廊下を歩いていってしまった。
「ちょっと変わった感じの人だけど、親切だね」
麻衣はダウンコートを脱ぎながら言い、香澄はハンガーを渡しつつ笑う。
「ちょっととっつきにくくて怖そうに見えるけど、面白い人だよ。タヌキの信楽焼きに並々ならぬ情熱を持ってて、こないだ小さなタヌキの置物あげたら、とっても喜んでくれたの」
「ぶはっ! なんじゃそりゃ」
疲れたのか、麻衣はコートをクローゼットにしまったあとソファに座った。
香澄もその向かいに座り、ニコニコして親友の顔を見る。
「麻衣が東京にいるー。夢みたい」
デレデレする香澄を見て、麻衣は苦笑いする。
「彼氏かっつーの。それより、御劔さんって相当な焼きもち妬きだね? 私と香澄がべたべたひっついてると、何か言いたそうな顔してこっち見てるの」
「うん。……うーん、結構な……焼きもち妬きかも」
「にやけちゃってこの~。私がいる間はイチャイチャ我慢してよ」
麻衣は靴下を履いた足でツンツンと足をつつき、香澄もつつき返す。
「麻衣がいるのに、佑さんといちゃつく訳ないでしょ」
二人で顔を見合わせてクスクス笑い、はぁーっ……と同時に溜め息をつく。
「一週間、あっという間だと思うけど、楽しくやろうね」
「うん。東京満喫しないと。混むのは必須だけど」
「今回は予定に入れられなかったけど、一緒にランドとか行けたらいいね」
「っあ~! 香澄と行きたい! 修学旅行でもランド行ったけど、あの時はお小遣いも少なかったし、時間制限もあったし、満喫できなかったよね」
「そうそう! 京都・奈良が先だったから、そっちでお金使っちゃって、ランド行った時は買い物できるお金があんまりなかったなぁ」
香澄は高校生の修学旅行を思いだして笑う。
「あの時は初めて新幹線に乗ったよね。北海道に新幹線が通ったって言っても、まだ函館までだしね。札幌までこないと実感ないなぁ」
「私も同じ。なかなか乗る機会がないもんね」
「御劔さんと一緒だと、全部車になるかぁ……。ヘリとか?」
「うーん、ヘリも一応持ってるみたいだけど、出張の時はプライベートジェットかな」
「プライベートジェット! どんなの? 中身どんなんなってるの?」
麻衣が食いつき、「そりゃそうだよなぁ」と香澄は笑う。
「佑さんが使いやすいようにカスタマイズされてるよ。先頭にコックピットがあるでしょ? で、ギャレーがあって、十八人ぐらいのシートがあるの。その次の部屋はリビングルームみたいになってて、ソファやテーブルが普通にあるよ。で、会議室があって、佑さんの書斎があって、ベッドルームとシャワールーム」
「空飛ぶホテルじゃん」
「ぶほっ」
麻衣の突っ込みに、香澄は思わず噴きだした。
「へぇー……。凄いなぁ……。ファーストクラスとか乗った事あるの?」
「うん……。あるっちゃあるかな」
「いいなぁ。写真撮ってたら、明日にでも見せて」
「うん。っていうか、今度は麻衣も一緒に乗せてもらってどこか行きたいなぁ。来年のお正月は南の島に……っていう話をしてたけど、行くなら別荘か何かを借り切るでしょ? そしたら部屋も余るだろうし」
「コラコラ。御劔さんは香澄と二人っきりになりたいんでしょ? まだ結婚もしてないのに、扱いが軽くなるのは駄目なんじゃない?」
「そうなんだけど……。麻衣は滅多に会えないんだもん」
唇を尖らせると、麻衣は微笑む。
「気持ちは嬉しいけどさ。まず御劔さんを癒やしてあげないと駄目だよ。責任の大きい人だし、多分すっごい疲れてると思う。御劔さんにとって、香澄が一番の癒やしなんだから」
「うん……」
しょんぼりとして頷くと、麻衣が「しょうがないな」と笑う。
「香澄の気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
「うん!」
「そうそう。何の捻りもないけど、『浜梨亭』の菓子折持って来たよ。香澄のお気に入りのお菓子も、個人向けで買ってきた」
麻衣は紙袋から花柄の紙袋と、菓子折を取りだす。
「ありがとう! 捻りなんてなくていいの! 地元の味が嬉しい!」
それを見て香澄は歓声を上げた。
「ありがとうございます」
「マ……マティアス? さんでしたっけ? さっきも率先して持ってくれたし、親切なんですね。ありがとうございます」
マティアスが部屋の入り口にスーツケースと紙袋を置いてくれ、二人で礼を言う。
「問題ない。じゃあ、下にいる」
そう言ってマティアスは廊下を歩いていってしまった。
「ちょっと変わった感じの人だけど、親切だね」
麻衣はダウンコートを脱ぎながら言い、香澄はハンガーを渡しつつ笑う。
「ちょっととっつきにくくて怖そうに見えるけど、面白い人だよ。タヌキの信楽焼きに並々ならぬ情熱を持ってて、こないだ小さなタヌキの置物あげたら、とっても喜んでくれたの」
「ぶはっ! なんじゃそりゃ」
疲れたのか、麻衣はコートをクローゼットにしまったあとソファに座った。
香澄もその向かいに座り、ニコニコして親友の顔を見る。
「麻衣が東京にいるー。夢みたい」
デレデレする香澄を見て、麻衣は苦笑いする。
「彼氏かっつーの。それより、御劔さんって相当な焼きもち妬きだね? 私と香澄がべたべたひっついてると、何か言いたそうな顔してこっち見てるの」
「うん。……うーん、結構な……焼きもち妬きかも」
「にやけちゃってこの~。私がいる間はイチャイチャ我慢してよ」
麻衣は靴下を履いた足でツンツンと足をつつき、香澄もつつき返す。
「麻衣がいるのに、佑さんといちゃつく訳ないでしょ」
二人で顔を見合わせてクスクス笑い、はぁーっ……と同時に溜め息をつく。
「一週間、あっという間だと思うけど、楽しくやろうね」
「うん。東京満喫しないと。混むのは必須だけど」
「今回は予定に入れられなかったけど、一緒にランドとか行けたらいいね」
「っあ~! 香澄と行きたい! 修学旅行でもランド行ったけど、あの時はお小遣いも少なかったし、時間制限もあったし、満喫できなかったよね」
「そうそう! 京都・奈良が先だったから、そっちでお金使っちゃって、ランド行った時は買い物できるお金があんまりなかったなぁ」
香澄は高校生の修学旅行を思いだして笑う。
「あの時は初めて新幹線に乗ったよね。北海道に新幹線が通ったって言っても、まだ函館までだしね。札幌までこないと実感ないなぁ」
「私も同じ。なかなか乗る機会がないもんね」
「御劔さんと一緒だと、全部車になるかぁ……。ヘリとか?」
「うーん、ヘリも一応持ってるみたいだけど、出張の時はプライベートジェットかな」
「プライベートジェット! どんなの? 中身どんなんなってるの?」
麻衣が食いつき、「そりゃそうだよなぁ」と香澄は笑う。
「佑さんが使いやすいようにカスタマイズされてるよ。先頭にコックピットがあるでしょ? で、ギャレーがあって、十八人ぐらいのシートがあるの。その次の部屋はリビングルームみたいになってて、ソファやテーブルが普通にあるよ。で、会議室があって、佑さんの書斎があって、ベッドルームとシャワールーム」
「空飛ぶホテルじゃん」
「ぶほっ」
麻衣の突っ込みに、香澄は思わず噴きだした。
「へぇー……。凄いなぁ……。ファーストクラスとか乗った事あるの?」
「うん……。あるっちゃあるかな」
「いいなぁ。写真撮ってたら、明日にでも見せて」
「うん。っていうか、今度は麻衣も一緒に乗せてもらってどこか行きたいなぁ。来年のお正月は南の島に……っていう話をしてたけど、行くなら別荘か何かを借り切るでしょ? そしたら部屋も余るだろうし」
「コラコラ。御劔さんは香澄と二人っきりになりたいんでしょ? まだ結婚もしてないのに、扱いが軽くなるのは駄目なんじゃない?」
「そうなんだけど……。麻衣は滅多に会えないんだもん」
唇を尖らせると、麻衣は微笑む。
「気持ちは嬉しいけどさ。まず御劔さんを癒やしてあげないと駄目だよ。責任の大きい人だし、多分すっごい疲れてると思う。御劔さんにとって、香澄が一番の癒やしなんだから」
「うん……」
しょんぼりとして頷くと、麻衣が「しょうがないな」と笑う。
「香澄の気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
「うん!」
「そうそう。何の捻りもないけど、『浜梨亭』の菓子折持って来たよ。香澄のお気に入りのお菓子も、個人向けで買ってきた」
麻衣は紙袋から花柄の紙袋と、菓子折を取りだす。
「ありがとう! 捻りなんてなくていいの! 地元の味が嬉しい!」
それを見て香澄は歓声を上げた。
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